怪人協会第7支部のミーティング
街の下に広がる大きな下水道に5人の怪人が輪を作り最期の打ち合わせを行っていた。
白いワンピースをきた金髪の幼女。
赤いスーツを着た頭部が猫の獣人。
鍛えた筋肉をむき出しに海パンのみを身につけた変態。
全身を覆う長い真っ黒なコートに紳士帽とマスクをつけた不審者。
そして、骨。
側から見るとヘンテコな芸人集団である。
赤いスーツを着た猫の頭部を持つ獣人――キャットシーは近くにいる骨の怪人――GUYコツに話しかける。
「襲撃はここからするのかにゃ?」
「ああ!この上にあるマンホールから出て、街に繰り出すぞ。そして、街を歩く人たちを驚かす!」
「驚かすって具体的に何をやるのー?」
「そこは……うーん。グォォォって感じで。」
目を見開き、両手を大きく開けて前に出し、「がおー」と口にする。
……沈黙が流れる。
GUYコツは咳払いをして「まぁ、怪人の姿で現れれば驚くだろう。」
「にゃー……流石にそんにゃんでは驚かにゃいと思うにゃー……」
「それに、秘策もある。」
「秘策ってにゃにさー?」
(秘策……?スラッシュの呪詛瘴気みたいな奴ですかね?なら安心ですね。)
「GUYコツのアニキって怪人になりたてって事でしたけど、呪詛瘴気みたいなやつが使えるんですか?」
呪詛瘴気はS級怪人が使うことのできる特殊な空間である。その中では怪人に対する恐怖を増幅させて、怪人をより強くする効果がある。テッペキンはその障壁が強力なものであり、怪人が恐れられる根源となっている事を知っていた。
「じゅそ……?何だっ……」
GUYコツの言葉を遮りアレグラが文句を零す。
「早くお外に出ませんか?わたくし、こういう所嫌いですわ……お洋服が汚れちゃうもの……」
「アレグラ、もうちょっと我慢してくれ。」
むぅ……
アレグラはほっぺを膨らませてそっぽを向いた。
そんなアレグラを置いておこう。
「えっと……他に確認したい事がある奴はいるか?」
全身真っ黒なコートに身を隠したスルメンが昨日に情報の共有した事を確認する。
「……で、昨日の話を確認したいんだが、ヒーローが来ているってのは間違いないのか?」
「魔法少女タマキキャットがこの街に来てる。これは間違いない。」
スルメンの質問に被せてキャットシーが聞く。
「にゃんでわかるの?」
「昨日会ったからな。」
不思議そうなものを見る目でこちらを見ながらキャットシーは言う。
「? 昨日ヒーローにゃんて居にゃかったにゃ? GUYコツ、頭大丈夫かにゃ?」
「会ったのは、変身前のタマキキャットだよ。ほらお姫様の格好してた娘が居ただろ?」
「あー。にゃんであの時殺らにゃかったの?」
「人も多かったしな。今日の計画に支障をきたしたくなかった……」
我ながら苦しい言い訳である。今日、ヒーローが来た方が厄介になるだろうに……本当は梢と戦いたくなんてない。
それが理由だった。
「……ヒーローがいる方が問題だと思うが……それにしてもタマキキャットってのはお姫様なのか?」
「梢――タマキキャットは、ただの中学生だよ。俺がカテキョー会で教師を受け持つ生徒なんだよ。昨日はなんであんな高価なドレスを着ていたのかは全くわからん……」
「……そうか。」
スルメンの質問の意図はわからなかった。しかし、謎の納得をしたようだ。
「しっかし、タマキキャットとは厄介な相手が居たもんですね。あの子、基本的にカズノコシティが管轄でしょ?なんで今日に限って……って感じっすね。」
「本当にそれな……合宿に行くとか言ってたけど、このタイミングとはなぁ」
「別にタマキキャットがいようがいまいがあたい達のやることは変わらんにゃー。それより、GUYコツは、タマキキャットと戦えるのー?あたいはそれが心配にゃ。あにゃた、甘々にゃ所あるから、下手したら敵前逃亡するじゃにゃいのか?」
「頑張るよ……俺も怪人のなんだから……そうやらないと……」
自分に言い聞かせるようにGUYコツはそう言う。
「はぁ……やれやれ……先が思いやられるにゃ……」
「まぁ、姉御、GUYコツのアニキもやるでしょ。流石に一大の大仕事ですから。」
……少しの間沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのはGUYコツである。
一抹の不安を払拭させるため、鼓舞の提案をする。
「よしっ! そろそろ行くか! 円陣を組むぞ!」
皆、ぞろぞろと肩を組んで一つの輪を作る。
「俺たちの初任務だ! 頑張るぞ!」
「「「「「おー!!!!」」」」」
初めての怪人としての戦いが始まろうとしていた。




