第3話 役割
翌日、新聞の一面は市立三日月高校自殺未遂。学校側はイジメについて把握はしていなかった。と大きく飾っていた。こんなに大きく騒ぐことではないと思ったが、ネットでは俺を応援する声が沢山届いていた。中にはイジメていたやつの名前と住所を書くものもいて、社会現象寸前のところまで話題になっていた。肝心な俺はというと、一週間の自宅謹慎はなくなり、4階の空き教室への登校だけ許可された。今まで4階には一度も行ったことはなかったが、問題児収容所とか、底辺の集まりとか言われているのを聞いたことがある。まあ今の状況にぴったりなので文句は何ひとつもない。
「ここか。おじゃましま~す」
「あら、素直に来てくれるなんて、よかった」
「え?なんでお前がここにいるんだ?」
「はじめまして、更生教室担当の来栖出雲といいます」
「いやそういうことを聞いてるんじゃなくて、お前は確か学生だったよな」
「そうよ」
そうよ!じゃねえよ。学生なのに授業に出ずに、更生教室担当ってどういうことだよ?そもそも更生っておかしいだろ?俺は犯罪者では・・・・ないはずだ。それに他にも何人か人がいるな。これは噂通りのところなのか。
「あれ?新入りさん?はじめまして月野木葵っていいます」
「葵、その人痴漢未遂に、殺人未遂してるから近づかないほうがいいわよ」
「ええーごめんなさい!!」
「おい、待て待て、確かに痴漢冤罪になったが、殺人未遂に関しては言い方がおかしくないか?」
「え?そうかしら?」
「とぼけるな」
こんなに頭を回転させながら人と話したのはいつぶりだろう。母親ともこんなに暑くなるほど話してなかったけ。
「それより、担任の先生がもう少し来るわ。早く席に着きなさい」
「お前が担任じゃないのかよ」
「えー教室の担当って言っただけで先生とは言ってないし、なんせ私生徒だからね」
一つ分かったことがある。出雲は自殺を止めてくれた命の恩人だと思っていたが、人の苦しむところを見て楽しむタイプだな。それに比べて、葵ちゃーんは天使みたいな容姿だし、性格も◎だよなー
「何ニヤニヤしてるの?気持ち悪いわよ。葵気をつけて、狙われてるわよ」
「あぁあー?女だからって舐めんじゃねえぞ?」
「葵、本性出てるわよ」
「てへへー。今のは忘れてくださいねミ」
うん。問題児が集まっている教室というのは納得ができた。頼む先生だけはまとまな奴が来てくれ。
「はーい。お前ら出席取るぞーって言っても面倒くさいから全員いるな」
「一宮先生!出席くらいちゃんと取ってください」
「出雲ちゃーん悪いな」
「先生・・・。気持ち悪いのでやめてください」
うわー冷徹な出雲だ。怖いな。一宮先生ってもしかして、2年前生徒を殴り、懲戒免職食らった一宮青葉か?やっぱりこのクラスは、ロクな奴が集まらないらしい。
「よし、今日もこのくらいにして、役割を決めてきた。発表するぞ」
「学級委員長、出雲、掃除班長 葵、始末委員長、明彦だ。よろしく頼むぞ」
「あのー青葉先生質問がー」
「新入りどうした?何でも聞いてやるぞ」
「始末委員長ってなんですか?」
「あーそれはあれだ。あれ。面倒な出来事が起きたら処理をする係だ」
この先生明らかに、一番面倒くさい仕事回してきたよね?いや待てよ。隣を見るとふたりともこっちを向かない。そういうことか。こいつらグルだな。
こうして俺の新しいクラスでの役割は始末委員長(なんでも屋)になりました。
今日はこれが最後です。
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