ネバーランド 3話
滔々と話、滔々と聞く。
淡々と繰り返し繰り返し。
長老と言われる彼は実際の年齢よりずっと老けて見える。
長い戦いの果てなのか、迫害の果てなのか推し量る事は叶わない。
彼は僕を知っていた。
ロストチャイルドなのに海賊船に乗っていた。
ロストチャイルドなのに海賊に大切にされていた。
家族のように。
眩しく憎々しい。
忌々しいと彼は言った。
そして、また会えて良かったとも。
失う悲しみも戦う怖さも、お互いに知っている。
大切な者を守る為に戦わなければならないことも知っている。
だから、簡単に平和だとか仲良くだとかは口に出来ない。
ただ、互いに必要な物を交換はできるだろうと知っている。
海賊は酒、ネイティブズは魚。
人魚や海獣が闊歩しているこの国では魚は貴重だ。
貝や真珠なども同じように貴重だ。
だから、交換しようと。
お互いに命のやり取りをする間のあいだに意志や想いのやりとりをしようと。
我らは知っている。
人間は永くない。
だからこそ、未来に遺恨を残さないように努力を積み重ねれば。
違う世代には繋がる事ができることを。
彼が生き延びたように。
僕が生き延びたように。
酒を酌み交わし。
別れる。