vs千仙怪人 白老のシラセ Part3
Side:GUYコツ
俺は拳を握りしめてシラセに構える。
「何度も無駄な事を。」
シラセの体から黒い影が伸び始める。
中にトゲが付いた檻の形に変形して、俺を取り囲んだ。
そして、檻が縮んでいく。
「そのまま、突き刺されてしまうがよい。」
「甘い!!!」
拳を前に突き出す。
「こんな障壁ごときに俺は止められない!! 『正義の拳』」
眩く光る巨大な腕が、俺の背後から出現し、真正面に向かって飛び出す。
黒い檻にぶつかるとバチバチと激しい閃光が目の前で光輝く。
黒い影の檻は大きく歪む。
ミシミシと大きな音を立てて、拳の当たる場所から亀裂が入り、そこから光が零れ始める。
亀裂は大きくなり、そこを突き破れるように破壊されていく。
俺は駆け出した脚を止めない。
「ほう。」
感嘆の声を零すシラセに接近する。
そして腰を深く落し、拳を突き出した。
拳はシラセの腹を貫いた。
バッシュ!!!
空間に空気音が遅れて聞こえる。
シラセの姿が徐々にぼやけていくように消えていく。
「なっ?」
「クカカ。」
シラセの笑いが声が俺の耳に届くと同時に、シラセが立っていた場所には黒い球があった。
そして、それから生えた黒い槍が俺の腹を貫いてた。
「ガハッ!!」
口から大量の血を噴き出す。
「不思議な奴じゃ。見た目は骨しかないのに、まるで、その周りに目に見えない肉が覆っているように貫けるとは。」
黒い槍を抜きとり、腹部を抑えながら辺りを見渡すと、5体のシラセが立っていた。
「なに。なんだこれは?」
「『偽りの泥人形』。さて、本物の儂が分かるか?」
くそ。こいつのテクニカルな動きに翻弄されてばかりだ。
一番近くに居たシラセに飛びかかり、顔を殴りつける。
しかし、黒い球を残して霧散する。
黒い球は槍が飛び出してきた。
攻撃後で回避が間に合わない。
またしても槍は俺の胸に突き刺さる。
「クカカ。無策に飛びつくしかできない阿呆にはこういった搦手は良く効くのう。」
またも俺の周りにはシラセが三十体。
「増えやがった!?」
一発で本体を見つけなきゃいけない訳か……
いや、ちょっと待て、そもそも、本体はこの中にいるとも限らない。
分身体を全部まとめて薙ぎ払う必要があるな。
殴った感じ一体一体の強度はそこまでじゃない。
ならば……
俺は左腕を前に突き出す。
「『正義の鉄槌』」
天から大きな槌が出現する。
重力に従いそれは落下し始める。
大きな槌は地面に触れると大きな振動を生み出す。
グラグラと激しく地面が揺れる。
その振動は、三十体のシラセ達は体勢を大きく崩し地面に倒れ始める。
そして、地面に倒れた衝撃で泥人形は形を崩し始めた。
全ての人形が壊れた後、シラセが闇の中から姿を見せる。
「おお。こんな技も使えるのか? 儂の人形を一撃壊すとはなかなかやりおる。しかし……」
シラセは俺を見て、「たかが泥人形を相手に左腕を壊すとは愚かな。」っと言い放ち、再び闇に消える。
「ほら。これはどうだ。」
背後に、気配。
「遅い!!!『混沌インパクト』!!!!」
振り向くと、背後に出現していたシラセが掌をこちらにむけている。
左と右の掌からそれぞれ黒と白の光が出ていて、それらは、うねりながら交じり合って、一点に収束していく。
その中心では灰色の核が鼓動している。
「お前!」
俺の叫びと同時に、核が鈍く光った。
すると
――――破裂!!!
激しい爆発音と俺は大きく吹き飛ばされてしまった。
ガシャーン!!!
何かが壊れる音がした。
どうやら俺は部屋に置かれた壺にぶつかってしまったらしい。
その衝撃で壺は壊れてしまったようだ。
俺は破片の隙間から顔をのぞかせる。
シラセのさっきの攻撃で、部屋にあったものの多くが消し飛んでいた。
まるで何もない灰色の世界だ。
檻も、人も、怪人も消えてしまっている。
カメラを持った青年とその隣にいる怪人は無事なようだ。
いまだにこちらをカメラに収めようとしている様子が見えた。
「梢!!!」
辺りを見渡す。
頭から血を垂らしている梢がいた。
俺は駆け寄り声をかける。
「大丈夫か?」
「あたしは大丈夫です。」
「そうか。良かった。スマンがここら辺は危険だ。もうちょっとだけ、我慢してくれ。」
ほっと一安心をするのも束の間。
俺はシラセを探すが部屋の中に姿が見えない。
すると壺の破片ががたがたと動き出す。壊れた壺から零れだていた赤いドロドロした液体が形を作り始める。
上半身が以上に発達した異様な姿の怪人。
目は血走り、体中の血管が表面に浮き出ている。
「なんだこいつ!?」
その怪人の後ろにシラセが出現する。
「シラセ!!!」
俺の叫びは無視をされる。
「クカカ。お前が蟲毒を生き残った最後の一体か。血龍怪人ブラッドロン。貴様に使命をやろう。あの骨の怪人を生け捕りにせよ。」
「御意……シラセ様のご指示のままに。」
礼儀正しくお辞儀をすると俺を見る。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」
ブラッドロンは部屋の中に響く渡る叫び声をあげた。
その声は衝撃となり俺の体をビリビリと振るわせる。
体を揺らし、血管から血を噴き出しながらこちらに近づいてくる。
「なんだよ!」
大きく身体を捻り、俺目掛けて拳を振り下げてきた。
俺は両手を体の前でクロスさせてガードするも、強い衝撃が俺の体全体に襲いかかる。
「ぐうぅぅうううううう!!!!」
ひびの入った左腕がこなごなに砕けちった。
「きゃああああああ!!!! リボーンさんの手が、手が!!!!!!」
梢の悲鳴が聞こえる。
「大丈夫だ!!! まだ戦える! 俺には右手がある!!!!」
攻撃の直後で動けないブラッドロンに下に潜り込、その腹、目掛けて、今度は俺が殴りつける。
「くらいやがれ!!!!!!!!!!!!!!」
腹にめり込む渾身の一撃。
「ぐぅおぽぽ!!!!」
激しい呻き声を上げながら、ブラッドロンはその場に沈む。
「クカカ。蟲毒を生き抜いた怪人を一撃とは。良いのう。ますます興味がわいた。しかし、その腕一本で儂に敵うかな?」
ブラッドロンが倒れたにも関わらず、顔色一つ変えずにシラセは嗤う。
「俺は今度は俺が攻める番だ! 『正義の剣』」
俺の目の前に光輝く剣が落ちてくる。
そして、その剣を握りしめて、俺は大きくその剣を振り下げた。
光輝く斬撃がシラセに飛ぶ。
「馬鹿な奴よ。儂にはそんなものは効かんよ。」
シラセの姿が再び消えた。
「いいや! お前がこの空間から全てを消してくれたおかげで、俺の攻撃はお前に喰らう! 『正義の剣』の斬撃は異空間すら切り裂く!!!」
俺は剣を構えて宣告した。
その直後、何もない空間から血しぶきがとび散る。
そこから膝をついたシラセが姿を見せた。
「ぐぅ……まさか、儂が一撃を喰らうだと?」
「やっと一撃を喰らわせてやった! どうだ、シラセ! 反撃はこれからだぜ!」




