魔法少女タマキキャットvs千仙怪人 白老のシラセ Part1
「覚悟ぉ!!!」
タマキキャットは杖をシラセに向けて呪文を詠唱し始める。
「精霊の加護よ。光の礫となりて敵を殲滅せよ。【ホーリーレイ】!!!」
閃光の一線がシラセを向かって飛び交う。
しかし、次の瞬間シラセの姿が消える。
突然消えた敵の姿を探してタマキキャットはキョロキョロと辺りを見渡す。
「どこ?」
「後ろじゃよ?」
タマキキャットは杖を振り回して、背後に出現したシラセに攻撃を仕掛ける。
「おっ、威勢がいいのぅ。」
軽やかに回避しながら何処か余裕のある物言い。
「君と遊ぶ前に、準備をせんとな。」
シラセがパチンと指をはじくと、大量の黒い獣の影が現れてタマキキャットを襲い始める。
「にゃ!?」
突然の事態にびっくりするも、タマキキャットは詠唱を初めて魔法の盾を展開する。
「精霊の加護よ。光の壁となりて身を守れ。【ホーリーシールド】!」
影は消えない。
黒い影は、タマキキャットの盾に無意味は攻撃を続ける。
その隙にシラセはタマキキャットから目を逸らしてカメラを持つ青年の方を振りむいた。
急に見られたことで青年はびくりと反応してしまう。
シラセは口を開き命令する。
「ジャミングミン。映像を乗っ取れ。」
「ジャミングミン……?」
何を言われているのか分からず混乱していると、横から声がする。
「了解です! シラセ様!」
青年の隣に頭にパラボラアンテナとなっている怪人が現れて返事をした。
すると、怪人の頭が変形する。
「お前……カメラを回せ。」
「えっ……」
突然の怪人に話しかけらて青年は頭が追い付かず、惚けた返事を返してしまう。
「回せ!!!!」
「はい。」
怪人に命令されるままにカメラを起動して、タマキキャットの映像を取り始めた。
☆☆☆
Side:榊勇二
僕はカズノコシティでの戦いの様子を映しだしている大きなスクリーンを見入っていた。
薫や陽平が怪人にやられて倒れていく様に不安を感じていたが、突然現れた【ヒーローズ】なる集団が二人を助けたことで安堵していた。
「勇二君……皆は大丈夫でしょうか……」
隣に座っている歴も小さくつぶやく。
「信じるしかないよ。」
僕と歴はカズノコシティを離れていた。
決して戦いたくなかった、戦うのが怖かったわけじゃない。
ただ、僕達は親からシラセと戦うのは駄目だと無理やり引っ張られて、戦場となる場所から離れて隣町に避難をした。
突然、画面が揺れる。
「なんだ? 今良いところ何に。」
辺りでも騒ぎが始める。
ジージー
映像が乱れ始めて、暗い映像が徐々に移り始める。
そこに現れたのは黒い影に襲われる梢の姿だった。
「あっ! タマキキャットだ!!」
周りで見ていた少女も大きな声を上げた。
「梢さん……」
貰っていた連絡にも返信をしなかったこともあり、歴は少しだけ気まずくしているようだ。
「梢なら大丈夫だよ。相手は……」
カメラの映像がガタつく。
ガタガタと揺れた時に、一瞬だけそれは映った。
長い白髭を生やししわくちゃの顔をした怪人。
瞬間。
ぞくりっと背筋に悪寒が走り、冷や汗が大量に噴き出た。
「あいつ。やばい……」
画面を見ていた人達は気づいていないのか、一生懸命に梢を応援している。
隣の歴を見ると顔を青ざめている。
「あれ……なんでしょうか……怪人なんでしょうか?……」
「わかんない。でもヤバイ事だけはわかる。」
梢……がんばれ。
僕はそう思う事しかできなかった。
☆☆☆
Side:ライ雷オン
「ライ雷オン様! 今、イベントホールの方でシラセのカズノコシティの戦いの映像を流しているんですよ。ライ雷オン様もどうですか?」
怪人協会の組織化を完了して新しい部作った会議を終えて、ライ雷オンは一人自室でゆったりと一人の時間を過ごしていた。
そんなときにお茶を持ち入ってきた怪人がライ雷オンに告げる。
「シラセの圧勝でしょう? 何か面白いものでありましたか?」
「それが【ヒーローズ】なる変な奴らが介入してきて、結構防衛をがんばってますね。」
「【ヒーローズ】?」
「はい。マスクをつけた怪しい集団です。ヒーローではなさそうなんですけどね。シラセの部隊といい勝負してますよ。」
「ほほう。 では私も見てみますかね。」
ライ雷オンは部屋に置かれたモニターの電源を付ける。
しかし画面は暗い。
部下は頭をひねりながら、ライ雷オンに聞く。
「故障中ですかね?」
「そんなことは――」
すると画面が映る。
それはどこかの建物中のようだ。
そこに影に襲われるタマキキャットが映し出される。
「あっ、タマキキャット。ずっと居ないなぁと思ってたら、こんなところにいたんですね。」
そして、画面が揺れてシラセの姿が映し出される。
「なるほど。」
「ライ雷オン様、何がなるほどなんですか?」
「ヒーロー側の戦術は防衛を捨てて、シラセを討つ作戦だったのでしょう。」
「なぜですか?」
「タマキキャットはカズノコシティの最高戦力。それが、防衛に周っていないので、そう思っただけですよ。まだ勝利を諦めてないんですね。」
「タマキキャットは勝てると思いますか?」
「無理でしょうね。いい勝負ができればいいん上々じゃないですかね。」
もう見る意味もないだろう。
そう思い、画面を消そうとしたときにライ雷オンはふと思い出した。
「あっ、消しちゃうんですか?」
只野博士はタマキキャットに注目していたことを。
あの娘の何に興味を持っていたのかは分からないが、GUYコツを初めて認識したのも彼女を通じてだった。
「もしかしたら――」
「ライ雷オン様、どうしました?」
「いえ。もしかしたら、タマキキャットが勝つという事があるのかもしれない? ……もう少しだけ様子を見ましょう。」




