異世界に行ったら女騎士に恋してしまいました
私の名前は麻生蓮花。
16歳の女子高校生だった…、昨日まで。
今、私は剣や弓矢が行き交う戦場にいる。
どうしてこうなったかわからない。
昨日はお気に入りのパジャマでベッドに入ったはずだ。
起きたら戦場とかわからない!
「ついてきて」
私の手をひくのは名前も知らない女騎士様。
私が戦場の片隅で呆然としていたところを見つけ、ついてくるように言った。
はじめは怪しんだが、あまりに誠実そうな瞳にオチた。
綺麗な宝石のような青い瞳。
ちなみに髪の色は燃えるような赤。
長い髪を首もとでひとつに束ねている。
「ぼーっとしないで」
女にしては低いアルトの声に現実に引き戻される。
「私の横から離れないで。医務室にいくよ」
女騎士様は出てきた敵を一刀で倒すと私の手をひいた。
(うわー、本物の血だ!こわいー)
私は泣きそうになりながらついていく。
(ここ、絶対日本じゃない。ていうかあんな赤い髪とかありえないし地球でもないのかな)
「ついたよ」
女騎士様はテントに入った。
「私はミュゼ、ミュゼ・ストローク。あなたは?」
私を椅子に座らせると片膝をついて目線を合わせる。
「私は麻生蓮花と言います。蓮花が名前です。ここはどこですか?」
ミュゼ様は驚いた様子もなく「異世界人か…」とつぶやいた。
(やっぱり異世界なのね)
私は泣きそうになる。そんな私の両肩をつかまれる。
「レンカ、ここはプラチネ王国。今は戦争中で隣のサカイー皇国との国境にいる。最前線だ。とても危ないからすぐに王都に戻ろう」
私は緊張の糸が切れ、涙がぽろりとこぼれる。
(なんでこんな時に)
ミュゼ様はそんな私をしばらく眺めたあと、抱き締めた。
ミュゼ様の胸は鎧のために硬く、冷たかった。
「人を切る術は知っていても、泣き止ませ方なんて知らない…」
ミュゼ様の言葉に私はあふれる涙をぐっとこらえた。
しかし、次から次に流れてくる。
ミュゼ様はまた私を眺め……私の目にキスしてきた!
「な、何っ?」
私は驚いて飛び上がる。
「いや、かわいくて」
悪びれずに言う。
「私の周りは強い女ばかりだから新鮮で。嫌だった?」
私は少し考える。
心臓が忙しいけど…
「嫌ではないです」
私の言葉にミュゼ様がニッコリ笑う。
「続き、する?」
私の髪をすいている。
「何のですか!?」
私が慌てるとクスクス笑っている。
「良かった、泣き止んだ」
その笑顔にときめいてしまう。
(落ち着いて、蓮花。相手は女性よ)
私は深呼吸する。
「さあ、時間がない。すぐに発とう」
ミュゼ様は真剣な表情になり、側仕えの人に馬を持ってくるよう指示した。
しばらくすると小さな荷物を積んだ黒い馬がきた。
「私の愛馬、サーラ。これで王都に行くよ」
ミュゼ様はひらりと騎乗すると私をひきあげた。
(た、高い。こわっ。落ちないかな)
馬の上で震えていると
「そんなにかわいい態度でいるとまた口づけしちゃうよ」
と笑われる。私は上目遣いでミュゼ様を軽くにらんだ。
「いじわる…」
するとミュゼ様が赤くなる。
「破壊力あるな…」
つぶやくと馬を走らせた。
私は落ちないようにバランスを取るのに必死だ。
腰はしっかりとミュゼ様が抱えていてくれる。
どれほど走っただろう。
私の足ががくがくになった頃、立派な城門に着いた。
「ストローク子爵様、おかえりなさい」
門番が礼をして門を開ける。
(子爵?貴族だったの?)
私はミュゼ様の優雅なたたずまいを見て納得する。
「私の家にいくよ。もう少し頑張ってね」
ミュゼ様は私にウインクする…が、下手で両目をつぶってしまっている。
(かわいい)
私は胸がキューッとした。
ミュゼ様の家につくと私はベッドに倒れこんだ。
「お疲れ様。夜中走りっっぱなしだったからね」
ミュゼ様は私の前で鎧を脱いでいく。
豊かな胸や細い腰が服越しにあらわになる。
「ミュゼ様、スタイルいいですね」
私が誉めると艶然と笑われる。
「レンカこそ、どこもかしこもふわふわでかわいいよ」
(えー、デブってこと?)
私がショックを受けていると
「抱き心地がいいってこと」
ベッドに腰掛けながら私をつかまえる。
「なんでそんなにかわいいかな」
ミュゼ様は私と一緒に寝転びながら微笑む。
目と目が合う。
ミュゼ様の唇がゆっくり近づいてくる。
私は目をぎゅっとつむった。
軽く唇に柔らかい感触がきた。
私が目を開けるとまたミュゼ様と目が合った。
「外見も好みだったけど、中身はもっと素敵だね」
ぎゅっと抱きしめる腕に力が入る。
「女同士でも大丈夫?」
(大丈夫ってなにが?)
私は焦りながらもうなずく。
「ミュゼ様ならなんでも…」
「様はいらないよ」
ミュゼ…はふふっと笑ってもう一度私の唇にキスした。
(あー!綺麗!かっこよすぎるー)
こうして私の異世界生活は始まった。