(4)揺るぎない
『失いたくない』
出逢いはさりげなく、別れは揺るぎないと思い知ることになるなんて。
きらのそんな想いが、切ない想いが、幼いららに解るはずもありません。
『らら、大好きよ』
優しい微笑みとともに、最大級の愛を込めてきらは言いました。
「わたしもきらがだいすき」
屈託のない笑顔は、尚もきらの心を締めつけるのでした。
そしてきらは最後になにか言おうとしました。
『もう……。いつか……きっと……』
するとそこに大勢の大人たちが駆けつけてきました。
その騒動で、きらの声はかき消されてしまいました。
きらがなにを言いたかったのか、ららには解りません。
駆けつけた大人たちの中にいた、ららのお父さんが心配そうな顔つきで、でも優しく言いました。
「らら、こんなところにいたのか? 探したんだよ」
「うん。おかあさんのいいつけをまもって、ここでまってたの」
「ずっとここで? お母さんに言われた通りに?」
「うん! だって、らら、おりこうさんだもん」
嬉しそうに目を輝かせてそう話すららに、大人たちはそれ以上なにも言えませんでした。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
「あ、おとうさん。きらがね……」
ららは大切なお友達のきらをお父さんに紹介しようと思いました。
さっきまで話していた方を向きましたが、きらがいません。
お読み下さりありがとうございました。
次話「(5)『星のカケラ』」もよろしくお願いします!