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第四十八話 応援

「美月ちゃん美鈴ちゃん」


 ふたりの真剣そうな顔を見ながら驚いた表情で谷和原はそう言った。


「いつからそこに?」


「数分前からとなりのテーブルに座ったよ」


「というと、全て聞いたわ」


 そう宣言すると美月と美鈴は俺たちのテーブルに腰をかけた。


 いつの間にか、谷和原の話を聞く間で彼女たちはとなりのテーブルに座って谷和原の本音を聞いた。


 谷和原はレズであること。


 谷和原は佐々木のことが好きであること。


 そして、谷和原はそれに関して美月と美鈴と喜多村に言うのは躊躇っているであること。


 赤くなった谷和原をじっと見つめながら真剣そうな顔のままで美月は口を開く。


「わたしたちに言うつもりなかったのね?」


「違う! ただ怖くて……」


「なんで怖いの?」


 美鈴にそう聞かれると、谷和原は伏せて答えを口にする。


「だって、女の子として変だと思われてあたしのこと嫌になってって……」


谷和原の答えを聞くと、美月はため息をつく。


「言っておくけれどわたしは怒っているわ」


「あたしも」


「……ごめん」


 顔を上げると谷和原は美月と美鈴のシリアスな眼差しと向き合う。


 やがて、ふたりは口元をゆるめる。


「誤らないで。ただ、これからどんな悩みがあってもわたしたちにちゃんと話してちょうだい」


「そうだよ! 友達でしょ。今度絶対言ってね」


「わかった。約束する」


「ならいい。その約束を破ったら……これをする!」


 そう言いつつ美鈴は谷和原に近づいて腹のあたりでくすぐる。


「はは……み、美鈴ちゃん、やめ、ははは」


「やめないよ~」


 美鈴も笑顔を浮かべて数秒でくすぐり続けた。


 咳払いをすると、美月は問いをかける。


「で、谷和原さん、佐々木さんに告白するつもりなの?」


「……えっと、したいけど……せつなちゃんがどう答えるのってこわいねえ」


 普通に、誰かが好きな相手に告白するときにふられる可能性に〝恐れ〟があって、というと、相手の答えに怖がる。谷和原の場合で、その〝恐れ〟がふられるということにだけではなくて、谷和原はレズビアンであり、彼女のことが好きと言われると、佐々木はどんな反応することにも心配がありそうだ。


「どんな結果になっても応援するよ櫂ちゃん、ね」


「そうだわ」


「おう」


「ありがとう、みんな」


 谷和原は俺たちを見て、応援されていることに嬉しそうで笑顔を浮かべた。けれど、その笑顔はぐいっと微苦笑となって、彼女はため息をもらした。


 誰かが何かを口にすること出来る前に予鈴が鳴って、昼休みの終わりを告げた。


「そろそろ教室に戻らないと」


 その美鈴のセリフに俺たちは席を立つと学食をあとにした。

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