吸血鬼の問題点
「司、ここがお爺様のお部屋ですわ!」
「おぉ、これはなんとも立派な。」
バイロン候に呼ばれたので、アレグラの案内にされて一室の前に着いた。
案内中にアレグラは吸血鬼の館の中を色々と見せて回ってくれたのだが、ホラー映画に出てくる吸血鬼の館のイメージそのものであった。少し感動していた。
「それでは入りましょうか?司もいいですわよね?」
「おう!」
来ていたワイシャツの襟を正しつつ仕草をしつつアレグラに返事をする。
ギイィ……
「おぉ、GUYコツ殿よく来てくれた、ありがとう。アレグラ候も手間をかけたね。」
威厳のある人物が部屋の中に佇んでいた。
来訪者である俺たちを優雅な態度で出迎える。
「お爺様、司を連れてきましたわ!」
「私は小宮司、怪人名は屍怪人GUYコツ。呼ばれて参りました。一昨日はお世話になりました。」
軽い会釈とともに挨拶をする。
「まぁまぁ堅い話は抜きにして、君を呼んだのはあの話がどうなったのかを聞かせて貰いたくてね。」
「あの話?……ですか?」
「ほら、ライ雷オン殿に話をしていた件だよ。」
なんだ?全くわからない……
アレグラにヒソヒソと耳打ちをする。
「なぁ、アレグラ?なんの話か知ってるか?」
「すみません、わたくしには分からないですわ。」
アレグラも知らない。との事。
「……えっ、いや俺、いえ、私は何も聞いてないのですが……」
「そうなんですね。それではあれですかね?あの話の続きは、またライ雷オン殿から直接頂けるって感じですか?」
「あっ……いえ……それは……」
返答に困っている俺を見かねてバイロン候は続ける話始める。
「それにしても怪人協会とのコネクション作りを成功させたアレグラ候の働きにも感謝だな。まさか館に使者の方を連れてきてくれるとは、何か褒美をやらんといけないかな!はっはっは!」
「本当ですの!やったー!!!何を貰いましょう!ねっ、司?」
笑うバイロン候を見かねて、返答に困っていた俺の肩をアレグラが軽く叩き耳元で囁く。
「司、司。わたくしの話を聞いてました?」
「すまん。上の空だった。バイロン候に怪人協会の件は伝えた方が良いよな……」
「あぁ、あの『ねお怪人協会』の事は ですわよね?わたくしも言った方が良いと思いますわ……」
「そうだよな。」
深呼吸をして息を吐き出して、俺は話を切り出した。
「怪人協会の事で一つ大事なご連絡が……大変申し訳ないんですけれどもーー」
俺は経緯を説明した。
「なっ!?つまるところ、怪人協会がなくなったという事だとっ!?では、あの話はどうなるんだ!?」
バイロン候は声を荒げる。
それをアレグラが宥めてくれる。
「お爺様、司だってその質問には答えられないですわよ。」
「おっほん。申し訳ない。アレグラ候から、怪人との協定は取り付けたと聞いたので、てっきりあの話の報告に来てくれたものだと思ってました。しかし、……怪人協会が解体。一度ライ雷オン殿の連絡を取った方が良いんですかね。」
「こちらこそ、すみません。俺はネオ怪人協会に狙われている立場ですから……今、ライ雷オンというより怪人協会に連絡を取るのは危険かもしれません。もしも、バイロン候がライ雷オンに連絡を取るというなら俺はすぐにここを発ちます。俺が出て行った後に連絡をして貰えれば良いのかと思います。」
パンっと手を叩く音がする。
手を叩いたアレグラに視線が動く。
「お爺様、司をもう少しここに居させてもいいでしょう?そうだ。さっきわたくしに褒美を出さないとって言ってましたよね!なら褒美の代わりと言ってはなんですが、わたくしからもお願いしますわ!」
「うぅむ……」
「それに、あの話というもので、私に出来ることであれば精一杯やらせて頂きたいと思います。」
「そうですわ!そもそもあの話ってなんですの?」
「あの話というのは、我々、吸血鬼に怪人の血を提供してもらうという話なのだよ……」
「血?」
「そう。我々、吸血鬼は血が必要なのだよ。今は人と疎遠になっていることもあり、血を貰う事が出来ない……人を襲おうとしたらヒーローが飛んでくるしのぅ。だからこそ、怪人からと考えていたのだ。」
「どの位、必要なんだ?」
「最低でも、一月に1200リットルくらいかのぅ……まぁ、当分は過去の貯蓄でなんとかなるだろうが、あの数年くらいで尽きるやもしれん。血の問題は我々、吸血鬼にとっては死活問題なのだよ。」
「そんなに大量の血が必要なのか……」
「今すぐにはなんとか出来なさそうだけど、何かアイディアが無いか考えてみるよ。」
吸血鬼の問題はかなり大きいのだとわかった。
「そうそう。アレグラ候、GUYコツ君?GUYコツ君と二人で話がさせて欲しいんだけど良いかな?」
「わたくしは構いませんけれど、司は良いかしら?」
「あぁ、良いぞ。」
「それでは、わたくしは皆の元に戻りますわね。」
そういって、アレグラは部屋を出て行った。
「それで、私に話とは?」
「アレグラ候は怪人から吸血したかを聴きたくてな。」
「うん?アレグラ……さんが、血を飲んでるところは見たことないですね。」
「やはり無理なのか……怪人からならと思っていたが……」
「……それは何が問題があるのですか?」
「うむ。あの子は吸血鬼になってから、一切、血を飲まんのだ。だから、今のあの子はいつ死んでもおかしくない状態なのだよ。」
「なっ!?それなら血を与えないとダメじゃ無いですか!」
「そうだよ。しかしの、何度か無理やり飲ませようと色々した事もあるが……あの子は血の匂いですぐにわかってしまうのだろう……」
「血を取らないと死ぬかもしれないと伝えたのですか?」
「あぁ。そこが自分の寿命なんだと言われたよ……」
「そうなのか……」
「だから頼む!君の血をアレグラに飲ませてやってくれんか?もしもこれをやってくれるならば、怪人協会には君の情報は出さないし、ここにいくらでも滞在して貰っても構わない。」
「……善処します。」
バイロン候の部屋から出て、歩きながら考えていた。
吸血鬼とアレグラを救う道ら何か無いものか。




