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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
イクラシティ決戦
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魔法少女タマキキャット vs 化猫怪人キャットシー

 キャットシーの素早い爪撃を杖で受け流しながら、タマキキャットは冷静に相手の戦力を分析していた。


(この怪人さん、異形化してるって事はそれなりのベテランさんなのかな?でも、攻撃は早いけど単調な動きが多いなぁ。それに緊張もしてるみたい。あまりヒーローと戦い慣れてないのかな?なら――)


 タマキキャットはこれまでの多くの怪人との戦闘で積んできた経験と勘から、めまぐるしい解析をしていた。そして、怪人の背景の他にも、キャットシーの攻撃動作に潜むリズムをおおよそ掴んでいた。


 単調な攻撃を勢いで仕掛けてくる相手ほど、自分のリズムが崩されるのは弱い。タマキキャットはそのことを知っていた。


 ――心は燃やせ

 ――頭は冷やせ。


 ずっと大事にしている師匠の教えである。

 ヒーローとして多くの経験を積んできたタマキキャットにとって、経験の浅い怪人は敵ではない。冷静に反撃の機会を伺い、反撃の機会が訪れるその時に心を燃やして待っていた。

 暫しの間、キャットシーと二人の舞踏を続けるのであった。


 ……


「このっ……ちょこまかと!!!にゃ!にゃ!にゃ!」


 加速するように更に攻撃の速度を早めて、タマキキャットに休む暇を与えないように連続攻撃をする。遠距離攻撃を持たないキャットシーにとって、距離がとられるのは不利になる事は明白だった。


 激しい攻撃の合間、僅かに――ほんの僅かの間――呼吸を整えるために、一瞬だけ弛緩する。


 すぅっー……ふぅー……


 激しい爪撃を繰り出し続けたキャットシーが息を整える一瞬。タマキキャットはそれは僅かな呼吸の合間を見逃さない。


(いまだっ!)


 ぶんっ!


 空を切るようにタマキキャットは杖を大きく振る。薙ぎ払うような動作でキャットシーを払いのける。おお振りの攻撃、当然キャットシーはその攻撃を簡単に避けることが出来た。


「反撃かにゃ!?そんなの簡単に避けられるにゃ!」


 簡単に避けられたのは良いが、不意の一撃でキャットシーは体制が崩しそうになる。猛攻撃を仕掛けていたキャットシーのリズムを崩すには十分すぎる妨害であった。

 体制を立て直そうと身体の重心を合わせていると、前から強烈な殺気を感じた。バランスが崩れ倒れてしまったら、そのままやられるだろう。そのため、倒れる寸前の所で後ろに大きく跳躍をする。


 なんとか倒れずに済んだが、相手のたったの一発で戦況がリセットされてしまった。いや、遠距離攻撃を持たないキャットシーは距離を取った事で不利になってしまった。


(距離を取られにゃいための猛攻が、あんにゃまぐれの一撃で形成逆転された)


 目の前に広がる光景に顔から冷や汗が出てくる。無数の光弾がタマキキャットの周りに浮かぶ。まるで孔雀の威嚇のように派手に展開された光弾の羽はキャットシーを怯ませるには十分めあった。

 そして、タマキキャットの羽から無数の光弾がキャットシーめがけて放たれる。


(考える隙もありゃしにゃいにゃ……)


 光弾を避けながら、キャットシーは完全に逆転してしまった状況に焦りか出てくる。


 杖を構えてるタマキキャットの周りには無数の光弾が飛び回っている。既にキャットシーと戦う準備は完了しているようだ。その様子を見てキャットシーは理解した。


(あの殺気も?この反撃速度も?おかしいにゃ……いくらなんでも早すぎる……やられた……まさか、こいつ。あの払いのける攻撃はタイミングを狙ってやったのー!?)


「にゃにゃにゃ!!!にゃーーー!!!」


 キャットシーは大声を上げる。大きな声でタマキキャットの攻撃は止む。

 その後、立ち止まり、タマキキャットを見つめて話し始める。


「はぁ……やられたにゃ。あにゃた、予想以上に強いにゃ……」


「どうしたの?猫の怪人さん?」


 頬を掻きながらキャットシーは話を続ける。


「自己紹介が遅れたと思ってねー。いきにゃり攻撃してすまにゃかったよ。……こほんっ。あたいは化猫怪人キャットシー!あにゃたをここで叩き潰す!」


「そっか、そうだよね……自己紹介。」


 すぅ……息を吸い込みタマキキャットはポーズを取り口上を告げる。


「あたしは、魔法少女!タマキキャット!あなたに恨みはないけれど、この街を守るためあなたをバニッシュするよ!!」


 ポーズを決めて、キャットシーに杖を向ける。


 ……


 タマキキャットがヒーロー登場の口上を告げた後、静寂した空間にキャットシーの息を整える静かな吐息を広がる。

 そして、キャットシーは大きくストレッチを始めた。


 ふぅ……にゃ……


 キャットシーは息を整えた後、クラウチングポーズを取り、覚悟を決めた。


(あの光弾を数弾喰らうのを覚悟して相手に特攻するしかにゃいか……)


 シュバッ!!!


 素早い怪人の特攻。それは以前に経験していた怪我を思い出すものだった。

 一瞬タマキキャットは震えにより、攻撃がぶれてしまう。

 本来は使うつもりのない脅し用の光弾までもがコントロールを失い一斉に照射される。


(あっ、やば……)


 数百はあろう迫り来る光弾の壁がキャットシーにプレッシャーをかけるが、臆する事なく前進を続ける。


「あたいは……あたいは……負けてたまるかー!!」


 何発はキャットシーの身体にぶつかる。光弾のぶつかった場所は、肉の焦げたような臭いのする湯気を巻き上げる。


(いたっ!あつっ!)


 奥歯を噛み締めて、耐えながらも特攻はやめない。


 ――届いた!


 そう思ったキャットシーの視界にタマキキャットの顔が入った。


 ニヤッ!

 タマキキャットの口角が上がり、笑みを浮かべる。


「読めてたよ!?」


「精霊の加護よ。閃光の鎖で敵を呪縛して!セイクリッドチェーン!!!」


(にゃにゃ!?)


 ……


 ……しー……ん……


 何も起こらない


「あれ?」


 タマキキャットは杖を天に仰ぎ、困惑した顔であたりを見渡している。


 その隙をつき、背後に回り押し倒す。


「てりゃ!」


「きゃんっ!?」


 そのまま、タマキキャットは拘束されてしまった。


「にゃはは!やったにゃ!あたいの勝利にゃー!!!」


 キャットシーの勝利宣言により、この戦いの幕は閉じた。

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