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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
激闘 怪人協会
84/214

かくて怪人はヒーローの真似事をする。

 爆発音と共に始まった戦い。

 しかし、それは戦いというにはあまりにも戦力差がありすぎた。


「おい……おい……」


 思わず画面を掴んで俺は叫ぶ。

 そこに、映し出される映像は惨状なものだった。

 怪人達は一歩、一歩とゆっくりと狙いの場所に向かって行進を続ける。

 まるで百鬼夜行のようだ。

 何人かのヒーローが数人で組んで、怪人の前出るもあっさりとやられてしまう。

 血まみれになりながら、街を守るために死力を尽くすも、足止めにすらなっていない。


 怪人達の行列は止めることはできない。

 どんどん街を破壊しながら進行していく様子が見て取れる。


 レポーターの実況の声と、最初ははちけれんばかりの声援がだんだん小さくなっていていく。


 15人のヒーローが起き上がらなくなった時、声援は消え、実況のあきらめたようなかか細い声のみがきこえてきた。


『怪人達はどんどん、このセントラルタワーに近づいてきます……この街はもう終わりなのでしょうか?』

 

「ねぇ、GUYコツ、いつまでそんなの見てるのー?」


 キャットシーの声のする方を向く。

 

「筋トレグッズを持っていけば、あそこでも飽きないですかね?」

「……あんな狭いところで筋トレをやると、余計に嫌われるから辞めといた方がいいだろ。」

「ねぇねぇ、原、鉄男、この仮面がどうかしら? わたくしに似合うと思いません?」

「お嬢は仮面嫌いじゃなかったでしたっけ?」

「あら? 嫌いではないわ。仮面舞踏会(マスカレード)には仮面舞踏会の良さがあるもの。」


 モール中なか大量に、色々な物資を持ち出して、遊んでいる。

 俺以外はこの中継にそうそうに飽きたのかモールの中をウロウロとしていたようだ。


「お前らな! 今、この街がヤバいってのに何やってんだよ!」


 俺が声を荒げて注意をすると、画面を見たスルメンが興味なさげに反応した。


「……おいおい。ヒーローども、全然、駄目じゃねーか。」

「でしょうね。シラセの部隊はA級上位のヤバイ怪人ばかりですからね。並のヒーローじゃ勝てないですよ。少なくてもイクラシティで戦ったアクセル(あいつ)くらいの力があって、初めて土俵に立てるってもんです。」

「……まぁ、何にせよ人がいなくてラッキーだったな。今のうちに物を持って戻ろう。」

「あたいも、スルメンに賛成にゃ。金品と酒を一杯持っていこうにゃ!」


 こいつらは気のいい仲間であることには違いなんが、やはり根本的な部分でズレてるな……

 いや、この場合、ズレてるのは俺の方なのか?

 キャットシーが俺の方をじっと除き込むように見ている。


「GUYコツ?」


「すまん!俺は、この状況をほっておくなんてできない!俺はセントラルタワーって場所に向かう!お前らは戻っていて構わない!この怪人達を止めたら直ぐに戻る!」


 それだけ言い残して、俺は、セントラルタワーを目指して駆け出していた。


☆☆☆


「……GUYコツの奴、いっちまったな。」

「あいつっーー!!」

「大変! 美衣子が怒りでプルプルしてますわ!」


 少しだけキャットシーを落ち着かせた後、アレグラが皆に聞く。


「どうしましょう? 司の事を追いかけます?」

「当然、追いかけるにゃ! そしてあの馬鹿はにゃぐってもでも連れ帰るにゃ!」

「……ほっときゃいいのだろう。GUYコツの奴も帰れと言っていたんだ。それにしても、GUYコツの奴の行動は全く理解できんな。」

「俺っちは、追いかけるでも戻るでもどっちでもいいですよ。」

「わたくしは追いかけるに一票ですわ。」

「……追いかける派多数か。」

「原は嫌なんですの?」

「……嫌ではないが、単に面倒だなって思ってな。あいつの行動原理はよくわからんしな。まぁ、一人であの博士と居るくらいなら付いていくよ。」

「それじゃ、早く行くにゃー!」


 追いかけようとしたときに、突然、画面から大きな声が聞こえた。


『ああっ! 怪人達が無傷のままセントラルタワーに辿りついてしまいました!!!』


 その声に驚き、4人は先ほどまでGUYコツが見ていた中継に目を移す。


 GUYコツの事を追いかけようとしたとき、アレグラが一つの皆を静止する。


「皆さま、ちょっとまって!」


 皆で集めていた荷物をあさり始めて、何かを見つけたのか、それを持ち上げる。

 アレグラは、振り向きながら言った。


「そうだわ! わたくし、良いことを思いつきました!」

「……アレグラ嬢、なんだよ。良いことって。」


 アレグラが仮面を顔に着け満面の笑みを浮かべながら、


「わたくし達もヒーローごっこと行きましょう!」


☆☆☆


 SUMOライダーと、ビートブルーはセントラルタワーの最終防衛ラインを任されていた。


「SUMOライダー? 今、戦局はどうなってるんだろうな。食い止めてるんだろうか?それとも、案外勝っちゃってたりしてな!」

「ビートブルー、その期待は捨てた方がよさそうね。」


 敵の影が見え始める。

 その数はざっと二桁はいるだろう。

 驚きべきは全く傷ついている者がいないという事。

 また、恐ろしい力がただ漏れになっている。

 今まで戦ってきた怪人とは全く別の存在。それが何十体も居るのだ。

 自然と足腰が震えてしまう。

 

「マジか……奴らに全くダメージが無いように見えるんだが?」

「私もよ。全くこういうときだけタマキキャットの予感って当たるのよね……今回の敵はヤバいって言ってたけど。これは想定外だわ。」

「タマキキャットの方は大丈夫かな?」

「今はタマキキャットの心配より、今は私たちは自分の心配をすべきよね。」

「だな。俺たちがやるのは、タマキキャットが、シラセを潰すまでの時間稼ぎで良いんだから!」

「死ぬなよ。SUMOライダーーーいや薫。」

「あんたもね。陽平。」


 二人は握手をしてこれからの戦いを鼓舞し合った。

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