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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
イクラシティ決戦
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その光は希望と絶望

 凍えるような寒さ中、視界に飛び込んだのは、赤いヒーローの腹部から留めなく溢れる鮮血。リンドウはヒーローから引き抜いた氷の剣を掲げ、滴り凍る赤い液体を満足気な様子で見ている。


「リンドウ!! お前!?」


 何の言葉をかけたかったのか? リンドウにかける言葉もなくただ名前を呼ぶ。

 それ以上の言葉は不要だった。

 リンドウは俺と目線が合う。

 返り血により血がついた顔が歪んだ笑顔にかわる。


「なんだ?あぁ!? 骨ェ!?」


 表情は笑顔が張り付いているが、発する言葉には怒りの感情がこもっている。


 リンドウの手に握られた氷の剣は、最初は透明だった刀身が赤黒く染まり、垂れた血が鋭利な棘の形状に固まり、残忍性を強調している。


「骨よォ。こりゃ一体どういう状況だ!?」


 こっちの台詞だ。その言葉を飲み込む。


「どうって……ヒーローと戦ってたんだよ。それよりお前はどうしてこっちにきたんだよ?」


「あぁ?こんな雑魚ヒーロー相手に何手間取ってんだ?」


 リンドウは俺の質問には答えない。


「雑魚? いやいや、あいつは強いよ。」


「はぁ……? 俺の一撃で終わる奴が強い?寝ぼけてンのか!?」


 リンドウは大きく一息吐いて続けて言葉を発する。


「……まぁ良い。それよりテメェは自分の仕事を放棄して何やってんだ?」


「仕事の放棄? ヒーロー達は引きつけてただろ?」


「ヒーローを引きつける事よりも、恐心を集めることだよ。全然足りネェ。見たところ血も足りねェ。なんで戦場がこんなに和やかなンだ?」


「……作戦が思ってたようにいかなかった……」


「あん? どんな作戦だ?」


「人を驚かそうって……怪人の姿を見れば怖がるだろうって……」


「なんだそりゃ? 驚かす? 暴力もなしにか?舐めてンのか?」


「そんなの当たり前だろ! 暴力なんて、そんな事出来るわけな!」


 はぁ……

 リンドウは一際大きなため息を吐き、リーゼントの髪をぐしゃぐしゃと掻き毟る。


「つまりあれか? やる気なかった訳な。俺の可愛いシャテーがテメェの腑抜けた行動のせいで被害被ってンだよ!? 死んでセキニン取れや!?」


 剣を掲げるとあたり一面が雪模様になる。


 リンドウは大振りに剣を振りまわす。


「おわっ!? アブねぇ!!」


 明らかに俺を狙っている……


「リンドウ、ちょっとまってくれ! 今回の件はちゃんと話して次に生かそう! リンドウの言い分は受け入れるし、罰も全部受けるから!!」


「いらネェ。テメェはここで終わりだ。ライ雷オンの旦那には立派に使命を果たしたとは言ってやるよ」


 リンドウは攻撃の手を休めない。

 大振りの攻撃を避ける。回避をしたリンドウの攻撃は強大な衝撃破を生み出し、俺の体を吹き飛ばす。


 ぬちゃっとした嫌な感触が俺の肌に感じる。

 倒れた先は血みどろの池。

 上を見ると腹に穴の開いた赤いヒーローがもの言わぬ置物になっている。


「あぁ!? ヒーローの残党がまだ生きてたのか? 本当にしぶといな……」


 リンドウのつぶやきが聞こえる。 

 リンドウの視線のさきを見ると赤いヒーローにふらふらと近寄るビットマンjrの姿が見える。


 あいつ……


 リンドウの剣が俺からビットマンjrに標的を変える。


 ビットマンは赤いヒーローに目が奪われていてリンドウの存在に気付いていないようだ。


 俺はヒーローのもとに駆け出していた。


「危ない!!」


 リンドウの薙ぎ払いと同時にビットマンjrを押し倒して攻撃を避ける。

 ビットマンjrはそのまま気を失い、変身が解けてしまう。

 ビットマンのjrの変身が解けた姿を見ると、細見の少年の姿が露わになる。その顔には見覚えがあった。そう偵察の時に梢と一緒にた子共だった。


「骨!? なんでテメェはヒーローを守る? なんで俺の邪魔するンだ?」


 リンドウを見ると顔の血管が浮き彫りになり全身ピクピクと震えている。

 リンドウは倒れる俺と少年に向けて両手で大剣を振り上げ、「死ネエエエ!!!!!!!」とリンドウの高らかに宣告したのとほぼ同時。


 ――あたりが闇に染まり、空から一筋の赤い光がリンドウに注がれる。


「なンだこれ? お前の技か?」

「なんだ? リンドウはこんな技も持っているのか?」


 俺とリンドウの間に戸惑いが走る。

 そして光はその強さを持ち、俺の視界を完全に奪う。


 視界が戻った時、目の前にいたリンドウの姿は消え、この周囲にあった寒さが無くなっていた。

 状況を整理していると、さきほどリンドウに刺さった光が周囲の至るところに降り注ぐ。


 その後、光の柱の当たった場所は何もかもが消えていた。


(なんだ? この光の柱!?)


 光の柱が闇の中にどんどん増える。1柱、2柱、……、10柱。


(これは逃げないと駄目だ!? リンドウすら消滅させる何か? しかし、この闇の中……)


 すると、少し離れた場所から地面から光の柱が立ち、闇の一部を振り払う。


(今度はなんだ? でも視界が開けた。これはチャンスだ。)


 こういうときこと今、俺がやること……


(この赤い光から守らないといけないよな。)


 俺は倒れる少年を抱えて、立ち上がりスルメンとテッペキンが倒れる場所に移動を始める。

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