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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
激闘 怪人協会
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梢の悩み

 訓練をするから学校に戻るという立松陽平と別れて、タマキキャットこと玉置梢は帰宅していた。

 家の中からは母の笑い声が聞こえていた。


(ママが誰かと話してる?)


 ふと、今日は家庭教師の予定が入っていたことを思い出す。


――まさか?そんなはずは?


 梢の中に小宮の顔が浮かんだ。あの戦地で出会った人がいるはずないと思っていた。


――もしかして、あたしの早とちりだったの?


 梢は靴を脱ぎ棄てて、家に上がる。


「ただいまー!」

「あら、お帰り、梢。そうそうエレナさんが来てるわよ。」


 母の前には女性、エレナが座っていた。


「梢ちゃん、お帰りなさい。」


 エレナは笑顔で言う。


「エレエレ先輩!えー!どうしたの!?急に家に来るなんて珍しいね。」

「こらっ!梢、馴れ馴れしいわよ。」


 まぁまぁと母を制しつつ、エレナが梢に答える。


「あはは、急に梢ちゃんと()()()したくて、つい来ちゃったのよ。そしたら、お母さんが帰ってくるまでお話し相手になってくれてたの。」


 話したいということが協調されていて、梢は何か二人で話したいというニュアンスが含まれていることを察する。

 

「そうだったんだ!あたしもエレエレ先輩に久しぶりに会えて嬉しい!それじゃ、積る話もあるから、あたしの部屋に移ろっか。」

「本当に二人とも仲良いわね。」


 梢がヒーローになりたての時にエレナの近くでサポートをしていた。

 その時から、梢とエレナは良く一緒に居たため、母の印象にも残っていたのだった。


「エレナさん、梢をよろしく頼むわね。」


 エレナは「はい。」と短く返事をすると、「梢ちゃんの部屋に行こっか。」と梢に振る。


「それじゃ、こっちだよ。」


 梢はエレナを手を引っ張りリビングを後にした。

 それを見送り夕食の準備をし始めた母に対して、後ろから顔をだけ出した梢から声が掛けられる。


「そうだ!ママ、今日家庭教師の日だけど何か連絡ってあった?」

「あらやだ、すっかり忘れてたわ……今日は小宮先生さん遅いわね。今まで時間より早く来てくれるから忘れてたわ。うーん、ちょっとカテキョーカイに連絡してみるわ。梢はエレナさんとお話ししてて待っててね。」

「わかったー!」


 梢の声が遠くなり、どたどたと二階に上がる音がする。


 夕食の準備をやめて、カテキョーカイに電話をかける。


 何度かコール音が鳴った後、誰も出ずに留守電に切り替わってしまった。

「あの、玉置です。本日予定した小宮先生さんはどうしましたでしょうか?」とメッセージを残こす。

「あら?誰も電話に出ないわ……忙しいのかしら。」


 疑問府が浮かんだ顔をして電話を戻して、夕食の準備を再開しだした。


☆☆☆


「わぁ、やっぱり梢ちゃんお部屋って感じだ!」


 沢山並んだヒーローグッズを見て、エレナは声を上げる。


「えへへ~。お小遣いはついついヒーローグッズに使っちゃうんだよね。」

「あら?」


 アクセル、タマキキャット、エレナエレファントなどの人形が並べ立ている棚に置かれた骨の人形がエレナの目に留まる。


「この骨の人形は?」

「あっ、それは、えぇーと……」


 少し逡巡したあと、梢は話題を変える。


「あっ、エレエレ先輩、それよりお話しってなんなの?」

「そうね。家庭教師の人も来るかもだし。本題行きましょうか。二つあるのよ。」


「二つ?」


 首を傾げて梢は聞き返す。


「梢ちゃん、いえ、タマキキャット。優君の死の原因について教えてほしいの。」

「あわわ。なんであたしに……」

「だって貴女も居たんでしょう?丁度あの時、イクラシティに。そして戦っていた。違う?」

「……それはエレエレ先輩の勘?」

「勘……よりも確信に近い予想かしら。あの場所で生き残った5人の中学生って優君の教え子の君たちだったんでしょう?それが分かれば、貴女が戦っていた事は容易に予測できるわ。」

「……あのニュースで名前は出てなかった……はず。だから私達だって確証はない……」


 梢の言葉を遮り、エレナはすぐに反論をする。


「勇二ちゃんよ。本人が言っていたのだから、間違いようがないわ。」


 梢は俯いたまま何も言えずに黙ってしまう。


「私は既にヒーローじゃないのだから、貴女が教える義理も義務のないのは承知しているわ。でも教えて欲しいの!優君は誰にどんな怪人にやられたの?」


 梢は俯きながら「……知ってどうするの?」と聞いた。


 その問いにエレナは目を逸らして「どうもしないわ。知りたいだけよ。」とだけ短く答える。

 しかし、付き合いの長い梢にはそれが、嘘であるという事はすぐにわかってしまった。


「エレエレ先輩、知りたいだけなんて嘘だよね?もしかして、目的は復讐……?ヒーローが個人的な復讐をするのは、ダメだってエレエレ先輩も言ってたことだよ!?」

「……私はもうヒーローじゃないから。」

「なら、やっぱり教えられないよ!エレエレ先輩。最近、怪人さんたちの動きも活発になってて危険なんだよ。」

「……そっか。梢ちゃんはしっかりヒーローになってるのね。」

「エレエレ先輩のおかげだよ。」


 二人は見つめ合い視線がぶつかる。

 しばし見つめ合った後、エレナは大きなため息をつく。


「はぁ……私の根負けよ。梢ちゃん、強くなったわね。」

「えへへ~」

「でも何があったのか教えてくれないかしら?真実は知りたいわ。勿論、復讐はしないわ。」


 梢は逡巡をする。

 エレナの声色から嘘ではないだろう。しかし、自分の中にとどめている事を話して良いのか?

 そして決心をした。


「エレエレ先輩には話すよ。実はあたしも誰かに聞いて欲しかったの……」


 梢は息を飲み込み、言葉を紡ぐ。


「あたしも教えられるほどの詳しい情報は無いし、もしかしたら嘘だと思われるかもしれない。」

「イクラシティを滅ぼしたのは次元統合獣(カオス・ビースト)って街を一つ覆うほど大きな怪獣さん。」

「怪獣?怪人が連れてきたの?」

「多分、違うと思う……あたしもわかんないけど、怪人さんはあたし達を守ってくれていたと思うの……」

「怪人が人を守る?そんな事――」

「あるわけないことが、実際にあったんだよ!そもそも、GUYコツさんは……」


「待って、梢ちゃん。突拍子もない情報ばかりで正直、混乱しているわ。」っと頭を抑えつつエレナは梢の話を制しする。


「あっ、ごめんなさい。ただ、ゆーいち先生は怪人さんじゃなく、その怪獣さんにやられたんだと思う。イクラシティで出会った怪人さん達に、ゆーいち先生がやられちゃうほどの強い怪人さんは居なかったもん。あたしは体調不良もあってまともに戦えなかったんだけど。」

「怪獣なんてものが出ていたのね……」

「そう、エレエレ先輩、この話はここだけにとどめておいてほしいの。」

「怪獣がでたなんて、重要な話をヒーロー協会に伝えなくてないの?」

「うん……ヒーロー協会のゼクスさんが怪しいって……そう言われたの。あたし、イクラシティに行く前から体調がおかしかったんだけど、それがゼクスさんの所為だって。」

「そうなのね。ゼクス……私もあったことあるけど、偉いおじさんって感じしかなかったけど……そうなのね。」

「うん。だから、報告を躊躇ってるの。今は怪人の動きも活発になっているから、考える余裕もないし……ゆーじは学校に来ないし。」


「勇二ちゃんが……?」

 勇二の名前が出て、エレナの顔が曇る。


「どうしたの?エレエレ先輩?」

「私二つ話があるって言ったけど、そのもう一つが勇二ちゃんの事なのよ。」

「ゆーじの事?」

「そう。この前の告別式で勇二ちゃんに酷い事を言ってしまったわ。」

「何があったの?」

「私、優君が死んだのは勇二ちゃん達の所為だと言ってしまったわ……君たちが足を引っ張ったんだろって。」

「あの後、ずっと泣いて泣いて、眠ってしまった後に、冷静になってとっても酷い事を言ってしまったって理解したわ……」

「事実だよ……ごめんなさい。エレエレ先輩。確かに私達はゆーいち先生の足を引っ張ったと思うの。だから、今、一生懸命強くなろうとしているよ。絶対に後悔したくないもん。」

「うん。そうよね。優君の教え子は良い子だものね。」

「うん。」って梢は大きく頷きながら応じる。

「優君が守ったものを私が傷つけるなんて、そんなのおかしいよね。だから勇二ちゃんに謝りたくて梢ちゃんに頼ってきちゃったの。」

「分かった!セッティングはあたしに任せて!今日はゆーじにメールしておくね。明日は学校で言うよ!学校に来ないなら家に行って伝えるね!」

「梢ちゃん、ありがとうね。」


☆☆☆


 玄関でエレナを送りだした。

「ばいばい!エレエレ先輩!!」

「夜分遅くにすみませんでした。夕飯までいただいてしまって。」と、エレナは梢と梢の母に頭を下げる。

「いいのよ。エレナさん、気にしないで!おいしいって言ってもらえてうれしいわ。また来てね。」


 エレナの姿が見えなくなった後、母が梢に「カテキョーカイのことは明日確認するわ。今日は連絡がなかったのよ。」と伝えてきた。

「そうなんだ……」

「小宮先生さん、どうしちゃったのかしらね?お休みなら連絡くらいほしいわよね。」


 母は心配をしてつつ、電話にでないことにぷりぷりと怒っているようだ。


「まぁ、宮ちゃんせんせーも色々あるんだよ。きっと……」


 そう、彼とはイクラシティであったのだ。あの惨事の中で戻っているはずがない。

 梢は少ししていた期待を捨てた。


 肩を落としつつベッドの上で横になり梢は勇二にメールを送った。

 しかし、そのメールには数時間経っても返答はなかった。

いつもお読み頂き誠にありがとうございます!

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