ゆりクリ
中国地方山口県長門市の女子高生たち。
クリスマスです。
「きょ、今日は朝にお菓子食べるの? 」
「うん。好きだから、お菓子。学校でお菓子を食べる、背徳感で更に美味い。
まあ、スーパーのやつだけど」
…。
「ク、クリスマスだし、下関に行って美味しいケーキ食べようっ」
「下関か。ここは長門市だから。
ま、いいや、行こっか。今日は正午には帰れるし、時間もある」
「雪も降ってないし」
「行こ行こ」
「うん、うんっ」
「お菓子、これ、食べる?」
「うんっ」
―電車の中。
今、私たちは2人で下関に向かっている。
案内は、この子に任せている。まあ、私よりも頭がいいし、頼った方がいいだろう。
下関、山口県下関、福岡寄りか、長門市寄りか。お金は、あるんだけど。
ああ、楽しみ楽しみ。
「あ、あのっ」
「うん?」
「で、電車の中だね!」
「それな」
使い方合ってる?
「む、昔は黄色い電車だったらしいねっ」
「そっか」
…。
再び、沈黙。
無理しなくていいのになあ。
まったり行こうよ、まったり。
「お菓子、食べる?」
「ケーキの店までぼ、没収」
「そっか、没収か」
不安げな顔で、チラチラ見てくる。
「食べる?」
「没収」
「そっか、没収か」
結局着くまで没収されなかった。
可愛らしい娘じゃ。
そして、
「着いたよ。ここ」
「楽しみだね、美味しいケーキ」
ダッシュで店に向かう友人。
ああ、可愛い可愛い。
「クリスマスに美味しいケーキ、楽しみだなー」
などと言いながら、私は歩いて向かう。
しょんぼり、と友人はしている。
何が数秒の間にあったのか。
「休店日…」
ビクビクしながら、私に言う。
「ごめんなさい、折角、下関に来たのに。
帰ろうか」
んー。
下関、下関。山口県下関。
「知ってるよ、他の美味しい店。
ジャンルは違うけど」
「え?」
「瓦そば」
山口県のソウルフード、瓦そば。
瓦で緑色の麺をあたため、輪切りのレモンやネギをトッピング。
有名かは知らないけど、ソウルフード、郷土料理なのです。
「あ、あのー」
「うん?」
「ケーキじゃなくていいの? クリスマスなのに」
おずおずと、聞いてくる。
「友人とクリスマスに瓦そば。最高じゃん」
むふー、と私。
「これも、あなたが下関に連れてきてくれたから。もし誘ってくれなかったら、寂しいクリスマスになっていました。むふー」
それを聞いて、やっと明るい顔になってくれる。
「とりあえず、スマホで撮ろ?」
「う、うんっ」
撮った後、
「や、やった、もっと仲良くなれるっ」
「?」
よく聞こえなかった。
ま、いいや。
瓦そば、いただきます。
明日からの冬休みも楽しみ、高1だし遊びたいな、2人で。
…。
田舎だから電車1時間に1本だけど、今日中に帰れるかな?
ありがとうございました。




