(7)いつか……きっと ✩挿し絵あり
いよいよ今話で完結です。
ラストにこの物語の元になった自作の詩を掲載しています。
あの小さかったららも、もうこの春から高校生です。
あの日以来、なぜお母さんに会えなくなったのか。
今では、ららは全ての意味を把握しています。
あの日、あの公園で起きたことの全てを。
きらが言った言葉の意味を。
『とつぜんいなくなってごめんね』
『お母さんもららのことが大好きだよ』
『ずっとわすれないよ。いつもそばにいるからね』
そして『きら』が誰だったのかも。
きっとそう。
だから今でもたまにあの公園に行っては、ベンチに腰かけてあの日の出来事を想い出します。
『きら……』
そしてふとしたときに想うのです。
とある日ふと目の前に落ちてきた星のカケラが、微笑みかけてそのまま消えていったことを。
出逢いはさりげなく、別れは揺るぎないと思い知ることになるなんて。
夜になって満天の空を見上げて想うのです。
かけがえのないひとのことを。
『きら……お母さん』
でも、今でもららにはひとつだけ解らないことがあります。
あのとき、きらは……お母さんはなんて言おうとしたのだろう。
その言葉が、どうしても聞きたい。
その言葉を、どうしても知りたい。
温かい一条が頬を伝わります。
ららはその涙を拭って問いかけます。
『お母さん、私がおばあちゃんになって、その後……いつか逢いに行くまでお空で待っててくれる? その時に、お母さんの言いたかった言葉を聞かせてくれる?』
心で呟いて見上げると、いっそうキラキラと輝く星のカケラが、
『待ってるよ』
そう言って微笑んだように感じたのでした。
『星のカケラ』
とある日ふと目の前に
落ちてきた星のカケラが
微笑みかけて
そのまま消えていった
出逢いはさりげなく
別れは揺るぎないと
思い知ることになるなんて
とあるカケラの輝きは
降りそそぐ太陽よりも
心に沁みこんできた
誇らしげなその光に
照らされたその微笑み
失いたくない
そんな想いが
切ない想いが
とある日の午後
もといた宇宙に
旅立つのを見送って
また日常を繰り返しながら
ふとしたときに想う
ああ
いつか逢いに行くまで
待っててくれる?
そう心で呟いて
見上げると
いっそう輝く星のカケラが
待ってるよ
そう言ったように感じた
(おしまい)
『星のカケラ✩』は、今話を以て完結いたしました。
ラストまでお付き合い下さいまして、ありがとうございます。
淡く優しく儚く切ないお話、いかがでしたでしょうか?
このお話を通して、なにか感じて下されば嬉しく思います。
私は今回童話初挑戦ということもあり、不安とともに連載を開始しましたが、みなさまの暖かい励ましと応援でここまで走り抜けることができました。
感謝いたします。
ここで、この作品の『テーマ』について触れたいと思います。
時間は全ての人に等しく流れてゆきます。
大人にも子供にも。
そして時間は待ってはくれません。
時計の針を止めることはできても、時間を止めることはできないのです。
ましてや、さかのぼってやり直すことなんて、できるはずもありません。
時間の経過は楽しくもあり、嬉しくもある。
その反面、哀しくもあり切なくもあります。
ときとして、残酷でもあります。
あなたの大切なひとは誰ですか?
大切なひとに言えずにいる言葉ってありますか?
大切な人には『感謝』であったり、『想い』を伝えたいですね。
言いたいけど言えない……。
照れくさいから言えない。
でも、ほんの少しの勇気をもって言ってみましょう。
言えないまま後悔しないように……。
最後まで読んで下さってありがとうございました!
また次作品にてみなさまにお会いできますことを祈念して、あとがきとさせていただきます。
本当にありがとうございました!
藤乃 澄乃