新しい怪人人生
2019年5月9日
修正しました。
ジリジリジリ
大音量の目覚まし音と共に起き上がりカーテンを開ける。 部屋の中に一筋の光が射す。
今までの出来事は夢だったんじゃないか?と思えるほど日常というやつを実感する。
しかし、部屋を見渡すとそれまで慣れ親しんだ狭い四畳半の部屋ではなく、今まで住んでた部屋の約3倍の広さがある部屋だった。
あぁ、あれはやっぱり夢じゃなかったんだな……
ジジイーー只野博士から怪人協会に誘われた時は、すぐに断ろうと思った。
しかし、俺は怪人協会への参加を承諾した。
只野博士が言っていたように俺の知らないところで全ての物事が決まりきっている人生を冷静に考えると、今までの人生もこれから先の人生も大して価値が見出せないと思ってしまったからだ。
どちらかというとヒーローになりたかったけど、仕方ないか……
怪人協会ってのは、会社みたいなところらしい。
まぁ転職したと思えば、良いか……
しかし、怪人協会に入ると言ってから、こんな良い部屋に住めるとはな……朝の紅茶を飲みながら、あの時の事を回想していた。
***
よくよく考えれば、俺に選択の余地は無い。
怪人協会とやらに入らないと、生活もできないだろう。
「フォッフォッフォッ、そうかそうか。やはり怪人協会に入ってくれるか。君はワシが無理や――ゴホン! 君には強く素質を感じておったよ。」
「別にあんたの為じゃない。自分の中で色々と考えた結果だ。」
「フォッフォッフォッ、まぁ理由は人それぞれじゃ。ただし、怪人協会に所属するならば守らねばならぬルールがいくつかあるでな。」
「ルール?」
「
① 怪人である事をバレないように日常に溶け込む事
② 本部からの要請があった場合、怪人として出動する事
③ 規律を重んじて勝手な行動はとらない事
④ ヒーローに対しては毅然とした態度で挑む事
⑤ 怪人同士が対立する時は上位怪人に相談する事
⑥ 上下関係は守る事
」
「はぁ……なんか会社っぽいな。」
「あとは怪人協会の報酬はこんなものじゃ。」
自分の今まで稼いできた金額の2倍を超える額が提示される。
「この金額はなんかの間違いじゃないのか?」
「まぁ、その報酬に見合う分は働いてくれたまえよ。あと、今後、ワシのことは只野博士と呼ぶようにの。こういう上下関係も報酬に含まれていると思いたまえ。」
***
どうやら怪人やヒーローも普段は、人に紛れて普通に生活をしているらしい。今までも近くに怪人やヒーローがいたのかもしれないな。と、考えながら、只野博士に用意してもらった人皮――人に変装するアイテムを着て出かける支度をする。
鏡でまじまじと自分の顔を確認すると、今までの自分よりも若干スッキリし、顔も整ったような気もする。アイテム効果ってのは凄いな。
新しい人生の始まりか……そう思うと少し感慨深い。
年甲斐もなくドキドキする気持ちになるのは何年振りだろうか?
俺の普段の仕事は近くの家の子供の家庭教師らしい。
俺が家庭教師か……なんだかなぁ。と思いつつ、一張羅のスーツを羽織り外に出る。




