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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
イクラシティ決戦
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次元を狩る者と最強のヒーロー

 タマキキャットの魔法は光を放ちながら辺り一帯の闇をかき消し赤い光を退けた。


「タマキキャット。でかしたぞ!」


「う、うん!」


 梢の魔法により開けた視界。辺り一帯は全て消し飛び無だけがそこにあった。

 俺はふと空を見上げた。俺の目に飛び込んできたのは空に浮かぶ鯨のような大きな生き物だった。


「んだ? ありゃ? くじら?」


 俺の言葉につられて梢も上を見上げる。唖然と口を開けて化け物を見つめている。

 突然辺り一帯が闇に覆われたのは街全体があの化け物が覆い かぶさったから?

 ヒーローとか怪人がいるんだ。あんな化け物もいるんだろう。GUYコツはそう思うことにした。


「あれはなんなの? リボーンさんはあれをくじらって言った? つまりあれのことを知ってるの? あれはこの怪人の襲撃に関係あるの?そもそもこの怪人の襲撃にリボーンさんも絡んでるの? ならなんでヒーローのあたしを助けるの?」


 梢の頭の中には色々な疑問が浮かぶ。空に浮かぶ化け物とGUYコツを交互に見ながら、梢は纏まらない思考をまとめようと頭を抱えて座り込む。

 ぐるぐると巡る思考が整理しきれない。


(うーん……考えても、よくわからないや……)


 それが梢の出した結論だった。なので、事情を知っているであろう目の前の人に質問をする。


「ねぇ、リボーンさん、貴方は……」


 梢が口を開いたその時。

 空に浮かぶ怪物が二つに分かれる鮮血が何もない大地に降る恵の雨のように降り注ぐ。


 ドンッと音がした後、粉塵が捲き上る。


 リボーンは梢を守るように片腕でガードしながら音のした方向を睨みつけている。


「リボーンさん!!」


 梢は声を上げる。


「静かに!」


 ザッザッと砂を踏みつける音が静かに響く。

 それは第三者の何者かがここにいる事を表していた。


 粉塵が晴れると、そこには奇怪な仮面をつけた血の匂いのする人物が立っていた。


「お前たちはナニモノだ?」


 生物の声とは思えないほど抑揚のない声。

 視界には入っていないが、仮面の下から、殺意を伴った鋭い眼光で此方を見つめているのを梢は感じた。


「俺はリボーン、いやGUYコツ。怪人でもありヒーローでもある者だ。」

「あたしは、魔法少女タマキキャット、玉置梢だよ。」


 震えているのがわかるくらいの声でリボーンと梢は新たに現れた人物の問いに答える。


「ふっ、怪人とヒーロー? 魔法少女? ふーん。」


 相手からはどこか小馬鹿にしたような相槌が返ってくる。


「あんたがあの空飛ぶ怪物を始末してくれたのか?」


「そうだ。あれは放置出来ない。」


「あの化け物はなんなんだ?」


「あれは次元統合獣次元統合獣(カオスビースト)って呼ばれる生物だよ。あいつらはこの世界を壊すために顕現している。」


「世界を壊す?」


「そう、この次元の狭間で数々の世界を統合してできてしまったこの世界、存在が許されない世界の抹消。それが奴らの目的だ。」


「んん……?」


 GUYコツは何と表現していいかわからない顔をして相手の話を聞いている?梢、既にパンクした頭で相手の言っていることを理解しようと懸命に飲み込もうとしていた。


 一呼吸着いてから、GUYコツは話題を変える為に別の話題を振った。


「ところであんたは何者なんだ?」


「俺はドラゴン。そう呼ばれている。」


 ドラゴン……その名に聞き覚えがあった。

 ――どこで聞いたんだっけ?


 GUYコツがその名を思い出す為に少しの間を開けたところ、ドラゴンと名乗った人物は誰に言うでもなく呟く。


「この世界は色々おかしくなってしまってる。今までに、何回、何度の過去改変や認知汚染があったんだろうな?」


「……あんた、何言ってんだ?」


「こっちの話……いや……そうだな。ここで会ったのも何かの縁。前のときは生存者はいなかったしな……この世界に住む君らの方が知ってるかもしれない。」


 GUYコツと梢は相手の出方を伺う。


「まぁ聞いてくれ。俺はこの世界で、とある人物を探している。……ちょっと待っててくれ。」


 何かの機器を取り出し弄り始め、機器を見ながら名前を呼びあげる。


「アイン。ツヴァイ。ドライ。フィーア。フュンフ。ゼクス。ズィーベン。只野公孝。この8人だ。」


「俺は誰も知らないな……梢は?」


 梢は顔に訝しげな表情を浮かべながら応じる。


「なんで、その人達を探してるの?」


罪人(つみびと)だからだ。この世界をめちゃくちゃにした元凶。」


「ゼクスと只野公孝って人は知ってる……でも罪人なんかじゃないよ! ゼクスさんは少し怖いけど、ヒーローを、この世界を守ってる人だし、きみちー先先――只野公孝さんは、ヒーローを治療してくれる優しい先生だもん!」


「そうか。」


 ドラゴンは梢に近づくと、手にした機器をあてがう。


「一つ聞こう。……君は最近、時間感覚がおかしくなかったか?」


「別に……おかしいことなんて無っ……」

 梢は出発の日の事や先の戦いでの怪人との戦闘を思い出す。

「くもないかも……」


「それはゼクスって奴と会って起こっているで間違いないか?」


 梢は少し間を置いてから、ただ首を縦に振り肯定の意を表現する。


「やっぱり、君は時間が弄られてるね。ゼクスってやつは当たりだ。どこに行けば会える?」


「あたし、知らない。ゼクスさんは向こうから会いに来ただけで、会える方法はわからないの。」


「そうか。」


「なぁ、世界がどうとか突拍子のない話に理解ができていなんだが、それがこの惨状と関係あるのかよ?」


「言ったろ。この世界は既にめちゃくちゃだ。この世界の住民にはヒーローとか怪人とか入り混じってる事は普通の事なのかもしれないが、こんな存在は本来はありえない力が入り混じって生まれた結果だ。そして、この世界は更に膨張しようと周囲の次元を巻き込みながら大きくなっているんだよ。今はここは世界を飲み込もうとする特異点だ。だから世界の守護者たる次元統合獣(カオスビースト)は壊そうと動き始めた。それから世界を守る為に俺がここに来ている。」


「あんたはどんな立ち位置なんだ?」


「俺は壊すのではなく保護、管理下に置きたいって考えなんだよ。元々の発端になった世界は俺の故郷でもあるしな……おっと、いけない。活動限界が近い。」


「協力してくれとは言わない。君らにも君らの生活があるんだろうからな。とは言っても……」


「気をつけるんだな。この世界は今不安定な台の上に無造作に置かれた積み木のように、アンバランスな上に奇跡的に成立してる。あとほんの少し、何かが歪んだ瞬間に簡単に崩れてしまう。」


 それだけ言い残して急にドラゴンは飛び去ってしまった。


「忙しい奴だ。」


 GUYコツと梢はドラゴンの飛び去った方を見て思いをはせる。

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