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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
激闘 怪人協会
72/214

☆幕間☆

今回はヒーロー視点の話です。

 街に戻ってきた玉置梢達、ヒーローの卵達は、黒い礼服に身を包み、ある葬式会場に来ていた。

 力及ばず、大きな被害を出してしまった事を悔い、怒りなど複雑な感情が心をかき乱しながら、じっと今やれることをまっすぐにやろうと心に決めていた。


 ここは、カズノコシティにある葬式会場。様々な思いが交差した結果、この葬式は大々的に行われることになった。


 地図から消えたイクラシティに旅行に行っていた人たち、イクラシティに住んでいた住民たち

 この会場の中で被害者や行方不明となった人たちの名簿を作成している場所があった。

 梢は、イクラシティで出会った小宮司の名を名簿に記載して、仲間達との待ち合わせ場所に向かった。

 もちろん、あの状況だったのだ。生存している確率は低いだろう。

 それでも、こういったものに名前を書くことで、希望に一縷の望みを託したくなってしまうものだろう。


 イクラシティから戻ってきた梢を含めた中学生5名は取材の恰好の的になってしまった。

 そのため、イクラシティの戦いで失った命を悼んでいた暇もなく、報道関係者に取り囲まれてあれやこれやと質問攻めにされていた。

「やめてくだい。」といった静止も聞かずにあれやこれを言われていたたまれない気持ちになっていた。


「助かった心境はどうか?」

「現場はどうだったのか?」

「何故、貴方達だけ無事だったのか?」

「他の被害者はどうなっていると思うか?」


 状況を知りたい一心からか、失礼な質問や野次も飛んでくる。

 それらに辟易して、5人が揃って木蔭で休んでいたときだった。

 一人の年配の男が話しかけてきた。


 少しボロボロの茶色のジャケットを羽織り、緑と白のストライプが入ったペレー帽を被った怪しい雰囲気を醸し出している。


「君たち、イクラシティの件、もう少し詳しく聞かせてくれんかな?」

 その質問に一番に答えたのは陽平だった。


「今、俺らはちょっと気が立ってるんだ。すまないけど、日を改めてくれよ。」

「まぁまぁ、すまないね。おっと、自己紹介がまだだったかな。ワシはヒーロー専門の記者をやっているトシというものでな。優坊とも懇意にさせてもらってたから、今回の件は残念に思ってるよ。君たちも辛い立場ではあるだろう。……だが、仕事は仕事、ヒーロ―として事情を踏まえて君たちが見てきたものを教えてほしい。」


 帽子を取りながら、トシは頭を下げる。

 つまり、この男はヒーローとしての仕事を果たせと言っているのだ。

 皆が口を詰まらせていると、勇二が口を開く。

「優一は、怪人に殺されたんだ……」

 その言葉を掴み、トシは話を広げ始める。

「つまり、君たち、タマキキャットちゃんとアクセル君の二人がかりでも怪人に負けた?それだけの戦力が怪人にあったと?ザ・レットとジ・オレンシの二人組に以外に誰かいたのかな?」


「ザ・レットとジ・オレンシ?そんな奴らいなくなかった?」


 薫の言葉にうんうんと皆が頷く。それを受けて、トシは更に突っ込む。

「ふぅん。そうなのか。では君たちは誰に負けたのかな?」

「変な5人組でしたよね……」

 歴の言葉を訊いて、梢は勇二の裾を引っ張り小さくひそひそと話かけてくる。

「ねぇ、ねぇ、ゆーじ?あそこに怪人さんが5人しかいなかったの?……あたし、猫の怪人さんに急に襲われたくらいしか知らないんだけど……」

「そうだよ。そういえば、梢はなんか調子が悪そうだったよね。」

「うーん……調子が悪いというか……なんか時間間隔が普通じゃなかったというか……」


 ひそひそと話す二人を無視して、トシは更に質問を続ける。


「変な5人組?タマキキャットちゃんやアクセル君よりも強いってことは、A級以上の怪人?名前や見た目とか特徴はどんなものだったかわかるかな?」

「なんか、骨の奴、猫の奴、黒いローブを着た奴、ボディービルダーみたいな大男、小さな少女の5人でしたよね。」と歴が答える。


 その外見の特徴を聞いてもトシのデータベースに全く引っかからなかった。悩んでいると、薫が「黒ローブの奴はスルメンと言って、私と戦ってる時に異形化してきたよ。」と補足する。

 

 それを聞きトシは一つの違和感を覚えた「異形化していない、つまり怪人と完全になり切れていない奴を含めた戦力だったというわけだ。……それだけだとアクセル君が負ける要素が無さすぎるし、街一つを消す力なんてあるのだろうか?」

 少し考えこんでいると歴が補足で説明を付け加える。


「ちなみに、彼らは、互いにGUYコツ、キャットシー、スルメン、テッペキン、アレグラとか呼び合ってましたね……」

「流石、菊水だな。良く覚えてんなぁ。俺が戦った奴がテッペキンって奴だったくらいしか覚えてないわ。」

「私、戦闘は苦手だし、こういった事しか得意じゃないから……」


「GUYコツ……」、現場に居た怪人の名前が歴から出た事で、梢は少し考えこむように下を向いた。


 トシもまた、理解できないといった不思議な表情を浮かべながら、

「しかし、全く聞いた事のない怪人ばかりだ。アクセル君がそんな聞いた事もないような怪人に負けるとも思えないんだけどなぁ。他に何かが起こっていたのか……別口で調べてみる必要がありそうかな。」

というと、「君たち、ありがとうね。」とだけ答えるとその場を離れていった。


 考えこむ梢に、歴が話かける。

「梢さん、どうしました……?」

「れきれき、本当にGUYコツって怪人さんが街を襲っていたの?」


 質問の意図が分からず、不思議な顔をしながら「えぇ、住民に暴行を働いていたと思います……」と小さく答えた。


☆☆☆


 トシとの話を終え、死者を悼んだ後、「なぁ、皆、これからどうする?俺はもっと強くなりたい。だから、今から学校に戻って訓練をしようと思うんだけど。」」と陽平が話を切り出した。


「僕は、もう少しここに居るよ。」と勇二が直ぐに答える。

 勇二は皆には、優一の最後の瞬間を見たことを言っていなかった。自身もまだあの光景を未だに消化できないでいた。それによって、勇二はかなり心身ともにやられてしまっていた。


やつれる勇二に「勇二さん、私もご一緒して良いでしょうか……?」と歴は言う。

「うん、歴、ありがとう。」


 勇二と歴は葬式会場に残ることにした。


「なら、私は陽平に付き合ってあげるよ。あの時、もっと私が強かったらって思うもの。」と薫が言い、「サンキュー、薫」と陽平が軽口で応じる。


 薫と陽平は学校に向かう事にした。


「あたしは少し考えたいから、一回に家に戻るね。」

「梢、大丈夫?体調が悪いんじゃ?」と自分も酷い状態なのに、自分の心配をしてくれる勇二に感謝をしつつ梢は、

「ゆーじほどじゃないよ。ゆーじこそしっかり休むんだよっ。」

と答える。


 梢は家に戻る事にした。

いつも、お読みいただきありがとうございます!

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