第五十話 攻撃
ミナは目覚めると雄一を探すために彼女の両側を見たが雄一はリビングのソファで寝たことを覚えた。
ベッドを整えると客室をあとにし、リビングへ向かった。
雄一はまだ寝ていたのでミナはソファの前に座り、雄一の寝顔を見つめる。
なんとなく彼女は雄一の顔を見ることだけで好奇心を感じたせいで彼女の髪が水色に染まった。しかし、その水色に目覚められたごとく雄一は目覚めた。ミナと視線を合わせて、彼女に問いをかける。
「おはよう」
「おはようございます」
「……あの、なにかあった?」
「いいえ、なにもありませんでした」
ミナはしれっとそう答えると、雄一は彼女の髪を指差して話す。
「ならその水色は?」
「あ! そうでしたか」
彼女の髪は水色に染まったことに気がついていなかったみたいでぱちくりして、彼女のすこし伸びた髪の毛先を弄りながら口を開く。
「不思議だと思っただけです」
「なんのこと?」
「あっちらの世界とこっちらの世界のことです。なんで川宮さんは二つの世界に行って来れるのかなと」
そう言われると雄一は横になった姿勢からソファに座って、腕を組みつつそうだなと言葉を口にする。
「けどそれを出来るのは俺ひとりだけじゃねえぞ。美鈴が言ったじゃん。俺の前に十人ほどここに来たって……みんな殺されたけど」
「確かに美鈴ちゃんそう言いましたね…………あの人たちは川宮さんと関係がありますのかな」
ミナがそう言うと、雄一はあの十人が何者か自分は何者かと考えた。だが、一言を言える前にドアの音が聞こえた。
「ただいま」
ヤワラカイの声だった。
ミナと雄一は台所に向かうと、二つの袋を持つヤワラカイそこにいた。
「それはなんですか?」
「あ、ミナちゃん川宮くん、これは昼ごはんの材料だけど」
ミナの声でヤワラカイはふたりはそこにいたのに気がつき、答えを出しながら二つの袋をテーブルに置く。ミナは小首を傾げると問いをかける。
「今何時ですか?」
「そろそろ真昼だけど」
ミナと雄一が思ったよりずいぶんと遅かった。ふたりは少し夜明けすぎたではないかと思った。
「え? もうそんな時間ですか」
驚いた顔でミナはそう聞くと、そのミナの表情は可愛いと思うヤワラカイはくすりと笑った途端雄一はそういえばと聞く。
「セツナは?」
「セツナちゃんは庭掃除してるよ」
雄一は台所の窓に視線をやったがその角度からセツナを見とれなかった。けれど、太陽の光はすごく眩しかったと分かった。
そして、その瞬間。
「た、た、たす、たすけて――」
救いを求める誰かの叫び声が聞こえた。まちがいなく、その声の主はセツナだ。
「それはセツナちゃんの声だよ!」
ヤワラカイそう宣言すると誰かの答えを待たずに庭へ走っていって、ミナと雄一が彼女を追いかけた。
庭を踏むと、セツナは土に座っていて、後ろに這っていた。視線を上げると彼女の前に黒い狼めいた動物がいた。三つの尻尾を持ち、吠えながら大きくて黄色い目でセツナを眺める。
「セツナちゃん! 大丈夫?」
「だ、大丈夫です。でもあれは……」
ヤワラカイはセツナのとなりでしゃがみ込むと、泣きながらセツナはそう言って黒い狼を指差す。
「なんでここに―」
そのセリフを言い切る前に、狼は素早くセツナに迫ってきて、彼女を噛もうとする。セツナをかばうために無意識にヤワラカイはセツナを抱きしめて、目を閉じた。
けれど、セツナとヤワラカイと狼の間でミナが立って、ハジマ村でタムラに襲った時と同じく青い光に包まれて、狼をおっ放り出して後ろに飛ばせた。
土に転がった後で、狼が立ち上がり、今度にミナを眺めて憤怒を示したがりそうでこの前一層うるさく吠えた。
「ミナちゃん!!」
セツナはそう叫んだが、ミナが彼女を無視して彼女の青く染まった髪が風に吹かれた途端狼を見つめる。
ミナはキタノ森林の出来事から、三ヶ月間で美鈴と訓練してきたせいで戦うことに成長をした。美鈴のレベルまでもなくても、こういうの状況でちゃんと適当な反応を出来るの自信があった。
雄一はミナが成長したことは分かっていても、心配を感じるのはやむを得ない。
狼に視線をやって目を凝らすと雄一は狼の額に何かがあるのが気がついた。
「カ」という文字であった。
それの意味は分かるすべもなくて、雄一は狼から目を離さずにミナのそばまで歩いた。
「連携を試してみよう」
そう言いながら雄一はミナへ手を伸ばすと彼女は彼の手を取り、こっくりと頷きつつ口を開く。
「はい!」
雄一は青い光に包まれるとすぐにもっと強くなった感覚を体中に感じる。
「俺に任せて、ミナ」
雄一はそう言い、一歩を踏み出した。狼は青い光に引っかかったらしかったけれどまた攻める体勢をした。
瞬きの間に雄一は動き、狼の右側から迫る。素早く右の拳で狼の鼻面を叩いて転がらせて、木の樹幹とぶつからせた。
立ち上がろうとした瞬間で雄一は迅速に距離を縮めて拳で狼の頭を打ち砕いた。
狼の死体は突然、黒い蒸気になり、舞い上がっていった。けれど、完全に消えるまえに、かすかな低音をする声が聞こえた。
「はなさせてやる」
と言った。
「川宮さん大丈夫ですか?」
「ああ、俺は大丈夫だ。ミナたちが?」
「無事です」
ミナがそう答えると、ヤワラカイとセツナが口を開かずにただおずおずと頷いた。
雄一は狼の死体が前にあった場所を見つめるとその声の言葉を覚える。
はなさせてやる。
それはどういう意味なのか考える雄一はきびすを返すしてミナたちとともに家に入った。




