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切り裂きジャックと 4話

 僕の中で何かがキレた。



「ああ、可哀想なアーノルド」



 僕は、ゆっくりと立ち上がり彼に近づいて行く。



『はは、やっと分かってくれたか』



「ああ、可哀想に」



「ヤードの警視、切り裂きジャックを追いつめるも名誉の殉職・・・」



『なにを。言って。いるんだ』



「切り裂きジャックに残酷な死を」



 手を斬り落とした。


 止血をした。死なないように。


 足の骨を砕いた。


 逃げられないように。


 そして檻に閉じ込めて新しい鍵をかけた。



「切り裂きジャックに畏怖と恐怖と絶望を」



 僕は、十字を切ると地下道を後にした。



 泣き叫び懇願する彼の声は、僕には届かない。



 彼も手にかけた人の懇願を聞かなかったように。



 僕の手は、僕の心は汚れている。


 そんなの知っている。


 チャイルドの頃から知っている。



 だけど、なんで涙が止まらない。



 助けられなかった。



 もっと冷血で冷徹で冷静なら彼女は死ななかったかもしれないのに。


 助けられたかもしれないのに。



 後悔しても始まらない。



 そう、覚悟が足らなかった。



 覚悟を決めろ。



 愛する人を救う為に、誰かを助ける為に。


 覚悟を決めろ。



 僕は、帽子を深々と被り、マントを翻して地下道を出る。


 船長のように堂々と港へ入る。



 野次馬や抗議が凍り付く程に。


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