(3)切ない想い
なかなか迎えに来てくれないお母さんを待つうちに、だんだん心細くなってきたらら。
そこに不思議な声が聞こえてきました。
『らら』
その優しい声音に誰の声なのか、ららにはすぐに解りました。
温かく包み込んでくれるような、どこか懐かしいような声色です。
「きら? あいにきてくれたの?」
そして目の前には星のカケラのきらが現れました。
キラキラと、とても綺麗に輝いています。
『そう』
「さがしたんだよ」
ららは、きらが突然いなくなって、本当に心配していたのです。
『とつぜんいなくなってごめんね』
とあるカケラの輝きは、昼間に降りそそぐ太陽の光よりも、ららの心に沁みこんできました。
「ううん、だいじょうぶ。だって、またあいにきてくれたんだもの」
さっきまでの寂しかった気持ちも、きらのおかげでなくなっていました。
『ららはおりこうさんだね。お母さんのいいつけをちゃんと守って』
「うん。だって、ららはおかあさんのことが、だいすきなんだもん」
ららはにこにこしながらそう答えました。
『お母さんもららのことが大好きだよ』
きらの嬉しい言葉にららは聞き返します。
「ほんとに?」
『本当よ』
きらはにっこり微笑んでそう言いました。
ららも嬉しくて顔をくしゃくしゃにしながら笑っています。
『ごめんね』
突然のきらの言葉の意味が、ららにはわかりませんでした。
「どうしてあやまるの? きらは、わるくないのに」
『ずっとわすれないよ。いつもそばにいるからね』
大好きなきらにそう言われて、ららはとても嬉しい気持ちになりました。
「うん! ららもきらのことわすれないよ。いつもそばにいるね」
誇らしげな光に照らされたその微笑みを見つめて、きらは思うのでした。
『失いたくない』
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