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第1話 自らを殺す者

 彼は飛んでいる。


 幼い頃から憧れていたヒーローのように。

 自分を犠牲にしてでも誰かを助けるヒーローのように。


 彼はそういう風に飛びたかった。


 実際はかけらも慈悲のない、でかでかと待ち構えるコンクリートの地面に飛び込んでいるのである。


 先ほど駆け抜けた屋上はすでに彼の視界には入らない。入るのは校庭横のコンクリートでできた地面だけだ。


 彼の頭の中にあるのは恐怖ではない。いじめに対する怒りでもない。

 ただいじめのあるこの世界から解放されるという喜びだけだった。

 地面と伴に迫りくる人生の終焉を、彼は大いなる喜びと期待で向かい入れようとしているのである。


 彼をそれほどまでにしてしまったのは、紛れもない『いじめ』である。


 彼との価値観の相違によって、彼を周囲の人々は異常な異物だと決めつけいじめの標的にした。

 そして、いじめは彼を苦しめ蝕み生きたいという欲望さえも消し去ってしまったのである。


 家族に打ち明けられず、教師は彼をかばわず、ついに彼は『自殺』という道を選んでしまったのだった。

 いや、その道を選ぶほかなくなってしまったのだ。

 苦難苦労苦悶苦悩……、そんなありとあらゆる『苦』が彼にのしかかったのだ。誰がその選択を否定できるだろうか。


 地面と接触する直前、彼は腕を大きく広げ目を閉じた――。


 彼――サツキ・ミナトは地球での一生をそうして終えた。


 だが異世界での一生はこれから始まる。

 何者かに記憶を少しいじられて……。

お読みいただきありがとうございます。

期待できそうだと感じた方。ぜひ評価、コメント等お願いします。

執筆のやる気が控えめに言って1000倍になります。

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