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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
激闘 怪人協会
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運命の分かれ道

 皆がバラバラに分かれてから、勇二は歴と共にずっと慰霊碑の前に祈りを捧げた。

 埋めることのできない喪失感を埋めるように。


 気分は晴れることがなく、この葬式会場のどんよりした空気の流れがそれに拍車をかける。

 慰霊碑を後にして、会場の中にある休憩スペースで二人で座りながら雑談をしていた。


「歴、付き添ってくれてありがとうね。」

「いえ……優一先生のことがあったとはいえ、勇二さんはこっちに戻ってきてから、元気なかったですし心配でしたもの……」


 歴は顔を赤らめながら答える。


「それに、一緒に居たかったんです……」


 ぼそりと、歴が何かを言った気がした。「何か言った?」と、聞き返そうとしたときに、勇二の視界に喪服を着たエレナが入った。

 もともとはヒーローをやっていて、梢がエレエレ先輩と呼んでいる人。

 そして、エレナは優一と結婚をした女性でもあった。

 そのため、優一のために来たのだと直ぐにわかった。

「歴、ごめん。ちょっと待ってて!」

「は、はい……」


 勇二は今、自分が抱えている無力感を話せる人だと思った。


☆☆☆


「エレナさん! お久しぶりです!」

「あら? 勇二ちゃんじゃない。勇二ちゃんも優君のためにきてくれたの?」


 寂しさを隠して若干明るい顔で応じてくれる。

 自分に悲しい気持ちを見せまいとしているのだろうことが勇二には伝わった。


「そうです。」

「そっか、うん、優君も喜ぶと思う。」

「あの…エレナさんは大丈夫ですか?」

「私は大丈夫よ。」


 そう聞いては見たが、顔をよく見ると、赤く腫れて隈のある目元と手入れがされていないであろうぼさぼさの髪の毛がエレナが大丈夫でない事を教えてくれる。

 じっと目ていると、エレナが勇二の視線に気が付き、一瞥すると、急に眼に涙があふれてくる。


「エレナさん!」

「あはっ、勇二ちゃんって優君に目元が似てるね。流石、兄弟。」


 目にたまった涙を拭くと、少し溜息をした後、エレナはつぶやく。


「はぁ……なんで優君はこんな時期にイクラシティなんて行っちゃったの……寂しいよ……」


 エレナの様子を見て勇二は胸が締め付けられる。

 エレナと優一は見ている側が恥ずかしくなるほどのおしどり夫婦だった。

 その片方が、消えてしまったのだ。その喪失感は勇二の想像以上なのだろう。

 勇二は何も言えずにうつむく。こんな状態の人に自分の悩みをぶつけていいものか。

 でも誰かと共有しないと自分も壊れてしまいそうで……


 勇二は葛藤する。

 そもそも、今のエレナはヒーローとは無関係の人だ。結婚を機にエレナは魔法少女エレナエレファントの引退した。それは当時大ニュースにもなり、世間を騒がせたことを覚えている。

 梢からも優一からも、優秀なヒーローの先輩としてして聞いていたため、勇二も甘えたい衝動に駆られてしまっていた。


「ヒーローという仕事の危険性は十分にわかっていたのにね……優君なら大丈夫だって思ちゃってたのかな?まさか、こんなにもあっさり別れが来るとは思っていなかったわ……」


「ん?勇二ちゃん?どうしたの?」


 ゴクリと唾をのみ、勇二は口を開いた。

 自分の悩みの相談するかは置いておいて、この人には事実を伝えないといけない気がした。

 

「あの……エレナさん……」

「どうしたの?あらたまっちゃって?」

「エレナさんは既に知っているかも知れないけど、僕、僕らも優一と一緒にイクラシティに行ってたんだよ。」

「あぁ、生き残りの子共って君たちの事だったのね……」


 エレナは何かを悟ったのか、少し険しい顔を浮かべた。


「僕たちはイクラシティに行ったのは特訓のためだったんだけど、ちょうど怪人の襲撃があって、戦うことになったんだ。それで、」勇二の話の途中で、エレナが口を開く。

「そっか、なんか全部繋がっちゃった……優君は君たちを守ってやられちゃったのね。」


 少し嫌味の効いた言い方に感じたが勇二は反論が出来なかった。

 自分の意志とは無関係に口から言葉がでてきてしまう。


「違う!違うんだよ!エレナさん!僕は、僕は……」


 悩みを相談するどころか、今自分が抱えている後悔をつつかれて、言い訳がましくなってしまう。

 エレナの目は出会ったときに見せてくれた優しいものではなくなってしまっている。


「僕たちがもっと強かったらって……」

「うん。」

「もっと、僕たちに経験があればって……」

「そうだね。」

「怪人に情けなんかかけずに、ちゃんと殺していれば……」

「……」


 怪人に対しての殺意を口にした時、勇二の心に何かが入り込んできたような気がした。

 そうだ。怪人に情けをかけなければ、こんな惨劇は起きなかったのではなかったんじゃないだろうか?

 そうだ。あの時、捕まえるんじゃなくて、怪人はきちんと息の根を止めれば、皆が苦しまずに済んだんじゃないだろうか?


「勇二ちゃん……」


 エレナはこの時、勇二に対して何かの悪寒が走ったが、今はそれを口にする気力がなかった。

 愛する人を失った。その原因が目の前に居て、冷静な判断が出来なくなっていたのだろう。

 だからこそ基地から出たのが突き放すような言葉になってしまった。


「ごめんなさい。今は君の顔を見たくないわ。」


 エレナの言葉を無視して、勇二はぶつぶつとしたを向いてつぶやいてる。


「私は少し冷静になったら、また、ちゃんとお話しを聞きにくるね。勇二ちゃん、ごめんね。」


 そう言い放ってエレナは立ち去っていった。

 その様子を遠くで伺っていた歴は様子がおかしいと勇二のもとに駆け寄ってきた。


「勇二さん、勇二さん、大丈夫ですか……!」


 歴の言葉で我に返り、「あぁ、うん。大丈夫だよ。」と、どこか黒い影の残るトーンで返答する。


「そうですか。よかったです……」


 歴がふぅと息を吐く。

「そろそろ帰りましょうか……?」

「そうだね。そうしよっか。」

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