vs千仙怪人 白老のシラセ Part2
今回グロ描写があります。
Side:GUYコツ
鞭のようにしなる黒い影による波状攻撃が迫りくる。
右払い
左払い
右払い
左払い
まるで遊ばれているようだ。
攻撃を避けつつもシラセから視線を外さない。
シラセは余裕の表情を崩さず、首を傾げたまま俺を挑発する。
「クカカ。威勢よく飛び出してきて、ダンスでもしに来たのか?」
このまま回避しててもらちが明かないよな。
なら――
俺は動きを止めて大きく息を吸い込んだ。
ダメージ覚悟で突撃だな。
「なっ! あんた馬鹿か?」
カメラを構える青年が叫ぶ。
直後、黒い影に手を足を腹を容赦なく叩かれる。
痛ってぇ……
ぶつかる度に脳が揺れる視界がぼやける。
こりゃじり貧だな。
覚悟を決めるしかない。
【硬質化】を使ってみるか。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
俺は叫びながら、激しい鞭の山に突っ込みシラセの元に突撃を開始する。
「ほう? しかし、無駄な事を。」
黒い影は形を変えて、鋭い刃物のような形状を作り出す。
「まずは脚を奪おうか。」
黒い刃が動き出し、俺の下半身目掛けて横に薙ぎ払われた。
「リボーンさん!!! あぶない!!!」
梢の声に心で応じる。
わかってる!
キン!!!
金属がぶつかったときの音が響く。
しかし、黒い影が俺の脚を斬り飛ばすことはなかった。
体の【硬質化】。
骨の一部を固くすることのできる試作技。
どうやらうまくいったようだ。
「こんなもんじゃ、俺の動きは止められねぇぞ!!!!」
俺は前進をやめない。
シラセに肉薄をして、拳を繰り出す。
しかし、振りかざした拳はなんなく回避されてしまう。
「おっ。多少はやるようじゃないか? 余興だ。これくらいは、やって貰わないと困るがな。【混沌の鎖】。」
「なんだ?」
周囲に穴が開き、そこから鈍く灰色に光る鎖が伸びる。
鎖は俺の手や足に巻き付く。
自由を奪い、大の字に開かれて、拘束される。
「クカカ。良い眺めじゃわい。」
シラセが空間に空いた穴に手を入れて、チェンソーを取り出した。
動力を入れると、けたたましいモーター音と機械から漏れる金属の高い音がまるで獣の咆哮のようだ。
「手? 足? 腹? どこからバラバラに切り裂いてやろうか?」
腕を動かそうとするも、鎖に阻まれて動かせない。
くそったれ……
チェンソーが俺の脚目が目て振り落とされる。
ガリガリと削る音と俺の絶叫が部屋の中に響き渡った。
「がああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
切り落ちる寸前で刃の動きは止まる。
次に腕。
四本の手足がちぎれそうだ……
「どれ? もう心は折れたか?」
頭を掴まれて、無理やりシラセの方に向かせられる。
「はぁ……はぁ……まだ……だ……」
「ほほう。まだ気力があるか。」
いっその事、脚を切り落としてくれたら、鎖も外れたものの……
「やめて……もう、やめてよ……」
梢が泣きながらも、ふらふらとこっちに近寄ってくる。
「梢……こっちに……くるな……」
俺の言葉も空しく、シラセが腕を振るい梢を吹き飛ばした。
「きゃあ」と小さな悲鳴が聞こえる。
「クカカ。未熟なヒーロー、ショーへの協力ありがとう。だが、貴様はもう用無しじゃわい。拷問開始まで楽しみに待っているんじゃな。
今、儂の関心はこいつにある。九牛の一毛にすぎない怪人が、儂に歯向かおうなんて良い度胸してるじゃないか?
その気概、気に入った。貴様を最強の怪人に作り変えてやろう。【黒き夢の世界】へ。」
シラセの体から闇が垂れだして足元にほとばしる。
それは、すべてを飲み込みここに居るすべての者を飲み込み始めた。
空間を歪ませて、形を変えていく。
そこは鉄の匂いが漂う沢山の檻が置かれた部屋。
ぬちゃぬちゃと地面を這いずる何か……
明らかに異常な空間だ。
檻の中から、こちらを見る視線を感じた。
目を凝らしじっくり檻の中をみる。
拘束されて腹がが開かれた人達。
顔が原型を留めぬほどにぐちゃぐちゃにつぶれ、腹に顔のパーツが移植されている怪人。
中央に継ぎはぎのある左右不対称な人と怪人の混ざりった者。
あまりに凄惨な光景に絶句してしまう。
来訪者に助けを求めるように向ける此方を見てくる。
思わず目を逸らすと部屋の隅には大きな壺が置かれていた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
俺が見た瞬間、壺からは耳を塞ぎたくなるほどの絶叫が響きだす。
まるで地獄だ。
俺は周囲に目を配る。
アンテナの怪人は恍惚の表情を浮かべていた。
対して、隣の青年は顔を青くして、喉を何度も何度も鳴らしてえずくのを我慢しているのだろう。
梢は小さくまるまり、震えているのが遠目からでもわかる。
地面に垂れる透明な液体が何なのかは想像するのも容易い。
「ようこそ。儂の研究所へ。」
シラセの笑みを張り付けたまま、俺に茶化す様にお辞儀をした。
その足元には手足のない人が這いずり、シラセの元にすり寄ってくる。
それらはシラセの靴をこびるように舐め始めた。
それらを軽く足で蹴飛ばしながら、シラセは俺に問いてくる。
「散らかっててすまんのう。で、貴様はどんな怪人になりたい? 儂が思うままに、改造してやろう。そうだ。人骨じゃなくて、恐竜の骨を使った骨怪人になるのはどうだ? ん?」
「てめぇ……ここは一体どこだよ。」
ぎぃいぃぃいん……
チェンソーが俺の頬をかすめる。
「阿呆がさっき言ったろう? 儂の研究室じゃよ。同じ事を言わせるな。」
「怪人を作り出す場所って事か?」
「違う。ここは怪人をより強くするための方法を研究をする場所じゃ。」
「なんで、そんな場所に人がいるんだ!」
「怪人を飼育をするのには、餌とおもちゃは必要じゃからのぅ。」
「罪悪感とかねぇのか? お前……腐ってやがる……」
「罪悪感?」
俺の言葉を聞き高らかに嗤いだす。
アンテナの怪人も同様だ。
「クカカ。それを怪人に期待するはちっとお子様じゃろうよ。貴様、怪人になりたてかのう?」
「なんでこんなことしてんだ……」
「これも最強の怪人をつくるための必要経費じゃろうて。」
「下らねぇ……そんな事のために、何人の人を、怪人を、弄んできたんだ……」
「下らないとな? 最強の怪人を作ることが我ら怪人協会の本懐じゃよ。まぁ、儂がここまでやってもまだまだ最強には程遠い。今回、厳選した百体の怪人もヒーローズなる変な集団にやられるようじゃまだまだじゃわな。
だが、この度の戦で良い生餌になりそうな小娘と、新しい実験材料を手に入れることが出来て、儂は満足じゃ。」
けらけらとふざけた態度だ。
怒りがふつふつとこみあげてくる。
「こんな場所ごとお前をぶっこわしてやる!!!!」
「おうおう、よく吠える。その威勢があれば儂の実験にも耐えてくれそうじゃ。簡単に壊れてくれるなよ?」
シラセは満面の笑みを浮かべたまま激しく回転するチェンソーを俺の振りかざした。
「誰がお前なんかに付き合ってやるか!!! お前は絶対に許さねぇ!!!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆
☆ ☆
☆ 変身 ☆
☆ ☆
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眩い光が、部屋の中を照らし出す。
「怪人が変身!?」
「あ、あの野郎!!!」
俺を縛っていた鎖を強引に千切り拘束を解除して、シラセのチェンソー事蹴り飛ばした。
人差し指をシラセに突き立てて俺は宣言する。
「絶対にぶっ飛ばす!!!」
「シラセ様! 恐らく、アイツはライ雷オンが言ってたヒーローになれる怪人って奴ですよ。」
「ん? なるほど。クカカカカカ。どこかで見たことがあると思っていたら、貴様、スラッシュの小僧に膝をつかせた奴か。
しかし、儂もついている。怪人のヒーロー、まだライ雷オンにつかまっていなかったのか。儂にもツキが回ってきたようじゃ。」
シラセは涎が垂れる口を拭いつつ、不気味に嗤い続けていた。
「良い実験体になりそうじゃ。クカカカカカ。」
「まずはその気持ち悪い笑い顔を壊してやる!」




