第2話 決行
「本当に申し訳ございませんでした」
騒ぎを聞きつけた先生たちがすぐに抑え込まれ、指導室へ連行された。悪いのはイジメてきたほうだと主張しても、ナイフをもって暴れたお前が『一番悪い』と言われてしまった。すぐに母さんは仕事を早退し、学校へ来たようだ。誰も俺の主張を聞いてくれない。ただナイフを持って暴れたヤバい奴としか思われていない。一応今回は相手側もことを大きくしたくないってことで警察は来ないだけマシと判断されたが、俺には一週間の自宅謹慎という罰を与えられた。
「母さん、先生、忘れ物を取ってきていい?」
「いいだろう。一週間自宅謹慎なら、置き勉すると大変だしな」
「一人で行ってきていいですか?」
「放課後だし。いいだろう。その代わり、次暴れた場合は退学だからな」
どうやら、先生には信用されてないらしい。まあそんなこともう気にしない。母さんも先生もどうせ何を言っても信じないのなら、これから先仮に同じようなことがあってもまた今回みたいになってしまう。だったら屋上ヘ行き、最後の仕事をするか。
「これが俺の最後の仕事。さようなら俺の人生。ごめんな母さん」
屋上のフェンスを超え、一歩踏み出せば、猛スピードで地面とぶつかり死ぬことができるだろう。痴漢冤罪で変な噂が広がり、クラスメイト達が死ね死ねと言うから反撃したら、俺が全て悪いとは理不尽だよな?よしそろそろ行くかー。
「来世は、モテモテな自分になりますように。ありがとうございました」
自分自身でカウントダウンをする。正門から俺を見た生徒は悲鳴を上げ、先制と母さんは窓からやめるようにと叫ぶ。でも意思は固まった。よーし行くか。痛いだろうけど心の傷よりマシだろうしな。ばーいばーい
「来世はモテモテになるって自殺する人間が偉そうね。それに逃げる行為をして恥ずかしくないの?」
飛び降りる直前。後ろから一人の少女に声をかけられた。
「お前も馬鹿にしてくる奴らと同じ分類の人間か。好きなだけ言うといいさ」
「そう。なら言わせてもらうわ。痴漢冤罪で無実なのに、ナイフを持って暴れたのはクラスメイトのせいなのに全て貴方が悪いなんてありえない。悪いのは傍観者と、痴漢と叫んだ女性よ。そして、それを信じなかった先生なんて、もっと最低ね」
「お前、何を?」
「だから、死んで諦めるんじゃなく、生きて見返してやりましょうよ。私もその手伝いをするわ。だからこっちへ来て」
何故だろう。この人のことは信じることができた。急いでフェンスの中へ戻った。そしたら、その女性は泣きながら俺に「頑張ってね。これからもっと頑張ろうね」と応援してきた。
これが、俺と来栖出雲の出会いだ。
今日僕は3話投稿する。
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