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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
復讐に生きる怪人
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絶望の二択

 がはっ……


 俺は、その場に膝をつく。

 正面にはこちらをにらみつけてスラッシュが佇んでいる。


「強情な奴だ。もう良いだろう?そろそろ小娘の居場所を吐いたらどうだ?もう残っている吸血鬼はアレだけだ。一人は可哀想だろう。」


 スラッシュはこの館に居た吸血鬼を全て殺したのだろう。

 スラッシュの部下、ザンザザンを倒した後、唐突に表れたスラッシュと相対することになった。10分はやり合っていたと思う。しかし、俺は防戦するだけで精一杯だった。まるで遊ばれているようだだった。

 しかし、とどめを指す気はないらしい。何度もチャンスはあったにも関わらず、俺はまだここに居る。


 それもそのはず、俺にアレグラの居場所を吐かせようとしているのだから。


「知らねぇ…ってアレグラとは怪人協会を首になった日に分かれたから、どこにいるのかわからない。」

「貴様が知らぬわけはあるまい。なぁ、テッペキン。」


 俺の答えは無視をして、戦いを見ているテッペキンに話を振る。


「は、はい……吸血鬼の小娘は……GUYコツと最後に出かけて行きました……」


 話を振られたテッペキンは詰まりながらもたどたどしい回答をする。


「ということだ。貴様が知らぬはないだろう?」


 スラッシュはテッペキンの回答を聞いた後、俺に視線を向ける。狂気に満ちた目だ。

 見つめていると怯みそうになる。


「例え知っていたとしても仲間は売らねぇ!!」


 それが俺の答えだった。


「仲間……か。テッペキンに裏切られてもなお、仲間を信じるか。」


 含み笑いを浮かべながら、スラッシュは俺の右手を踏みつける。


「ぐあぁ!!!」

「GUYコツ、早めに話した方が良いぞ。我は気が長い方ではないからな。ハヤブサン、アレを持ってこい。」

「はっ!」


 横から返事が聞こえた後、何者の足音が響く。


「どうだ?話をする気にはなったか?」

「ないな。どれほどやられても、俺は口を割らないぞ。」

「そうか。お前には人質の方が効果がありそうだ」

「人質?もう吸血鬼は居ないんだろう。全滅させたのは早まったな。」

「減らず口もそこまで来れば、大したものだ。」


 スラッシュは足に力を入れて俺の右手を潰す。


「ああぁ!!!」


 俺が苦しんでいると先ほど出て行った怪人が台車を持って戻ってきた。


「スラッシュ様、猫怪人を連れてきました。」


 その言葉のする方向を薄目で見ると、ボロボロに傷ついたキャットシーが運ばれてきた。

 いつものおちゃらけた様子はなく、蹲っているようだ。


「なっ!キャットシー!!」


 狂気に満ちた笑みを浮かべてスラッシュは俺に問う。


「選べGUYコツ、どっちを選ぶ?どちらが仲間か?」


 はぁ……

 はぁ……


 冷や汗が止まらない。

 胸が苦しい。


 ヒーローになれ!今こそリボーン(ヒーロー)に!!


 しかし、願いは虚しく、何故か変身には至らない。

 心の祠で俺はいつでもヒーローになれるんじゃ無いのか?

 途切れ途切れの息で細かく呼吸をしながら、迫られた選択は俺を追い詰めていく。


「逃げるな!貴様の招いた結末だ。」


 涙目になりながら、スラッシュを見るが、ぼやけた視界に映るには鬼が写っている。


 助け…

 言葉にならない声で、誰かに助けを求めていた。


「俺は……選べない……もうやめてくれ。」

「吸血鬼の小娘の居場所を吐く気になったか?それともこの怪人を見殺すか?」


「テッペキン……」


 テッペキンに助けを乞うもやはり目を逸らす。


「……すみません……」

「スラッシュ、もうやめてくれ。もう、俺には無理だ。」


 俺の態度を見て、大きなため息をつくとスラッシュはテッペキンに命令をする。


「テッペキン、そこの猫怪人に止めを刺せ。」


「へい……」


 ノロノロと重い足取りでキャットシーの元へ動き出す。


「テッペキン、止めてくれ。」


 俺の声でこちらを一瞥すると、悲しそうな助けを乞う目をしていることに気がついた。


「GUYコツ、ヒーローならこの状況をなんとかしてください……」


 そう訴えているようだ。

 助けに応じるのは俺のほうだ。誰もが、この場を変えるヒーローを待ち望んでいる。


 俺は大きく息を吐き出す。守る為に、立ち上がるのだ。

 その瞬間、胸の奥が熱くなる。

 今ならわかる。これならば、ヒーローになれる。

 何かを具体的な目的が、ヒーローになる為に最後に必要なピースだ。

 もっと早くに気がついていれば、ここまでの惨事は起こらなかったかもしれない。後悔の念が俺の胸に宿る。


「ならばこそ!!!変身だ!!!」


 GUYコツから放たれた眩い輝きはテッペキンの動きを止める。

 決意を胸に抱き、俺はスラッシュを払い除けて立ち上がった。


「テッペキン!そこを動くな!大丈夫。俺が終わらせるよ。」


 テッペキンは動きを止めて此方をみる。赤いマフラー

 靡かせながら、スラッシュと相対するリボーンは傷も完全に癒えているようだ。


「GUYコツ。それで我に勝った気か?たかだかヒーローになったくらいで?」


 スラッシュは刀を抜いて身構える。


「また遊んでやろう。お前の力では力不足だよ。テッペキン、命令は必ず実行せよ。また拷問はされたく無いだろう?」

「拷問。テッペキン、俺はこいつに勝つ。信じろとは言わない。だが、助けを求めるなら、今は止まってくれ。」


 スラッシュとの2戦目が始まる。

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