束の間の安息
俺は博士と一度別れて、再び吸血鬼の館を訪れていた。
俺が館の前に着くと、いつもと変わらぬ様子で暖かく出迎えてくれた。
特に何も起こっていないようだ。
GUYコツはその事に一安心する。
そして、情報伝達のために皆を呼んだ。
広いロビーに、GUYコツ、キャットシー、スルメン、テッペキン、アレグラが一同に介していた。
「んで、GUYコツ、凄い慌ててたけど、にゃにかあったのかにゃ?」
「おう、何かがあってその事の報告だな。それは、怪人協会でな……」
怪人協会へ行ってからの経緯を説明する。
「……成る程な。そんな事があったのか。」
「怪人協会の解散とネオ怪人協会と名乗る組織に狙われるGUYコツのアニキですか。」
「GUYコツの問題はどうでもいいとしてー、」
「おい、キャットシー、流石にそれは傷つくぞ。」
キャットシーの言葉を遮ぎり、突っ込むも無視をされる。
「あたいらは既に怪人協会をクビににゃったって事?」
「なんかネオ怪人協会ってのが怪人協会と別物だったらそうなりますよね。」
「……雑魚戦闘員時代から居た俺と、スラッシュの下で働いていたテッペキンはともかくとして、キャットシーとアレグラ嬢は怪人協会に入って一週間経ってないな。」
「にゃー……怪人協会に入れば楽ににゃるよーって噂を聞いて入ったのにあたいほとんど恩恵にゃいにゃー!」
「キャットシー色々すまんな。」
「GUYコツ、この責任は取れにゃー……」
不貞腐れるキャットシーを横目にアレグラがフォローをしてくれる。
「わたくしは別に気にしてないですわ!それに怪人と仲良くなるって目標は達成しましたもの!」
「アレグラ、フォロー有難うな……」
ふと、キャットシーが話題を変える。それは俺も気になっていた事だった。
「そういえば、気になったんだけど凹凹マンの奴はどうすんのー?」
「それが、会うタイミングを逃してしまってな。」
「……敵対もあり得るかわけか。」
「スルメン、昨日の仲間だった奴が、次の日に敵になるなんて怪人あるあるなんで気にしてもしゃーないですよ。」
「本当に怪人世界は殺伐としてますわね。」
俺は凹凹マンと話をしてから、あの重苦しい会議に出れば良かったと少し後悔していた。終わってから会いに行こうしたのが間違いだった。ただ凹凹マンは大丈夫だろうと考えていた。特に根拠はないがずっと怪人協会にいたと言っていたし、ライ雷オンとも知り合いらしいし。その為、今に至るまで連絡を取れていなかったのだが。
「まぁ、凹凹マンは、基本的にどこでもやっていけるタイプの奴だから、なんやかんやで無事だと思う。」
「……それじゃ、出会った時の相手の立場で考えるって感じか?」
「そうだな。あいつはネオ怪人協会に入った可能性もある。ただ、もしもネオ怪人協会に何かされてるなら、助けに行くさ。」
ひとしきり情報共有を終えたあと、GUYコツは皆に今後の方針を提案をする。
「これからどうするのかは自分で選んでくれて良い。ここから俺とは別行動するならそれでも良い。もしも怪人協会に戻るというのであれば、俺はそれを引き止めない。」
「GUYコツはどうするんですの?」
「俺は博士の秘密基地ってところに行くよ。約束してるし、それに博士の言ってる次元統合獣って奴の脅威も理解できる。それが『GUYコツなら倒せる』と言われたなら、俺がやるしかないだろう。」
「GUYコツがそこまでする必要あるのかにゃ?怪人ににゃったんだから、もっと自由に生きれば良いにゃー。」
「少なくても次元統合獣は危険だ。あれは放置できない。何もなくなったイクラシティを見て俺はそう思った。」
「あぁ、イクラシティの惨状をニュースでやってましたけど、ありゃ酷いもんですね。更地ですしたよ。怪人に襲われただけじゃ、あんなのは出来ないですわ。そっか、GUYコツのアニキはあれを現場で直に見てるんですね。」
「でも、にゃんでGUYコツにゃの?あの最初のへっぽこ具合で何ができるのやら……」
「それは言わんでくれ……俺もなんであの時はうまくいかなかったのかわからないんだよな……」
「美依子、それは司がヒーローだからですわ!」
「アレグラ。それ、あたいは見た事にゃんだよねー。よし、GUYコツ、今ここで変身してくれにゃー。」
「……俺も見た事無いな。」
「すまん。今は無理だな。多分変身できないと思うが……」
徐に立ち上がり変身のポーズをとり叫ぶ。
「変身!!!」
何も起こらない。
「ぷぷっ!」
キャットシーは口を押さえて吹き出しているのが分かる。
「司は気分屋なんだわ。」
「……アレグラ嬢。そのフォローは逆効果だ。」
顔を赤くする俺は俯き、小さくなりながら椅子に座った。
スルメンが話題を変えるくれる。
「……それで俺らは好きにして良いって事だが、GUYコツに着いて行くこともできるって事でいいのか?」
「スルメン、それは凄く嬉しいぜ。だが、危険も一杯だって事もあって一番おススメ出来ない道でもあるな……さっきの通り、恥ずかしい事に俺自身の力も安定してないな。」
「俺っちは行くとこないですし、GUYコツのアニキについていかせてもらいますよ。」
「わたくしも司に着いていきますわ。」
「……俺もそうだな。GUYコツに着いて行くのが、一番面白そうだ。」
「にゃー。あたいもGUYコツに責任取らせるまでは一緒にいてやるにゃ。野良怪人に戻るにせよ。ネオ怪人協会に入るにせよ。今のままじゃ、情報不足でにゃんとも言えんにゃ。」
「皆……有難う。博士の秘密基地には3日後に落ち合う事になっている。それまで、アレグラ、この吸血鬼の館にいさせて貰って良いか?俺がいると少し危険もあるかもしれないんだが。」
「勿論ですわ!少しの危険なんてお気になさらずに。わたくし、おじいさまに許可を貰ってきますわ!」
そう言ってアレグラはロビーを後にした。
「それにしても、本当にGUYコツのアニキと一緒にいるとトラブルに巻き込まれ続きですねー。」
「まったくにゃー!!!」
「……同意。」
三体の怪人が頷き合う。
「本当にすまん。でも良かったのか?お前らはてっきり怪人協会に戻るとばかり思ってよ。」
「……いかんせん俺たちも情報が無さすぎるしな。それにネオ怪人協会ってところは何やらキナ臭い。何故、GUYコツを狙うのかわからんしな。」
「それは俺もだ。襲ってきた奴らはライ雷オンの命令と言っていたが、理由は全くわからん。」
「この吸血鬼の館も襲撃されたりしてにゃ。」
「姉御、縁起でもない事言わんで下さいよ。そんな事言ってるとマジで来ちゃいますよ?」
「にゃはは。」
「……しかし、家もなくなって、人皮もない現状。人里にも降りられないから、こんな立派なお屋敷を貸してくれるアレグラ嬢の好意には感謝だな。」
「にゃー。アレグラもGUYコツに誑かされていい子ににゃっちゃって。」
「キャットシー、言い方!!ただ、そうだな。俺も後で礼を言うよ。今は好意に甘えて束の間の安息の時を過ごそう。」
すると、笑顔のアレグラが戻ってきた。
「おじいじまから泊まって良いと許可をもらってきましたわ!ただ、おじいさまがお話しをしたいと司を呼んでますの。」
「バイロン候が?俺と?」
怪人の襲撃があるかもしれないと言う事の詳細を聞きたいのだろうと俺は思った。
「そうだな。挨拶も遅れたし、是非とも話しをさせてくれ。」
「では、案内しますわ!司、こっちですわ!」
俺はアレグラの案内でバイロン候の待つ部屋へと向かった。




