模擬戦vsスルメン 1
「おー、随分と広い庭にゃ!」
「でしょう?」
アレグラに案内された庭は広かった。
「……ここなら思う存分ヤレるな。」
「さすがは吸血鬼ですねー。こんな場所も持ってるなんて。」
「GUYコツは確定として、誰がやるにゃ?」
「……俺がいこう。皆はGUYコツの分析を頼む。」
そう言って、スルメンが前に一歩踏み出した。
「原、頑張って!」
「……GUYコツが本気出せるように頑張るさ。」
「おいおい。いきなりか!スルメン、準備運動くらいさせてくれ。」
「もうGUYコツのそういう問題を先送りしようとするとこ!あー、気ににゃるにゃー!勝手にやればいいにゃ!」
「……俺はいつでもいいぞ。こいよ、GUYコツ。お前は攻撃を待っててやる。」
マジか……いきなり始まるんだな。
全然覚悟なんてできてないぞ。
「お、おぅ。」
パンパンと顔をはたき気合を入れ直して、俺はスルメンに飛びかかる。
「ウォォォオ!骨パンチ!!!!」
ただの殴りの攻撃。
しかしやはりスルメンには全く効いていないようだ。
「……しょぼいな。俺の反撃だ!【|多数触手の鞭《インフルートスレッド≫】」
スルメンの背中からタコやイカを思わせる吸盤のついた触手が数本生えてくる。
そして、その触手をしならせ、俺めがけてふるい始める。
すぐさま回避をする。
触手はリズムを刻むようにバシッ、バシッと音を立てて地面にぶつかる。
えぐり取られた地面を見て、俺はスルメンに向かい声をあげる。
「おい!スルメン、威力強すぎないか?まさか本気でやってるのか?」
「……本気だよ。だからGUYコツもお遊び気分は捨てろ。全てをかなぐり捨てて来い。」
「おいおい。模擬試合で怪我をさせるとか勘弁だぞ。」
「……なら、本気でこないのか?俺は本気でやるぞ?【完全拘束する触手】」
足元の地面が突如、ひび割れて、そのから蛇のような動きをする触手が現れる。そして、素早い動きで俺の足首に触手が巻きつく。
そのまま、宙に持ち上げられると、さらに数本の触手が、俺の体に巻きつき、俺の両手足をしばりあげる。
手足の自由ごない状態で、体も首の触手が締め付ける力を徐々に強くしていく。
「ぐっ……くるしぃ……」
触手をパンパンとはたきギブアップの意図をスルメンに伝える。
スルメンの触手から解放される。
へんな呼吸が口から漏れる。地面にああ向けに倒れ空を仰ぐ。
(くそっ、全然歯が立たないじゃないか。)
「……終わりか。やはり大したことないな。皆の分析はどうだ?」
「やっぱり雑魚いにゃー。」
「スルメンが強いのかも知らないですが、そもそもGUYコツのアニキからはやる気が感じられなかったです。」
「にゃー。気分の問題かにゃ?」
「……気分で強くなるとかありえるか?多少の上下はするかもしれないけど。」
「そうだわ。司が本気になるようにしましょうよ!」
「にゃ?」
アレグラはスルメンとキャットシーに何かを耳打ちする。
それを聞き少し驚いたような顔を見せたスルメンは「……いいだろう。」と呟くと悪い笑みを浮かべ始める。
「にゃー。シャーにゃいにゃー。」キャットシーは渋々と承諾する。
「……おい、GUYコツ、もう一戦だ。」
「もういいだろ。俺は弱いんだよ。」
「……次は賭けをしよう。そうだな。お前が負けたら、アレグラ嬢を殺すっていうのでどうだ?」
スルメンの言葉の後にアレグラを抱えて、鋭利な爪を首にあてがい掻っ切る準備したキャットシーが現れる。
「スルメン、キャットシー、お前らは何言ってんだ?仲間だろ?それに俺が負けることとアレグラは関係ないだろ?」
「……ネオ怪人協会やヒーローどもと戦って負けて死んだり捕まったりするよりもここで死んだ方がマシだろう。」
「それでも、なんで仲間を殺すなんて言うんだ。」
「……俺なりの優しさだよ。お前が不甲斐ないのが原因だよ。」
「にゃはは。GUYコツ、本気ににゃれにゃ。アレグラ嬢を守りたいにゃら。」
「司!原も美衣子も本気ですわ!わたくしを助けて下さいませ!!」
「……いくぞ、GUYコツ。【|多数触手の鞭《インフルートスレッド≫】」
再び、スルメンの触手が俺を襲う。
「マジか!?スルメン、キャットシー!」
「……御託は良い。こいよ。お前の強さを見せろ。」
鞭のようにしなる触手が容赦なくGUYコツを襲う。
「お前らがそのつもりなら、俺は、俺は……うおおおおおおおおお!!!!! 変身!!!!!」
GUYコツの声が広い庭の中に木霊する。




