表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

雨の祈り

作者: 山羊ノ宮

「彼女は星になったのだと」

冷たい雨が降っていた。

黒く染まった夜空。

月さえ見えない。

「何故星になったの?」

彼女は胸で両の手を組み、祈る。

「もっと違うものに」

瞳を開き、目の前を見つめても幻想すら現れてはくれない。

目の前にあるのは残酷な現実。

「だって手を伸ばしても触れられない」

捕まえようとあがく手に落ちる雫は冷たい雨だけ。

寒い。

凍えてしまう。

「声が欲しい」

神様?

悪魔?

「温もりが欲しい」

誰でもいい。

「わがまま?」

この願いを叶えてくれるなら。

「私の願いはそれほど贅沢なもの?」

ただ会いたいのだと彼女は祈る。

「見守ってる?でも、私馬鹿だからしっかり掴んで、言葉で言ってもらわなきゃ分からないよ」

雨は降り続ける。

彼女の中には星が宿っている。

星は彼女の瞳を通して世界を写し、彼女はその世界を閉じ込めるように手で覆った。

いかないで。

いかないで。

星の想いの欠片はいくら手で押さえつけようと、その隙間からあふれ出る。

星が流れる。

雨はまだ降り続いていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ