邂逅 1話
青空!
ってわけは無い。
僕はワニの口に飛び込んだ。
確かに飛び込んだ。
頭上を見上げる。
ほのかに明るい曇り空
空?
なんで空があるんだ?
ビルの谷間の様な所に僕はいる。
床や壁を叩くとコンコンと固い音がする。
どこだ、ここは?
止まっていても仕方ない。
僕は薄暗い道を歩き出した。
ここは、ワニの腹の中なのだろうか?
それとも、どこか別の場所に繋がっているとか。
・・・どうでもいい。
かれこれ二時間近く歩いている。
風景は何も変わらない。
汗がひたすらに流れている。
こんな場所にいると心が折れそうになるな。
今何時だ?
?
そういえば、ワニの腹の中なのに時計の音がしないぞ?
そもそも時計を飲み込んだワニの腹の中から音がするわけがない。
あれは、ワニの中にある時計じゃなくてワニの音なんじゃないか?
機械仕掛けとか。
・・・で、それでどうする。
分かったところで現状は改善しない。
それにワニの身体から血が流れていたし鮫に齧られていた。
少なくとも生き物だ。
パン、パン。
小気味よい音と共に鉛玉が壁に撃ち込まれた。
ふん。
生き物ならこれで少し反応をみるか。
銃弾の恐ろしいところは鉛中毒になることと雑菌が傷口から入るところだ。