(5)『星のカケラ』
「きら?」
お父さんにそう尋ねられて、ららは元気いっぱい答えました。
「うん、だいすきなおともだち」
そう言って辺りを見渡してもきらはいません。
ららは、また明日になれば会えると思い、諦めてお家に帰ることにしました。
「またあしたね」
帰り際、きらがどこかで聞いているかと、声をかけてみました。
お家に帰る道で、ららは一生懸命にきらのことを話しました。
大好きなお友達の話をするのは楽しいものです。
明日も公園に行ってまたきらとお話しようと、とても楽しみにしながら。
にこにこと屈託のない笑顔で話すららに、大人たちの胸は痛みました。
とてもららに、本当のことを話せそうもありません。
お互いの顔を見合わせ、今日はなにも言わずにおくことにしました。
そんなこととは知らずに、ららは嬉しそうにきらの話しをしています。
ひとり寂しく公園でお母さんを待っていたときに現れた、きらきらと輝く『星のカケラ』。
とても綺麗で優しいきら。
そのきらの煌めきは、ららの心を明るくし、いつのまにか安心感を与えていました。
お家に着いた頃には、ららは疲れからかお父さんの背中で眠ってしまっていました。
お父さんは、ららを起こさぬように、そっとベッドに寝かしつけます。
お読み下さりありがとうございます。
次話「(6)別れ」もよろしくお願いします!