エターなるダンジョン
その日、俺はいつものようにネットで新しいフリーゲームを探していると、気になるゲームを見つけた。
そのゲームは「ダンジョンメイカー」というタイトルで、その名の通りダンジョンを作成するゲームのようだ。
トラックに轢かれた主人公が神様に依頼され異世界でダンジョンマスターとなってダンジョンを経営するという、最近流行りのライトノベルに影響された感満載の説明文だった。
いやお前、それは小説だから面白いのであって、実際にゲームにしたらよっぽどの奇跡でも起こらない限り糞ゲーにしかならないだろう、しかも所詮はフリーゲームだし、などと思いつつも、モノは試しと俺はダウンロードボタンをクリックした。
次の瞬間、目の前が白く染まり、気がつけば見知らぬ部屋の中にいた。
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縦20×横20のタイルが敷き詰められた殺風景なその部屋の中心には薄っぺらい石板のようなものが浮かんでいた。
それを手に取ると、石板の表面が光り、「ダンジョン始めました。」という文字が浮かび上がる。
その時点で俺はラノベ的展開が始まりつつあるという事を何となく察した。
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案の定と言うべきか、俺に求められた役割はダンジョンマスターとしてダンジョンを作成し、運営する事だった。
しかし、良くあるダンジョンマスター系ライトノベルのようにダンジョンを広げるのにポイント的なモノは一切消費せず、自由自在にモンスターの配置やダンジョンの拡張が出来た。
それどころかモンスターのステータス設定すら自由に出来た。
なるほど、ダンジョンを作るというのはこういう事なのか。
それから30分程ダンジョン作成を続けた俺は設定しなければならない事の多さに絶望し、ダンジョン作成を挫折した。
こうして俺の初めてのダンジョン作成は迷宮入りを遂げた。
〈完〉




