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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
怪人協会にようこそ
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vs通り魔怪人切り裂きジャンパー

「変身」、その言葉を発した後、俺は不思議な感覚に覆われる。懐かしい?高揚感?どこからともなく巻かれた赤いマフラーをクビに巻きく。

それはさておき、今は目の前の敵に集中だ。構えを取り、相手を睨みつける。


「あぁん?変身だぁ?あんた、何も」


俺は地面を思いっきり蹴りつけ、相手に殴りかかる。

俊敏な動きで回避される。そして、俺から距離を取る。


「うぉ! お前、いきなり、やる気だな」


そんな金髪男を無視して、血溜まりの中に倒れる梢の体を抱きかかえる。先程の恐怖で青ざめた表情から安心したような安らかな表情に変わっていく。


「ありがとう……さっきはごめんなさい……」


梢は消え入りそうなか細い声で感謝と謝罪を伝えてくる。酷い出血量だが、どうやら生命に危機はないようだ。


「いいから、今はゆっくり休んでろ。後は任せておけ。」


梢の無事を確かめていると距離を取っていた金髪男が近づき声をかけてくる。


「おい、お前はなんなんだよ?人の餌を横取りするたぁ、ちょっと躾をしないといけねぇな。」

「……俺は怪人だ…」

「あぁ、怪人?なら俺の噂くらい聞いた事があるだろう?ヒーロー喰らいの通り魔怪人切り裂きジャンパーの噂をよ。悪いことは言わねぇ、俺の邪魔はするな。さっさとその魔法少女(メス)を置いて立ち去れ。」


ビクッと梢の体が震え、俺を掴むように掴み、体を寄せ付ける。


ふぅ……と一息をつき、俺は目の前の怪人に言い放つ。


「俺は屍怪人GUYコツだ。だけど、今この瞬間、俺はこの子を守る為にヒーローを名乗ろう! 屍英雄デットヒーローリボーンと!」


数刻の間静寂の時間が流れる。その直後、だーはっはっはっはっと、切り裂きジャンパーが腹を抱え笑いだす。


「おいおい、俺を笑い殺す気か?あんた最高に笑えるな。怪人がヒーロー? はっ、頭イかれてんのかそんなのあるわけねーだろ。」

「……」

「邪魔をするなら殺す……いや、怪人から取れる恐心(キョウフスルココロ)はどんな味がするんだろうな」


何やら勝手に盛り上がり、考え込む切り裂きジャンパーを無視して、「君は向こう方に離れててくれ。」と、俺は梢に対して離れるように促す。コクコクと頷き、コソコソと移動し始める。


「……決定!お前らは拷問して、しまくってやる。生きてることを後悔させてやるよ。」


互いに睨み合いながら、間合いを確保しながら様子を伺う。


先に仕掛けたのは切り裂きジャンパーであった。どこからともなく取り出した数10本のナイフを俺に向かい投げてくる。


投擲されたナイフを回避をする。回避によって態勢の崩れた俺の側に素早い動きで距離を詰め両手に持ったナイフで斬撃を繰り出す。咄嗟にガードをするが、素早い動きから繰り出される手数の多い斬撃は少しずつ俺の体力を奪う。この前ではジリ貧だ。ダメージを覚悟してガードを解く。斬撃により切り裂かれる痛みを感じるが歯を食いしばり耐える。拳を構え溜めをして相手の腹部に拳を思いっきり叩き込む。

よし!リボーンは確信した。こいつの斬撃は手数こそ多いがダメージを覚悟していれば耐えられない程じゃない。そしてこちらの方がダメージを与えられている。


***


がはっ……はぁ、はぁ、骨だから斬撃に耐性でもあるのか。少し見くびっていた。切り裂きジャンパーに少し焦りが生まれ始めていた。そもそも、切り裂きジャンパーの強さや恐ろしさは素早さを駆使して奇襲と不意打ちにあった。真正面から敵対する事はなく、身を隠し、長く潜伏をして、不意打ちにより仕留める。これが必勝法であり、そんな戦い方をしていた。真正面から戦うやつは疲労していたり、怪我を負っていたりしていたのだ。

ここで一度引くか?そう考えなくもない。しかし、ここで逃げれば遠くで震えているあの魔法少女もみすみす逃すことになる。あの魔法少女は3年程前から俺が狙っていた獲物だった。今回そのチャンスがついに巡ってきたのだ。その欲望が邪魔をして一旦引くという選択肢が無くなっていた。


それに、何処の馬の骨とも知らない奴に邪魔されるのは最高に腹立たしい。仕方ない、怪人として本気でこいつを潰すしかないか……


勝利をほぼ確信していたリボーンは相対する切り裂きジャンパーから黒い靄が立ち込めいることに気づく。


後ろから梢の声が聞こえる。


「骨のヒーローさん、その怪人は異形化しようとしてるの。気をつけて!」


目の前の怪人はこちらを見ながら下品な笑みを浮かべて、一言を発する。


★ ★ ★ ★ ★

★       ★

★ 異 形 化 ★

★       ★

★ ★ ★ ★ ★


その言葉と黒い靄は視界を閉ざすほど暗くなり、ボコボコボコと音ともに黒い靄が動く。黒い靄が完全に晴れた時、先程まで目の前にいた男はいなく、金髪以外の顔のパーツは黒い影で覆われ、体数倍に膨れ上がり、下半身の筋肉はあり得ない程膨れ上がった怪物が存在していた。


「死ねぃ、骨野郎」


変化した怪物の姿が消えると腹に衝撃が走る。体が空に突き上げられると更に上空から奴が俺に向かい踵落としをする。地面に強く叩きつけられ、意識が飛びそうになる。更に怪物は追撃しようと、俺に馬なりに乗りナイフを突きつけようとしてくる。ヤバい、力を込めて怪物を思いっきり振り払う。

ぐぅっ……さっきより強くなってやがる。力がさっきまでとは段違いだ。何か打てる手はないか?頭の中で必死に考える。

考える暇すら与えず、俺の方に飛びかかってくる怪物。顔を掴まれ地面に叩きつけられる。


「こんなものか?怪人のヒーロー。お前はここで終わりだ!」


思いっきり蹴り飛ばされ、吹き飛ばされる。不意に梢が視界に入る。心配している不安そうな顔をしてこちらを見ていた。俺は負けるわけにいかない……そう思った時、不思議と構えと言葉が思い浮かぶ。


正義の鉄槌(ジャスティスハンマー)


それが何を意味するのかはわからない。しかし、不思議と俺は確信があった。これは俺が知っているものであり、今、この状況を変えてくれる力だと。


「はっはっはっ、お前はよくやったよ。だがなぁ、俺をここまで本気にさせたんだ。二度と立ち上がれないようにお前はここで潰す。」


飛びかかってくる怪物に対して腕を前に出し、俺は先程、湧きでてきた言葉を口にする。


正義の鉄槌(ジャスティスハンマー)!!!」


直後、俺の両腕は吹き飛び辺りに骨のカケラが霧散する。「ははは、自滅か?馬鹿め!」そう言いながらこちらに突進を続ける。そんな怪物の辺りが突然暗くなる。同時に何処からともなく出てきた巨大な槌により、怪物はぐちゃりと押しつぶされる。


あぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ


二つの絶叫が当たり一体に響き渡る。槌は消え、怪物は圧し潰された姿でその場で倒れている。


倒した……


激痛と安心した疲れにより、俺はそのまま意識を失ってしまった。

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