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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
イクラシティ決戦
36/214

怪人協会第7支部の初陣!

 先ずは一番先陣を切り、俺はマンホールの蓋を開けて、街中に繰り出す。

 突如現れた怪人達に町の人達は…………


 あれ?


 ――全く無反応である。


 立ち竦む俺の背中にドンッ!と衝撃が走る。


 背中に何かがぶつかるとスーツを着たおっさんが文句を言いながら、急ぎ足で俺たちの横を駆け抜けていった。

 俺はその衝撃で顔面から倒れてしまう。


「おい!邪魔だ!邪魔だ!道の真ん中に骨格標本を置くとか何考えてんだ!?」


 舌打ち混じりに、誰に対してでもない文句をつけて、その場を立ち去ってしまった。


 キャットシー、スルメン、テッペキン、アレグラも順番にマンホールから姿を見せる。


「にゃー……やっぱり、全然、街の奴らは全くビビってにゃいにゃ……作戦と違うにゃ……」

「……GUYコツ、どうすんだ?」

「早く、秘策を見せてくださいよ!」

「わぁ綺麗な街ね!ねぇねぇ司、わたくしはあっちのお店見に行って良いかしら?」


 顔を出すなり、メンバーの皆は口々に色々な事を言ってくる。

 一人、また一人と姿を見せることで周囲を歩く人たちがこちらをみて、何やらヒソヒソと会話をし始める。


 全員揃ったが、想像と違う事態になってしまい俺は困惑を隠せなかった。


「み、み、皆、おっ、おつ、落ち着け!」


「……いや、GUYコツ、お前が落ち着け。」


 スルメンに言われて大きく深呼吸をして一度呼吸を整える。


「はぁ……どうするかな?この街の奴ら全然怪人にビビらんぞ……」


「殺るかにゃ?殺るかにゃ?」


「キャットシー待つんだ。人殺しは厳禁と言ったはずだ。」

「にゃー……甘い奴にゃ……」

「ここは、俺の秘策を見せる時だな……」

「おお!早く早く!やっぱりS級怪人がいると現場がやりやすくていいですね!」

「任せろ!」


 俺は自分の頭部を体から切り離して、その頭部を高く持ち上げる。どうやら、俺は頭と体が離れても生きてるらしい。原理は全く分からないが、思考も正常だし、体も思い通りに動かすことは出来る。


 化け物に相応しい技を見せるために驚かせるように顎をカタカタと動かして歯をカチカチと鳴らす。


 俺たちを見つめる観衆からおぉーと歓声が上がる。


 そして俺の頭部を観衆に向かい投げる!!!


 首だけがカタカタと動く髑髏だ……

 俺がこっそり練習しておいた秘策……

 さぁ、恐怖で民衆よ逃げまどえ……


 しかし、観客の反応は俺が想像していたものではなかった。


 パチパチパチパチ!!!

 乾いた拍手があちこちから聞こえ始める。


 おおー!すげー大道芸!

 あれ、どうなってるの?首がとれて動いてる!?

 ねぇ、この頭どうすればいいの?


 観客のひとりの少女に抱きかかえられてしまう。少女が持ち上げた時な見えた仲間達の視線は冷たかった……


 観衆達は俺の頭を期待の眼差しで見つめる。

 次の芸はまだか?まだか?とそう言われてるように感じがした。


 うん、カタカタと顎を動かさすだけじゃなくて、喋ってみるか……


 そう思い、声を出そうと覚悟した瞬間の出来事だった。


 ……


 観衆達の俺への興味を壊したのは突如鳴り響いたサイレンの音だった。


 ウィーン!!!!!ウィーン!!!!!


 けたたましい音を立てて、鳴り響くサイレンに観客も俺たちも戸惑う。


 なんだ?なんだ?というと場は混乱するばかりだったが、サイレンが鳴り止むと、スピーカーから幼さを残した声が聞こえてきた。


「あー、あー、オレンシ、これ動いてんの?」

「動いてるから、ちゃんと喋って!レット!」


 トントンとマイクが叩かれたのかノイズが響く。まるで子供がおもちゃで遊ぶように……


 その直後、街に設置されたスピーカーからアナウンスが聞こえる。


「今日は記念すべき日なんだぜぃ!なんとぉ!!!この街は怪人が支配する事に決まりましたぁぁあ!!!あーっはーっはっはっ!!!俺たちの支配を受け入れるか逃げるかは任せるけどよぅ!!!背中を見せる奴に容赦はしねーって事で宜しくぅ!!!既に怪人の先鋭達がお前達の目の前にいるかもなぁ!!!?あーっはっはっ!!!!」


 プッツンと音声が途切れる。スピーカーから聞こえた少年の言葉により、辺りにはざわざわとした喧騒が聞こえ始める。


 ――怪人?

 ――どうして?


 そんな声が聞こえる。


 これはチャンスだ!俺はスピーカーから聞こえた少年の言葉の力を借りて、話を始めた。


「俺は屍怪人GUYコツ!この街を支配する為にやってきた怪人の先鋭だ!さぁ、恐怖しろ。お前たちは、既におめ゛っ……」


 少女に抱かれた顔が屈強な男により持ち上げられて、顔に思いっきりパンチをされる。


「俺たちの街は怪人なんかには負けねーぞ!?」


 2発、3発と連続で殴られ、既に満身創痍だ……


「あぁ、司がボコボコに……」


「アニキ!俺っちが助けるぜ!」


 俺の顔を殴る屈強な男の前に、テッペキンが立つ。男も肉体を鍛えているようだが、更にガタイの良いテッペキンが立つとその差は歴然であった。

 怪人と人間の差が明確に実感できる瞬間でもあった。


 テッペキンは男の手から俺の顔を取り上げると軽く男を突き飛ばす。


「姉御!これ、アニキの頭っす!」


 テッペキンは俺の顔をキャットシーにめがけて投げる。

 それをキャッチして俺の顔を胴体とくっつける。


「はぁ……助かったよ……ありがとうな、キャットシー、テッペキン」


「どうも……それより、あにゃたは後でお説教ねー。」


「……で?GUYコツ、この状況、どうすんだ?人ひとりくらいヤッておくか?」


 街の人々は怪人に恐怖し逃げまどうことなく、立ち向かわんと、石や傘を手に取り俺たちと相対している。


「この街の奴らはなんで抵抗するんだ……?」


「やれやれ……GUYコツ……あにゃたは考え甘すぎ。ここは怪人と関わりが薄い土地にゃの。怪人の怖さなんて分かるわけにゃいわー。こういう所の人って怪人にゃんて虫と同じと思っているのよ。怪人は世間の嫌われ者にゃの。例えば、あにゃたの家に虫が入って来たら叩き潰すでしょう?それと(おにゃ)じにゃのよ……」


 どこか淋しそうにキャットシーは言う。


「キャットシー……」


「GUYコツ、気持ちは切り替えられた?あにゃたの甘い考え、あたいは嫌いじゃにゃいけど、今はさっさっと捨ててね!……さて、ヒーローもいにゃいようだし、こんな雑魚どもに負けてちゃダメにゃ!」


 キャットシーは爪を伸ばして臨戦体制を取る。


 頭と胴体をつっつけてから、俺は拳を握りしめる。取り敢えず、この群衆の中から逃げないと……


「よし!怪人の恐ろしさってやつを見せてやろうぜ!」


 俺は皆を鼓舞するように言う。


「「「「おおー!」」」」


「怪人どもめ!出て行けー!!!!!」


 誰から声が上がると同時に色々なものが投擲され始めた。

 石や鞄や靴や、中には花瓶や酒瓶なども含まれている。


「任せろっす!」


 テッペキンは見えない壁を作り、投擲されたものを全て防ぐ。


「おー、テッペキンやるにゃー!」

「へへっ!こんなん余裕ですわ!」


 投擲が失敗した為か、若干の焦りが人に伝播していることがわかる。


「……GUYコツ、どうする?追い討ちしていいのか?」


「いや、一旦引こう。」


 人を殺さずになんとか力を見せる方法を考えたくて、スルメンにそう伝える。


「……あぁ、わかった。」


「皆、一度撤退するぞ!作戦会議をしたい!」


 皆、溜息交じりに俺の提案を聞いてくれる。


「「「「了解!」」」」


 俺たちがその場を去ろうとした時に、一人の青年がスルメンの背後から近寄りナイフを突きつける!


「昨日の市場もお前らの所為なんだろう!?俺のトーチャンもそこで働いていたんだよ!!!??クソが!!!!怪人なんて消えっちまえ!!!」

「……」


 スルメンの表情は見えないが少し同様しているように見える。


 昨日?市場?何のことだ?


 青年を突き放すためにスルメンは力任せに身体を震るい、青年を力一杯に突き飛ばす。


 吹き飛ばされた少年は壁に激突してしまった。その衝撃で口から赤い鮮血が飛び散ったのが目に写った。


「あぁ、おいおい……」


 それを見てほっておけずに俺は青年に駆け寄ろうとしてしまった。


「GUYコツ……はぁ……あにゃたって……」


「被害者に近寄るな!そこまでだ!怪人!」


 声変わりのしていない少年の声が耳に入る。

 それは、怪人に対する止まれの命令。


「世界の平和の為に!人が安心して過ごせる世界を守る為に!僕は戦う!」


マクスで顔を隠れているが、緑色のラメが輝く服を着た小さいヒーローが立っていた。


「ビットマンjr!怪人の自由にはさせないぞ!」








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