vs千仙怪人 白老のシラセ Part4
Side:GUYコツ
俺の放った斬撃がシラセを切り裂き、シラセは倒れんで動きを止める。
「リボーンさん!!! 凄い! 凄いよ!!!」
その様子を見ていた梢が声を上げた。
「馬鹿な……ただの怪人ごときがシラセ様に一撃を与えるなんて、俺……シラセ様が土を付けてるところ、初めて見た……」
「勝てる! 勝てるぞ!!! 行け! 骨のヒーロー!!!」
「たったまぐれの一撃だろ。調子に乗るな人間。」
俺がシラセに与えた一撃にざわめくカメラを持った男とパラボラアンテナ怪人の声も俺の耳に届きはじめる。
空気が一変したような気がする。
一撃与えて集中力が切れてるな。ここから、集中しないと……
ふぅ~~~
俺は息を思いっきり吐き出して、シラセに向かい剣を構える。
「異空間を切り裂くだと……」
シラセは赤い血を流しながら低い声でしゃべり始めた。
瞬間、この場に緊張が走る。
「クカカ。異空間を切り裂く斬撃だと……初めて見たぞ。面白い。」
シラセ、遅い動きで、ゆっくりと起ち上る。
腹が大きく裂かれていて大量の赤い血が長い白髭を赤く染めていた。
しかし、悠々とした態度は崩れていない。
俺は自分の剣を持つ手に力が入り始めている事に気が付いた。
シラセから視線を外さず見つめて隙を伺う。
「おい! 骨のヒーロー。チャンスだ! 早く追撃するんだ!!!」
「リボーンさん!! 今だよ!!! チャンスだよ!! シラセを倒して!!!」
梢とカメラを抱えた男の声が聞こえる。
しかし、そこ応援の言葉とは裏腹に俺は真逆の事を考えていた。
一体どこにチャンスがあるんだ?
俺から見えるシラセの周りには吸い込まれそうなほどの黒、漆黒の、オーラが漂っていた。
そしてシラセの周りを飛んでいるオーラの中から何かが俺を見ている。
対峙している俺にはわかる。
今の遅い動きの中に隙なんてない。
今、攻撃をしたらこちらが殺られる。
ただ黙ってシラセの動きを見ていることしかできない。
奥歯を噛みしめる。
シラセは起き上がり、首を傾げながらこちらをみる。
目には狂気が宿っていた。
俺は言葉を失い息ぐるしさを感じる。
梢の奴はこんなのと戦っていたのか? なんて無茶な事を……
俺の考えなど構わずシラセは口を開いた。
「なるほど。異空間を切り裂く斬撃を放つだけはある。もしや、貴様、見えているな?」
「見えている?」
「何が?」
俺とシラセ以外が口にした疑問にシラセはふっと軽く笑う。
「クカカ。儂の姿よ。すべてを喰いつくす混沌の神。」
「お前がなんであろうと関係ない……俺はお前を止めるだけだ。」
傷に触れて、自分の指で血を掬い取る。
そして、指を口に移してなめた。
口元を赤く染めながら、
「自分の血液など久しく見てなかった。いや、あっぱれだ。褒美だ。儂の最強の姿を見せてやろう!!! 『混沌結合融合』!!!!!」
シラセの周り漂う漆黒が大きくうねりシラセを包み球体をになり始める。
空間が振動を始めだす。
「なっ! なんだ! シラセ、何をする気だ! 皆、気を付けろ!!!」
俺の叫びと同時に、大きな振動音が辺りに鳴り響く。
すると、ブラッドロンが倒れている地面に穴が開き、気を失っていたブラッドロンはなすすべなく吸い込まれてしまった。
「ブラッドロンの奴が消えた!? まさか全部を吸い込む気か!?」
その直後、悲鳴が聞こえる。
「ギャー!!!! シラセ様!!! 何を!!」
「うわああああ!!!!!」
「なんだ!? 大丈夫か?」
「パラボナのアンテナが吸い込まれて消えやがった!」
混乱する俺達の前には、シラセの立っていた位置に胎動する黒い繭ができていた。
その繭に光の線が何本も差し込まれていく。
直後、空間に亀裂が入り壊れ始めた。
俺の視界が眩い光によって遮られてしまう……
☆ ☆ ☆
☆ ☆
☆
気が付くと、屋敷の部屋の中にいた。
俺だけじゃない。
梢も、カメラを持った男もいた。
そして、目の前には胎動を続ける黒い繭。
とりあえず、二人に駆け寄り手を指し伸ばす。
「元の場所に戻ってきた? お前達、大丈夫か?」
「いつっ……だ、大丈夫です……」
梢が顔を歪ませて俺を見上げながらもしっかりとした口調で返事をしてくれる。
「大丈夫。あの怪人野郎も……アンテナ野郎も消えたし、やほおおお!!!! 俺は自由だああああ!!!!!! あんたもありがとう!!!」
カメラの男も俺の手を取り大きく振ってくる。
どうやら元気らしい。
安心していると梢が口を開く。
「あの……シラセは?」
「わからん。」
「戦いは終わったんだろう?」
「いや、あの黒い繭が残っている。」
二人が俺の指差す方を見て首を傾げる。
「ありゃなんだ?」
「わからん。」
黒い繭はまるで何かを生むかの準備をしてるかのように鼓動を続けていた。
☆☆☆
Side:ヒーローズ
セントラルタワーの前で、怪人達を戦闘をしていたSUMOライダー、スルメン、キャットシー、アレグラ、テッペキンの五人は戸惑っていた。
「さっきのなんだったの?」
白いスーツのヒーロー、SUMOライダーは目の前で起こった事象が理解できずにつぶやいた。
「怪人達が全員消えましたね。」
それに同調するようにテッペキンもつぶやく。
「……どうしたんだ? 負けて、逃げたか?」
テッペキンの作る壁に阻まれていた怪人達が突然、空間に空いた穴に吸い込まれていったのだ。
「怪人達が逃げたのならわたくし達の勝ちってことね。結局、リーダーは来なかったけど。」
アレグラは頬を膨らませながら、GUYコツが来ないことに不満を漏らす。
「もしかして!」
SUMOライダーが声をあげた。
「タマキキャットが勝ったのよ! 奴らのボスのシラセを倒したんだわ! 私達の作戦はあの子がシラセっ奴らのボスを倒しすってものだったのよ。」
「あらあら? そうなの?」
そんな話をしていると、怪人達が消えたためか、セントラルタワーから数人が飛び出してくる。
「あっ! 記者の人達よ! 皆、タマキキャットが勝ったのよ! 怪人達が全員消えたわ!!! 私たちの勝ちよ!!!」
SUMOライダーが手を振る。
しかし、記者たちからの返事は考えていたものとは違っていた。
「いえ、タマキキャットさんは負けました……」
「えっ? なんであなた達が知ってるのよ?」
「実は……」
記者は淡々と説明する。
タマキキャットとシラセの戦いがタワー近くにある豪邸に始まった事。
そしてその終始が全部放送されていたこと。
タマキキャットは敗北したこと。
そして、タマキキャットの変身が解けて玉置梢であることがバレたこと。
そんな説明を受けて、SUMOライダーは愕然と肩を落とす。
「なら、タマキキャットは無事なの!?」
「その後、新しい青年がタマキキャットさんを助けられて無事です!!」
「青年?」
「はい。我々も音声がないため、正確に状況を理解できていないのですが……」と前置きをした後に、続けて説明をしだす。
「青年が骨の怪人なり、ヒーローに変身をしたのです! そして、その怪人がタマキキャットさんを守り、代わりにシラセと戦ったのです。彼の一撃はシラセに膝をつかせました。」
その言葉を聞いてSUMOライダーは胸を撫でおろす。
「タマキキャットは無事なのね。良かった……」
その後ろではヒーローズの面々が驚きを顔をしてヒソヒソ話をしだしていた。
「……GUYコ!!! アイツ何やってんだ!?」
「馬鹿で阿保だと思ってたけど、アイツ、今もここじゃない場所にいるってこと?」
「司は全く駄目な子ですわね……」
「まぁ、GUYコツのアニキがそこに迷い込んだおかげで助かったっぽいですし……」
「……それじゃ俺らはここらでおさらばするか。もう怪人との戦いも終わっただろうし。皆、俺につかまってくれ。」
「そうですわね。それじゃ、決め台詞をわたくしが言いますわ!」
記者たちはひそひそと話すヒーローズに声をかける。
「あの~ヒーローズの方々?」
「ひゃい!!」
急に話かけられてアレグラは裏声で返事をしてしまう。
「……ほら、お嬢。」とスルメンから背中をおされてしまう。
「もう、押さないでくださいませ……わたくし達ヒーローズはお役目が終わりのようですわね! 人の子よ! また迷える時はヒーローズの名前を呼ぶと良いですわ!!!! では! さらばですわ!!!」
次の瞬間、ヒーローズの姿がスルメンの触手によって移動していき、その場から離れてしまう。
「あっ! 消えた!」
スルメン、キャットシー、アレグラ、テッペキンは辺高い家の屋根からりを探す記者たちを見つめていた。
「ふぅ……終わりましたね。」
「……でGUYコツの奴はどうする?」
「誰か行かないとよね。」
「俺っちはパスです……流石に壁張り続けて疲れてしまって……」
「仕方ないにー。あたいが行ってやるにゃー。」
「それじゃ、美衣子、お願いね! 司はお馬鹿さんだから多分動けなくなってると思うわ。」




