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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
激闘 怪人協会
76/214

策を弄した怪人

少しだけグロイ描写がございます。

苦手な方はご注意くださいませ。

「聞いてよっ! かおるん! ゆーじってば全然連絡に応じてくれないんだよっ!」


 梢は息まいて薫に報告する。

 二人は久しぶりにゆったりとした時間が流れるヒーロー研究部の部室で雑談をしていた。


「そう怒らんでよ。こずこず。勇二の奴も色々思うところがあるんじゃないかなぁって。」

「むぅ、そうだけど……」


 梢を宥めながら薫は、昨日の事を伝えるかどうかを悩んでいた。

 というのも助けられたとは言え、あの行動はヒーロ―としてあり得ない行動なのだ。

 薫は勇二が梢に淡い恋心を抱いている事を知っていた。

 その恋路を邪魔する行為になってしまうかもしれない。

 ヒーローオタクである梢に伝えたら、どんなことになるのか?

 薫には全く予想が出来なかった。

 ここに歴が居れば、相談もできたかもしれないが、勇二と出会った後から歴の様子もおかしい。

 今日はふらっと先に帰ってしまった。


「勇二は学校にすらきてないし、歴は帰っちゃうし。陽平の奴はどうしてるんだろ?」

「よーへいなら、訓練しているのかも? 昨日も怪人さんと戦った後、訓練するって言ってたし。」

「へぇ、陽平の奴も凄い頑張ってるんだね。確かに……あの時、私らがちゃんと戦っていれば……って思いだしちゃうもんね。」

「だからって引きずりも良くないんだけどねっ。流石に学校に来ないとか心配になるじゃん……」

「まぁまぁ、勇二の場合はほら家族だしさ。」

「そうなんだけど……」


 梢はプイッと顔を横に逸らせる。

 次の瞬間、二人の携帯電話が大きなコール音を響かせる。

 二人が携帯電話には文字で怪人の出現を報告する文が表示されていた。


『Alert 区画Dに怪人出現! 出撃可能なヒーローは現場に急行してください!!!』


 二人は顔を見合わせる。


「今日も怪人が出たよ……最近、何なの?……」

「ねぇー。これって、ゆーいち先生が居なくなったことと関係あるのかなぁ。」


 二人は立ち上がり、研究室を後にした。


☆☆☆


 現場に到着した二人の目に映ったのは、ショッピングモールの中心で怪人が暴れているところだった。

 人が混乱しており、悲鳴や怒号が飛び交っている。

 変身をしてたどり着いた。

 状況はあまり良くないように見える。


「これ、やばいねっ。タマキキャット、私は人の誘導をするから怪人の方をお願い!」

「うんっ! 分かったよ!」


 示し合わせたように二手に分かれた。

 SUMOライダーは人を誘導し始める。


 タマキキャットは目立つように大きな声で詠唱し、光弾を怪人にぶつける


「精霊の加護よ。光の礫となりて敵を殲滅せよ。【ホーリーレイ】!!!


 その攻撃を受けて、怪人は倒れ込む。

 その光の攻撃はヒーローの到着を意味していた。

 歓喜の声があたりを包む。


「避難はヒーローの後についていってください!!」


 大きな声でタマキキャットが言うと、すかさずSUMOライダーが「こっちです!」と誘導を始める。


「タマキキャットが来た!」

「早くあいつを何とかしてーーー!!」


 混乱していた人波がSUMOライダーによって、安全な場所を目指して移動を始める。

 それを見て、タマキキャットは安堵しつつ、杖を構えなおして、怪人を見つめなおす。


「動く気配がない……?」


 恐る恐る怪人に近づき、確認をする。脈はあるようだが全く動かない。

 口からは泡を吹きだしてしまっている。


「なにこれ?」


 タマキキャットは状況が読み込めずに混乱する。

 連続する怪人の襲撃。

 しかも、局所的かつ単発的な発生。

 何かの符号なのかと考えを巡らせて呆けるタマキキャットの後ろから、一人の怪人が顔を表す。


 ゆっくりとした所作で、ぱちぱちと乾いた拍手をしながら、ソレは突然現れた。

 少しだけ残った白髭を生やしたどこにでも居そうなお爺さん。


「誰っ? お爺さん、いつの間に!? ここは危ないので貴方もヒーローに着いていって避難してください!」

「クカカ。」


 タマキキャットの注意喚起も笑って流されてしまう。


「なっ、何がおかしいの?」

「儂はシラセという。初めまして。ヒーローの少女。」


 静かな声。

 タマキキャットは突然された自己紹介に困惑を隠せない。


「あっ、サインなら後でしますからっ!」

「クカカ。 爆発しろ(はぜろ)!!!」


 シラセの言葉で、タマキキャットの後ろにいた怪人の体が突然光始める。

 後ろを振り返った時に、体が膨張して、体の至る箇所から光が漏れている。

 嫌な予感がした。


「シラセさん、危ない!!! 精霊の加護よ。光の壁となりて身を守れ。【ホーリーシールド】!」


 シラセとタマキキャットの前に光の盾が現れる。

 それとほぼ同時に怪人の体がはじけ飛んだ。

 赤黒い肉片がタマキキャットに迫る。


「きゃああああああああ!!!!!」


 タマキキャットの大きな悲鳴があたりに木霊する。

 攻撃自体はガードしていたため、肉体的にはダメージはなかったが、残った残骸は女子中学生が見るには悍ましい光景。それに驚愕して、タマキキャットは座りこんでしまう。


「あぁ……」

「クカカ。ヒーローの少女よ。儂は怪人ぞ。この街は全て儂が貰う。」

「えっ」


 涙目になりながら座り込む、シラセの突然の宣言は理解ができない。

 シラセの方を振り返ると、ビリビリと人の皮を破り、中から、人とは思えぬほど長い白髪に地面につくほどの長い髭を生やしたしわくちゃな顔をした仙人のような怪人が姿を見せる。


「きゃああ!!!!!! 人の中から怪人さんが!?」


 あまりの事態にタマキキャットは驚愕の声が隠せない。


「もう一度言おうか。儂は、千仙怪人(せんせんかいじん) 白老のシラセ。」

「何がどうなってるのっ!?」


 混乱して叫ぶタマキキャットの声を無視してシラセは歪んだ笑みを浮かべて話を続ける。


「カズノコシティのヒーローの戦力図は読めた。しかし、あまりにも貧弱。儂が自ら出向かなくとも、儂の指揮する数百体の怪人共を使えば、一瞬で終わるじゃろう。」

「数百人の怪人さん!? そんなの嘘ですっ!!」


 パチンと指を鳴らすと、空間が歪み、別の景色が現れる。

 そこには怪人が映っていた。

 その歪みが数100個。

 それがシラセの言葉が嘘でない事を示している事をタマキキャットは理解できてしまった。

 そんな数の怪人を相手にするには無理だろう。そうでなくても今、自分たちはバラバラなのだ。

 びくびくと震えるタマキキャットに歪んだ笑みを浮かべたまま、シラセは言う。


「このまま潰すのは他愛無い。……が、それでは詰まらんよな?」

「なっ、何が言いたいんですか!?」


 シラセの口角が更に上がる。

 しわくちゃな顔がより歪んだ。


「儂はな。めんこい人間の少女に必死に頼まれると断れなんだ。」

「……?」

「察せんか? のぅ、ヒーローの少女よ。変身を解き、儂に土下座し懇願せい。」


 タマキキャットは、下唇を噛みしめる。

 言われるがままに、タマキキャットは変身を解いた。

 そして、梢は頭を床に着けて、土下座をする。


「良い光景じゃわい。してお前の名前は?」

「梢……玉置梢です……」

「そうかそうか。して梢よ。儂に何をして欲しいじゃ?」

「お願いします……この街の襲撃をおやめください……」

「クカカ。襲撃をやめてくれとな。見かけによらず強欲じゃて。」

 

 愉快に笑いながらシラセは少し考えて「そうじゃの―― 一週間じゃ。一週間、待ってやろうぞ。」っと答えた。


「約束がちがうっ!」っと反論しようと顔を上げようとすると、頭を足蹴にされてしまった。

「見かけによらず勝気じゃのぅ。これは温情じゃ。1週間も待ってやるなぞ。それとも今からやるのか? ん?」

「……ごめんなさい……」

 

 誰に向けた謝罪なのか。梢の声はか細く消え入りそうであった。


「梢よ。一週間後、楽しい遊技をしようぞ。せいぜい頑張ることじゃ。」


 シラセは上機嫌に答えるとその場から消えてしまう。

 残された梢は、固いアスファルトで傷ついた額に手を当てて、ただただ呆けることしかできなかった。

いつも見て頂きありがとうございます!

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