怪人協会第7支部vsヒーロー中学生 part1
吹き飛ばされた青年を介抱しようと近寄ろうとした時に緑色のマスクに緑を基調としヒーロータイツを着た小さい体躯の人物が俺の前にたちはだかる。
体型的に少年なんだろうか?
「子供のヒーロー?」
その呟きは勝手に出てしまった?
「怪人!僕が来たからには、もうこの街の人にもこの街にも指一本傷つけさせないぞ!」
小さいヒーローは俺の方を向きそう断言する。
――俺は怪我人を助けようとしてたんだ?
――なんだ?どうして怪人ってだけでここまで迫害される?
理解はできなかった。しかし、さっきのキャットシーの悲しげな言い方とした理由ご少しわかった気がする。
俺の胸に熱いものが湧き上がる。
「ヒーロー君、俺はその男を介抱しようとしただけっ……」
台詞は途中で途切れた。残念ながらヒーローとの会話は成立がしなかった。
「『ビットチェイサー』!展開!!!」
ビットマンjrの周りに浮遊する小さい飛行機の様なものが飛び交う。
「行くぞ!」
少年は素早く動くと俺の横に回り込む。
「速い!」
俺もビットマンjrの動きに合わせ位置を取ろうとするが、浮遊する飛行機から発射されたレーザーにより、動きは制限されてしまう。
「おいおい……マジか……」
ついボヤきが出てしまう。
俺の横にはいつの間にやらビットマンjrがいて、拳を構えている。
冷や汗がたらりと垂れる……
少年に横の位置を取られると、思いっきり殴られる。
ドコッ!!!
凄い衝撃が加わり横っ腹に物凄い痛みが走る。
「あがっ……」
俺はその場に座り込んでしまう。しかし、ビットマンjrは追撃をやめない。俺の顔を蹴り、吹き飛ばす。
少年とは思えないほどの力。
ざざーッ! ザラついた地面を滑る。
「痛ッ……」
擦りむきによってヒリヒリとした痛みが俺を襲う。思わず顔が歪んでしまった。気を取り直してビットマンjrをみると、丁度、俺に更に追撃をせんと地面を蹴り上げた瞬間だった!
!!?
目を瞑り、覚悟を決める――
ドンッ!!!ドンッ!!!
大きな音。しかし、痛みはない。恐る恐る目を開くと、俺とヒーローの間に見えない壁ができていて、ヒーローの行く手を遮っていた。
「鉄壁、間に合いました。」
テッペキンは自慢の筋肉を見せる様にマッスルポーズを取りながら俺に話しかける。
しかし、今までヒビすら入らなかったテッペキンの堅い壁に亀裂が入り屈折した光が俺たちの周りの視界を歪ませる。
「ふぅ、ギリギリですね。見たことない小さいヒーローとは言え、流石はヒーロー……GUYコツのアニキも舐めちゃダメですよ!」
「GUYコツは本当に馬鹿にゃ。あの男の所に戻った時はヒヤリとしたにゃ。あにゃた、死にたいのー?」
「司、大丈夫?あんな奴、わたくしが……」
仲間達が俺の周りに集まって心配をしてくれる。勝手な行動で迷惑をかけたのに……
怪人は確かに変なやつも多いが、良いやつも多い。それをヒーローにもわかって欲しいと俺は思った。
そんな感傷に浸る暇もなく、パリンッ!!と大きな音と共にテッペキンの作った壁が大きな音を立てて壊れる。
壁を壊したヒーローは肩で息をしながら、俺たちに敵意を向ける。
「マジか……即興で作ったとは言え、俺っちの鉄壁を壊すなんて……」
たった一人で立つヒーローと向き合う俺たち怪人5人。
「……まぁ、5対1なら余裕だろう。俺が先行する。」
指の骨を鳴らしながら黒いコートを着たスルメンはヒーローを睨みつける。そして、激しい砂埃を巻き上げながら、黒い影が息を整えているヒーロー目掛けて駆け出した。
しかし、スルメンがビットマンjrに触れることは無かった。
何かに吹き飛ばされたスルメンは俺の横通り過ぎて、壁にぶつかる。
小さくうめき声をあげながら、スルメンは倒れる。
「ビットマンjr、大丈夫!? 独断先行は危険だってあれほど言われてたじゃん。」
そこにはぴったりとした白いライダースーツを着た未成熟ながらに女性のスタイルがくっきりと映える新しいヒーローが立っていた。
「ごめん、助かったよ。SUMOライダー。」
ビットマンjrの知り合いなのか?
身長はビットマンjrより少し高いくらいか。少し年上なのかもしれないな。でも、やっぱり子供だよなぁ……?
俺はそう思った。
ヒーローと怪人の対立がここまでとは……
俺はそんな嫌な思いを振り切り、吹き飛ばされて倒れたスルメンに近づき、介抱をする。
「スルメン、大丈夫か?」
「……あぁ。」
スルメンの返事を聞き一安堵した。
新たに現れた2人目のヒーロー……
「にゃー!!ほんとヒーローってどこにでも湧いてくる厄介な奴らにゃ!!!」
キャットシーは内心穏やかでは無いのだろう。二人目のヒーローの登場に怒っているようだ。
「どこにでも湧いてくるのは怪人の方だろう!」
青色のスーツを着たヒーローがキャットシーの文句に反論をしながら登場する。
そのヒーローの横には黒いゴーグルをつけた小さいやつもいた。
3……いや、4人目……
俺たちは目の前に増えたヒーローの集団と睨み合う。そんな中で、後ろから、タマキキャットが息を切らしながら遅れて来た。
「はぁ……なんで……こんな時に……はぁ……疲れたよ…… 」
ヒーローの仲間に心配されながら、タマキキャットは大きく深呼吸をする。
「大丈夫か?タマキキャット?」
「うん……大丈夫、心配かけてごめんね。ビートブルー。」
そして、向こう側も何やら作戦会議のようなものを始める。
俺たちとヒーローに人数の優位性がなくなり、流石に俺にも焦りが生まれる。
なんだって、ヒーローがこんなに……この街にはヒーローは少ないと聞いていたが話が全然違うじゃないか。文句が口から出そうになるがそれは飲み込む。そもそもこうなったのは俺が原因ではあるのだから……
ヒーローの話し合いに乗じて、俺たちも一箇所いに集まり、話を始める。
キャットシーも、スルメンも同様の気持ちなのだろう。
頬から冷や汗が垂れているようだ。
「にゃー……これはヤバい状況にゃ……」
「……どうするんだ?」
うーん……俺もこの状況を乗り越えるためにはどうすればいいだろう。頭をフル回転するが名案は全然浮かばない。
「皆、落ち着きなさないな!わたくし達の方が強いわ。」
「お嬢の言う通りですよ!一対一に持ち込みましょう!」
「そ、そうだな……。キャットシーはタマキキャットを。スルメンはあの白いやつ、テッペキンは青いやつ、アレグラはゴーグルのやつを相手にしてくれ!俺はあの緑のやつをやる。まだ向こうの話し合い終わっていないようだ。先制攻撃をしよう。皆、健闘を祈るぞ!」
俺たちの方針が決まると向こうも話し合いが終わる前に仕掛ける。




