第三話 森の一夜
森の奥へ歩きながら雄一は彼の前に歩くミナの髪を見た。そうすると、自分の世界で彼はもう死んだに関して思わせた。顔の覚えない家族を悲しませて友達を泣かせたのか。それとも誰も悲しむことなく一人で死んだのだろうか。どっちの展開でも彼はもうあっちの世界にいないことが変わらない。
で、なんでこっちの世界にいるのだろうか。
雄一がミナにそれを聞こうとしたけれど聞かなかった。というより、聞きたくなかったのだ。
森の静かさで喜ぶっぽいミナは鼻歌の拍子で頭を左右に振っていた。それを見、微妙な感動を感じる雄一はなんでそう感じているのが自分さえ分からず口を開いた。
「この森の名前は?」
「知らないです」
「知らないのか。導く精霊としてお前の導くべき人のいる場所の名前知らねーのか」
「言いましたよ?ここはシラナイデス森です」
「……可愛くない名前なんだけどー」
そんな名前あるかと思うと雄一はまたここはあっちの世界ではないのを覚えた。その思いを避けるためもう一度ミナの背中を眺めた。
「あー、もう暗くなっています。キャンプファイヤーをする方がいいと思います」
「そうだな」
その暗くなっていく森の中で夜を過ごすことにした。
「暖かいな」
「そうですね」
ミナが二十秒くらいかかって火をつけて焚き火をやった。どうしてそんな早く出来たのかと気になった雄一は聞こうとしたが結局聞かなかった。焚き火の近くで雄一とミナが座り、暖かさで居心地が感ずる。完全に暗くなってきた森が暗闇と寒さは圧倒的だった。でもその焚き火でその二つの問題が一時的に解決された。
「そういえばミナ、お前は瞬間移動できるだろう……この前みたいに」
前に灰色空間から森へ移動したのを思い出した途端聞く雄一。
「あー、出来ますけれど灰色空間に出入りのためだけなのです」
「そうか……灰色空間とここの間に瞬間移動できるってことか」
ミナは優しく頷くと、言い返す。
「そうですが、すこし違います。それは川宮さんのそのときの現地によってなのです」
「俺の現地?」
「そうです。例えば、川宮さんは私と灰色空間に瞬間移動すれば戻れる場所は最後の一緒にいました場所です」
そう言うミナに雄一が人差し指を立てて土を差した。
「つまり、ここに」
「そうです」
彼はその点をわかったがまだ満足でもなく質問を聞き続けた。
「でも、たとえば、お前一人が灰色空間に行ったら場合は?」
「その場合には、戻れる場所は川宮さんの現地です」
無理もないと思うがまだ不満だった雄一。そうであってもこの先に灰色空間から森までに瞬間移動をしたけれど一緒にいたし、そのとき彼は灰色空間を出ることがなくてなぜここへきたのか。
「……でもこの前、灰色空間からこの森まで瞬間移動したじゃん。だけど、俺はここに来ることがないんだ。その上、その頃に灰色空間を出るのはもなかったぞ」
そのセリフに、ミナが冷静沈着なトーンで答える。
「初めてのときはランダムです」
「……そっか」
そうだったかと思う雄一にある程度に把握した。でもミナが本当にマイペースなやつなのは確かであった。
灰色空間となんども言ったがまだそれについて聞いてないに気がついて質問をした。
「で、その灰色空間ってなんだ?」
「川宮さんと私に創られた場所です」
「俺たちに、か……誰に」
「わかりません」
「あのな……」
決定的な宣言であった。マイペース精霊の中でマイペース精霊様とミナを呼ぶのは明確だった。何でも知っているっぽくても特になにも知らない印象が残った。そして、彼女が、その子が、雄一を導く精霊なんだ。すなわち、俺の未来はやばい必ず死ぬぞ、と思う雄一は微苦笑交じり口を開く。
「ま、どうせ寝ようか」
「わかりました。おやすみなさい」
「あ、おやすみ」
雄一とミナが焚き火んの辺りで横になった。雄一は手枕をして空を見ようとしたけれど木々の枝のせいで見えることがほとんど無理だった。ミナに視線を向くと、彼女はもうすやすやと寝ていた。このまんざら知らない子は、この俺でない世界に、彼女がいなかったら俺は何もないと思いながら雄一は眠くなかったけれど寝てみた。
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