魔法少女タマキキャットvs千仙怪人 白老のシラセ Part3
Side:GUYコツ
「おいおい……また迷子かよ……」
意気揚々と駆け出したものの、俺はまたも道を見失っていた。
セントラルタワーは見える。
しかし、どこもかしこも怪人に荒らされ、道がほとんどない状態だ。
「はぁ……どうしてこうなるかな……」
独り言をつぶやきながらとぼとぼと歩く。
歩を進めているとある豪華な屋敷が見えた。
不思議な場所だ。
街はアレだけ荒らされているのに、建物の原型を残している。
明らかにこの場に相応しくないだ。
「もしかして住民が残ってる?」
いないかもしれないがテレビがあれば状況が分かるかも。
俺はそんな淡い期待を抱いて、豪華な屋敷に向かった。
☆☆☆
Side:タマキキャット
「はぁ……はぁ……その余裕! 今だけだよ!!」
肩で息をしながら、あたしは恐怖を払うようにシラセに告げた。
「おぉ、怖い。まだ主役はまだまだ元気という事か。では第三幕と行こうか? 【トーチャーズ・カーニバル】」
「第三幕? さっきから何? 何なの? あたしと真面目に戦えーーーーー!!!!!!!!」
あたしは魔力を増幅させて、呪文の詠唱を始める。
「精霊の加護よ。光の礫となりて敵を―――!!! むぐぅ!!!」
呪文の途中、口が何かに塞がれた。
固くて錆の味が口に広がる。
「むぅ!!!!」
シラセがケラケラと嗤う。
その金属を外そうと、口に手を当てる。
それは口だけでなくマスクのように顔の下半分全体を覆っているようだ。
「むぐ!!! むー!!!!」
外れない。
「どうした? 呪文を使わんのか?」
「むっ! むぅ!!! むむむぐぐ!!!!!!!」
「クカカ。全く、そんな鋭く睨みつけてくるとは……躾がなっとらんなぁ。」
シラセが指をパチンとはじくと、突然、あたしの手首と足首に拘束具が現れる。
「む゛む゛っ!!!」
パチンッ!
シラセが二度回目の指はじきをする。
それと共に、あたしを拘束具から太さのあるロープが伸び始めた。
それは複雑に絡みあいながら、手と足、そしてあたしの体全体を縛りつける。
体の自由が利かなくなり、その場に倒れてしまう。
「クカカ。魔法少女には亀甲縛りが似合うのうぅ。クカカ。良い姿だ。どれ。」
パチンッ!
シラセが、三度指をはじくと、ロープが締め付ける力を強く始める。
あたし胃が、肺が、心臓が、内臓が圧迫されて吐き気がする。
「う゛っ゛!!」
逆流してくる胃液が口に広がる。
鉄の味と相まって気持ち悪い。
あまりの痛みと気持ち悪さに自然に涙と嗚咽がでてきてしまう。
あたしは自分の体がめきめきと音を立てているのを感じる。
「む゛ぅ゛ぅ゛!!!!」
でも、口に入った金属の塊が、邪魔をして叫びは出せない。
「三幕で終わりか。まぁ、大体予想通りじゃない。しかし、逃げる手段も持たずにここに来たのか? それとも……」
ぼやける視界でも、弱気になっちゃ駄目。
ここで尻尾を巻いて逃げたしたら、今回の戦いはヒーローの負けになっちゃう。
だから、まだ駄目。
あたしの身が砕けようと、シラセだけは止まないと……
今回、あたしの無茶な作戦に乗ってくれた皆に申し訳が立たないよ。
「そんなにはしたなく涎を垂らして、痛みや苦しみを悦ぶか? 全く、そんなに痛みや苦しみが好きなら……。クカカ。これは久々に愉しみがありそうな奴じゃわい。」
シラセは徐に立ち上がる。
ニヤニヤと嗤いながら、シラセが近づいてくる。
落ち着けあたし。
大丈夫、心で呪文を唱えるの!
『光の精霊よ。我が身に宿る魔力の根源を解放し、敵を滅する――』
「どうだ? 拘束されて動けなず敵に見下ろされる気分は? ほぅ。その目、まだ、戦意喪失はしていないか……流石はこの街の守護者様だ。どれ、自分の口でしっかりと敗北を告げて貰うとでもするかのぅ。」
シラセはあたしの頭を乱暴に掴み上げて、口につけられた拘束具を外し始める。
こんな至近距離なら――
あたしの口に入っていた金属の塊がシラセの手により外された。
「光の裁きを放て!【シャイニングバスター】!!!!」
これは、あたしが出せる最高威力の技。
射程距離が短いけど、絶大な威力を持つ光魔法。
「あたしの魔力を全部もってけー!!!!」
☆☆☆
Side:GUYコツ
「うわっ! なんだ? あの光! 屋敷の中から出てるのか?」
急に屋敷から漏れた激しい光に驚愕する。
しかし、それは中に人が居るかもしれないという期待を高めてくれる。
「よっしゃー! やっと人に会える!!!」
俺は、元気を少しだけ元気を取り戻して、急ぎ足で屋敷に向かった。




