新たな姿と守れる範囲
光る柱の輝きによって、赤い光は姿を消した。
赤い光も光る柱も一体なんなんだ、助かったのか?
とにかくあの光りの柱はなんらかの攻撃ではないようだ。
この状況はいつまで保つのだろうか。
とにかく慌てずに急がないとな。まずは仲間は拾わんとな。一番近くに寝ているキャットシーを拾うか。
その前に……この子供をどうするか。
俺は足元に倒れるビットマンjrだった少年をどうするか思案する。
(まぁ……子供は助けないと……だよな。)
俺は少年ヒーローに近づいた。少年を持ち上げた時に、光の柱の輝度が下がり始める。辺り一一帯にリンドウを消し去った赤い光が数を増してウロウロと漂い始める。
一瞬の躊躇が命取りだった。
少年に赤い光が当たった。
俺のやりたい事……皆を守る。
その心に宿った望みを想い俺は小さくも力強く「変身」とつぶやいた。
そう、今は必要なのは護るべき力。
骨の身体に、青いマフラーをはためかせる。左手につけたガントレットに青いスモールシールド。
護りに特化した新しいアンデッドヒーローの姿。
リボーン・ディフェンダー!
新しい姿になっても感動してる暇はない。俺は少年に当たった赤い光を遮るように立つ。
俺よりもはるかに強いリンドウを消した赤い光はあの時と同じように輝き周囲の闇を光で覆う。
――心に浮かぶ言葉を叫ぶ。
「正義の盾!!!」
光の強い方向に盾を構える。
手についたスモールシールドがその面積を膨張させて俺と少年を覆い隠すほどの巨大な盾に変形する。
光を遮断するように身構える。
――刹那、強い衝撃が盾に加わり、リボーンを吹き飛ばす。
すぐに起き上がり立っていた場所を見る。先ほどまでなかった先端が丸まった円筒の置物がそこに横たわっていた。
これは……銃の弾丸か!?
つまりこの赤い光はレーザーサイトみたいな奴って事か。つまり赤い光を回避すれば大丈夫なはずだ。
それにしてもこんなでかい物をどうやって発射してんだ?
その疑問の答えを考えてる余裕もなく、赤い光はその本数をさらに増やしリボーンに迫る。
ヤベェ……ランダムに動く赤い光をかわしながら一歩、一歩とキャットシーの元に向かう。
この赤い光は何に反応してるのだろうか。
キャットシーを背負った時に鈴の音が鳴り響く。キャットシーの首輪につけられた鈴の音だ。
その直後、赤い光がキャットシーの倒れていた場所をぐるぐると回っていた。そして、俺の方めがけて勢いよく動き出す。
こいつら鈴の音に反応してるのか?
キャットシーの首輪を外して投げ捨てる。
首輪は鈴の音を鳴らしながら放物線を描き地面に落ちる。
すると、その首輪の落ちた辺りに赤い光が集中する。
ここに居たのが、身軽なキャットシーで良かった。もしも、テッペキンなら運べなかったかもしれん。そんなことを思いつつ、倒れる仲間の元へ歩を進める。
早く行かないと。スルメンやテッペキンが起き上がって赤い光に当たったらアウトだぞ。
俺が近くに行けば、この盾で防げる。どんな攻撃だろうと防いでみせる。
後は半分くらいか。それしても、流石に二人を運ぶのはきついな。
ガチャガチャと近くの建物で音が鳴る。
リンドウが来た時に避難した人達が隠れていた建物だった。
「おい! 音を出すな!」
俺の声は届かずその建物のドアに赤い光が当たった。
直後、閃光が弾け、跡形もなく消えてしまう。
「くそっ……」
悪態が自然に出てしまう。
跡形もなく消え去った場所を横目に俺は仲間の元に急ぐ。
テッペキンとスルメンの元にたどり着いた。こいつらが持ってきた梢と他の子供達も一緒だ。
ここまで運んできたキャットシーと少年を放り捨てる。
俺が休憩のために座ろうとした所、赤い光が俺達を捕捉した。
休む暇もねぇのか……
無数の赤い光が俺に集中し始める。
小さな盾を構えて攻撃に備えた――
こいつらだけでも守ってやる……
☆☆☆
ドンッ!
バンッ!
チッチッ!
聞きなれない不快な騒音が耳に障る。
そんなざわざわとした空気を感じて玉置梢は目を覚ました。
遠くから自らの魔力を感じる。
この薄暗い場所を照らしていたのは先ほど不発に終わった自分の魔法だった。
猫の怪人との戦いの最中、出なかった魔法。それが今、発動している。
玉置梢は状況が飲み込めずに辺りを見渡す。薄暗い中に赤い線が何本も飛び交っている。
そして、うっすらとした影のような何か辺りで動いているようだ。
そのなにかはこちらに吹き飛ばされてきた。
闇に慣れ始めた目に映ったのは、前に出会った変な怪人。
自分を守るためにヒーローと名乗った骨の怪人だった。
玉置梢は声を上げる。
「えっ!? もしかして、リボーンさん? なんでここにリボーンさんが? マフラーもなんか青いし……それに怪我してるの? というかなんでこんなに薄暗いの……? なんか赤い光がチカチカしてるのは何?」
「あっはっは、梢は本当に質問が多いな。ただ全部に答えてやれる余裕はなさそうだ。」
「怪人さんが私の名前を? うん……? あたしを知ってる人? なんでそんなにボロボロになってるの?」
ぽかんと口を開けて惚ける梢の頭を撫でる。
「うにゃ!?」
「俺はヒーローだ。ここいにいる奴らは全員守ってやる。」
梢の額に赤い光があたる。
光を阻むように梢の前に立ち、俺は飛び出た弾丸を盾で吹き飛ばす。
衝撃で腕ごと盾が弾け飛んでしまう。
「しまった!?盾が……」
更に赤い光が骨の怪人に当たり、閃光が弾けるっ……!!!
「うおおおおおお!!!」
盾のない腕でガードする。
「リボーンさん!」
「俺はまだ、大丈夫だ! でもこれ以上はジリ貧だ……この赤い光が無くなれば良いんだが……あの光の柱が出てくれれば……」
リボーンさんは私の魔法を見て言う。
「光の柱を出せば良いの?」
「梢はあの光の柱の出し方を知ってるのか?」
「あれはあたしの魔法をだもん!」
「でかしたぞ、梢! あの光の柱を出してくれ!」
「うん!」
玉置梢は変身をして杖を構える。
「精霊の加護よ。閃光の鎖で敵を呪縛して!セイクリッドチェーン!!!」
タマキキャットに梢が詠唱を唱えると、辺り一帯に光が迸り、赤い光が辺りから消えていった。




