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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
イクラシティ決戦
44/214

地獄事変

かなり暗い話です。

また一部に不快な表現が含まれます。

ご観覧の際にご注意下さいませ。

 GUYコツ達がヒーロー中学生と戯れの戦闘をしている時に、街の中心に立つセントラルタワーの前で二人の男が話をしていた。


「ふふっ。サーモン君、案内ご苦労。さっきのふざけた放送で自ら位置をバラすとはね。間抜けな怪人はここかな。」


「ランク一桁のキャプテンゴールドマンさんが居てくれて良かったよ。向こうの魚河岸の襲撃になんでもA級怪人か数体来ていたしいし。」


 キャプテンゴールドマンと呼ばれた男は金色のスーツに金髪の長髪をしていた。長い前髪を手で払いながら男に応える。


「本当は僕は休暇中なんだけどね。ただ、怪人が出たとなっては休日は返上だ。それにあのふざけた放送。ああいうセンスのない怪人はさっさと始末しないとね。生かしていちゃいけないよ。HAHAHA」


「ははは。しかし……それにしても……これは凄惨な光景だな……」


 普段なら人が闊歩するタワーの前は非日常の朱色に染まり、元は人だった肉片が散乱していた。


「くそっ!!! 地元をめちゃくちゃにされて怒りしか出てこない。」


 麦わら帽子をかぶったアロハシャツに短パンとラフな格好をした焼けた肌を持つ男が怒りをぶつける。


「まぁまぁ、イクラシティは怪人に襲われることが少ないから怒る気持ちもわかるけど。これは、まだまだマシと言えるよ。それに、サーモン君、怒りの感情は動きを鈍らせる。まずは鎮めて、鎮めて。これから敵のいる本拠地だ。いこうじゃないか!」


「「変身!!!」」


 二人の男はそれぞれ金と青のヒーロースーツをその身にまとい、セントラルタワーの内部に入る。


 セントラルタワーの中はいつもの様子とは違った雰囲気があった。

 通路のいたるところに赤黒い染みが点在し怪人たちの移動した後を残していた。

 二人はまっすぐ放送室に向かう。

 その場所に向かうまでの曲がり角。ある部屋の一室から黒い影が飛び出す。


「ッキーーーー!!!!!」


雑魚戦闘員(ショッカー)か……俺は、今、地元が襲われて気が立っているんだよ!!!」


 青いスーツを着たヒーローはサーフボードのような板を振るい襲いきたショッカーの体を両断する。


「ひゅー! サーモン君、容赦ないねー。雑魚戦闘員(ショッカー)はまだ人なのに。」


 金色のヒーロー、キャプテンゴールドマンは軽い調子で言う。


「ここまでの惨事を引き起こしたんだ。当然の報いだよ。むしろ苦しみもなく楽にしてやったんだから感謝してほしいよ。」


 戦闘員の体から吹き出した血しぶきを浴び青と赤のコンストラストとなったヒーローは厳しい返事を返す。


「HAHAHA、違いないね。さて、雑魚戦闘員(ショッカー)が出てきたのはあの部屋か……」


 二人のヒーローは部屋の中を伺う。部屋の中に充満する嫌な臭い。一糸まとわぬ女が数人。しかし、標的の怪人は一匹も居なかった。

 女性たちは穢された身を隠しながら新たに入ってきた人物に警戒の反応する。それがヒーロ―達だとわかると少し、安堵の表情を浮かべ始める。


「大丈夫。助けに来たよ。このキャプテンゴールドマンがね。」

「ご当地ヒーロー、サーモンもいるぞ!」


 金色と青色のヒーローはまだ震えている女性達にその言葉を投げる。

 被害者達は来訪したヒーローに集まり、思い思いの言葉を投げる。安心からか余計に泣き出してしまう者も居たが、大半は少しだけ顔が明るくなったように見えた。


「ただ、このビルは今から戦場になる。できれば大人しくここで待っててね。また来るよ。」


 頷く女性達に布を渡し、ヒーロー達は部屋を出る。


「ひでぇ光景でしたね……」


「こういうのは見ていて辛いね。怪人に堕ちても性欲は消えないのかと……本当に気持ち悪い。彼女たちの心のケアはここの戦いを終わらせてからだ。」


「そうだな……さて、そろそろ放送室に着くよ。」


 二人は拳に力を込めて警戒を強めながら怪人のいるであろう場所にゆっくりと近づいていく。


 ☆☆☆


 放送室の中にある二つの影が囁きあっている。


「ねぇ、レット。なんか全然、恐心が集まらないね。」


 なにかの装置を弄りながらオレンシは口をすぼめる。


「これから一気に街を制圧するって重要な局面なのによぅ。これじゃ怪人の力でねーよなぁ。重要な役割を新人に任せちゃダメだったんじゃねーかな?」


「それに、この街のヒーローもまだ見えてないんでしょう?なんだっけ?パーモンだっけ?」


「街の誘導の方に行ってくれてんじゃねーの?」


「どうだろ?レットのあのバカな放送を聞いたら、私なら放送局が怪しいって思ってこっちに急行するかも。」


「へっ!オレンシは心配症だな。どうせきても雑魚だよ。雑魚。名前もよくしらねぇし。リン兄貴も言ってたぜ。イクラシティは雑魚ヒーローしかいないってな。」


「もうっ!そうやってはぐらかすの本当にレットの悪い所だ……っ!!!きゃっぁぁ!!」


 金色の閃光がオレンシの腕を吹き飛ばす。


「オレンシ!!!」


 レットは負傷したオレンシに駆け寄る。その時部屋の入り口から男の声が聞こえた。


「雑魚で悪かったね?怪人君達。」


「あっ、ゴールドマンさん、こいつらだ。双子の怪人、オレンシとレット……昨日の市場を襲ったと見られる怪人ども!!!」


「へぇ、君たちが……ね!噂通りまだ子供なんだな。」


「キャプテンゴールドマンね……流石に俺でも聞いたことあるぜぃ……」


 レットの額から冷や汗が垂れる。


「どうも。ただ、怪人風情が人の姿を借りて話しをしないでくれないか?サーモン君、一気に決めよう!」


 キャプテンゴールドマンは金色に光るカットラスを構える。レットが身構えるとその横を光の速さで何かが通り、青い液体が体に付着する。それはオレンシの血だった。倒れたオレンシの首元を的確に狙った一撃。


「――オレンシ!!!」


 幸いなことに無数の触手により致命傷は避けられたようだが、血液は留めなく溢れてくる。


「おい、早く回復しろよぅ!?」


「ご、ごめっ……へまっっ……た……。この恐心の量じゃ……技、、……使えな、、、」


「おいおい。俺たちはここで終わり?くそがぁ!!!」


 オレンシが倒れ気を失ったのと同時に、青いヒーローが血の滴るサーフボードを片手にレットとオレンシに迫り来る。


「喚いても貴様らはここで終わりだっ……」


 顔を異形の姿に変えて吠えるレットの片目にカットラスが突き立てられる。


「ぐあぁぁぁあああ!!!」


 片目を抑えて身を守ろうとするとサーモンのサーフボードの攻撃が迫り来る。

 なんとか回避したものの、再びキャプテンゴールドマンのカットラスが迫り来る。カットラスはレットの肩を容易に貫き、青い大量の血液を噴出する。


 叩きつけられ、二人のヒーローに囲まれてしまった。


 レットは覚悟を決めて、大人しく目を瞑る。


――ヒーローを舐めすぎた……


 迫り来るサーフボード。しかし、それがレットに届くことはなかった。目を開けると、青いヒーローの首から上が弾き飛ぶ。

 そしてあたり一帯の空気は20℃ほど下がり始めた。南国のリゾートにも関わらず、急激な悪寒がキャプテンゴールドマンを襲う。


「な゛ん゛た゛?急に寒気が……」


 身体を擦り合わせて摩擦で温度をあげよとすとすが、寒気は止まらない。それどころか急激に心臓の鼓動が早まり、脳はけたたましい痙攣を鳴らしながら頭痛をもたらす。


「――い゛っ゛!」


 声にならない声をあげ、キャプテンゴールドマンはその場に呆けてしまう。しかし、この元凶は自分の真後ろにいる。その禍々しい気配を背中に感じている。


「あ゛ぁ゛ん゛?」


 キャプテンゴールドマンの耳にとても低い声が聞こえた。生気を貪りくらい、人権を奪い取り、人の尊厳すらも踏みにじる声。女性ならこの音だけで全身が陵辱されて、凄惨な身体が一つ産まれていただろう。


 キャプテンゴールドマンは、この酷い寒気を生み出す正体を見ようと首を振り向けようとした。

 すると、視界が徐々に地面に落ちていく。最後に視界に入ったのは、赤い液体をスプリンクラーのように噴き出すオブジェクト――顔のない人な身体の形をしてた――の隣に鎮座する危険人物と知らされていたS級怪人の姿だった。


 消えゆく意識のまま、キャプテンゴールドマンは暗黒の帳に落ちていった。

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