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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
イクラシティ決戦
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ターニングポイント

 当然現れた化け物とその化け物を切り捨て飛び去っていった謎の男。

 突然現れた二つのものが消え去ったことで辺りには光が溢れ出す。

 落ち着きを取り戻した時間は俺の頭を冷静にさせてくれる。


 大量のアドレナリンで誤魔かしていた傷口が徐々に痛み始め、吹き飛んだ片腕が見て戦いの激しさが思い起こされる。


「終わったのか……」


 見えてくる景色は何も無い焼け野原になった街の様子は否応にも自分の非力さを教えてくれる。

 目に入る範囲で残っているのは俺の周囲にいた9人だけ……

 梢を含む少年少女5人と、俺と仲間3人。


(アレグラの奴は遠くに退避してて無事だと良いんだが……)


「なんか色んなことがいっぺんに起きたな……今はもう疲れた。」


 俺は梢に話しかけて、首を下げてながらその場に座り込む。


「あのっ!?リボーンさん!」


 魔法少女衣装の梢が俺に話しかけてくる。


「なんだよ、こず……タマキキャット?……すまんが俺はもう力が残っちゃいないよ。」


「これは一体なんなの!!」


「俺が聞きたいよ……」


「むぅ、それならなんでここにリボーンさんは居たの?」


「実は俺は怪人協会ってところに入ったてたんだよ。だから、その仕事の一環で来ただけだ。さっきのドラゴンとかいうやつも空を飛んでた鯨もよくわからんよ。」


「仕事って?」


「この街の侵略だな。最初は無血で終わるだろうと思っていたんだけどな……世の中そう甘くはないんだな。と俺の甘さを感じてるよ。」


 質問攻めしてくる梢を軽くあしらいながら体を横にして休む。


「なんでこんな馬鹿な事に……」


「イクラシティの侵略した理由はわからんよ。ただ、流れで俺らがやる事になっちまった。まぁ、俺は怪人も人間も仲良くして欲しかっただけなんだよ。でもな。怪人がここまで人から嫌われてるとは思ってなかったさ。怪人だって良い奴らも多いんだぜ。それこそ見た目以外に人との違いなんてないって俺は感じてるよ。」


「あたしだって怪人さんが全員悪物ってわけじゃないのは知ってるよ……」


「だろうな。タマキキャットって凄いんだなって改めて教えてもらったよ。」


「そんなこと……」


 梢が顔を赤らめて俯く。いつもの様子に安心感すら出てくる。


「俺が最初にあったヒーローがタマキキャットじゃなけりゃ、俺も変な勘違いはしなかったかもな。まさか、他のヒーローも怪人と見ればすぐに敵だと騒ぐとは思ってなかったよ。」


「それは……ごめんなさい。」


「謝ることじゃないよ。寧ろ救われてたんだ。こっちが礼を言いたいよ。ありがとうなタマキキャット。」


 二人の間に少し照れ臭い気まずい空気が流れる。

 GUYコツは寝転がり、顔を梢とは逆の方に向ける。

 その時、フヨフヨと漂う一匹の蝙蝠が俺の側に来た。

 その小さい身体を俺の顔に必死に擦り付けてくる。

(なんだこの蝙蝠?)


 そんな空気を壊したのは、おずおずとした口調で梢から質問だった。


「最後に……貴方は私が知ってる人なの?」


「……どうだかな……」


 大きな溜息をついて梢が俺の横に座り込む。


「教えてくれないんだ。」


「まぁな……俺自身が何者なのかわかってないしな。」


「えへへ、昔死んじゃったお父さんが実は怪人になって生きてて――とか、実は生き別れのお兄ちゃんで――とか、なんか身近な人だったのかって思ってたんだよ。」


「……それは……ありえるのか?」


「あったら素敵だなって!学校のこととかヒーロー活動のこととかいっぱい話ししたいもん!」


「……今は屍怪人のGUYコツで、何故かヒーロー、リボーンになれる変な奴ってだけだよ。」


「そっか……うん、リボーンさんが話してくれる気になったらリボーンさんが誰なのか教えてね!」


「あぁ。」


「それにしても……」


 タマキキャットがあたりを見渡して、遠くに立つ古城だけその異質な存在感を放っていた光景を見てつぶやく。


「あたし、何にも出来なかった……」


「それは俺もだ。」


「……ここには街があって、生活していた人がいて……昨日は凄く凄く楽しく観光をさせてもらってたの。」


「そうなんだな。」


「だからヒーローとしてはこのまま終わるわけにはいか無いの!!リボーンさんが怪人としてこの街に現れたなら、あたしは最後まで戦わなくちゃダメなの!」


 梢は杖を構えて、俺の方に向ける。

 それは俺とこれから一戦を交えようという覚悟の表れだったのだと理解できた。


「なぁ?梢、俺たち怪人とヒーロー……今回の戦いをここでやめないか?」


 梢は疑問符を浮かべた顔をして此方を見る。


「なんで?」


「この街をこんな風にした次元統合獣(カオスビースト)は間違いなく俺ら怪人側は関係ない。更に、さっきの仮面の男(ドラゴン)にも俺らは関係ない。」


「あたしも知らない。」


「つまり、あいつらは完全な第三者って事だ。」


「うん。リボーンさんが……怪人さん達が知らないならそう思う。」


「だから、今、俺らを捕らえたところで、鬱憤は晴れるかもしれないけど、問題の解決にはなってないよな。」


「そう……かな?」


「そうそう。」


「リボーンさんは今のこの街の様子を見てどう思うの?」


「俺の力不足だった。俺が守れたのはこの手の範囲にいた奴らだけだ。だからこそ、次は……」


 全部を守ったらやる。そう言いかけて口を噤んだ。

 俺は立ち上がり、タマキキャットを見つめる。


「力不足はあたしもだよ!あたしが聞きたいのはその言葉の先なの。続くのは贖罪?それとも狡猾な言い訳?」


「タマキキャット。俺に罪を償えと言うなら、俺はここにいた人全員の命を背負って前に進もうと思う。もしも、俺に楽になれと言ってくれるなら自由に捕まえてくれ。俺は抵抗しない。」


 GUYコツは気絶しているキャットシーとスルメンとテッペキンの三人の頬を軽く叩くが全く反応がないのを確認すると、三人の怪人の身体を担ぎあげて、前に進み始めた。


「あーくそ。めちゃめちゃ重いじゃねーか……」


 文句を言いながら歩み始める。

 一歩一歩ゆっくりと進む俺を止めるものは誰もいなかった。


 タマキキャットはボロボロの体で、仲間の怪人を担いでその場を去っていく骨の怪人の姿が見えなくなるのを、ただただ見つめていた。

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