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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
イクラシティ決戦
31/214

☆幕間☆

暗くて寒い何処かの場所。

気がついた時に何処までも続く闇の中に僕はいた。

何があった?

何が起こった?


今日は明日に手術を控えた大病を患ったクランケの手術の手順を検討していた筈だ……


助けを呼ぶも大声で叫ぶ。

何の反応もない。

音は虚しく闇の中に吸い込まれる。


気がつくと、僕の手元には光輝く綺麗な宝石で装飾された本を持っていた。

何故こんなところから光が?

疑問を感じつつも、パラッと一枚めくる。

タイトルと著者名が見えた。

驚きでその本を落とす。


『怪人化の技法』

著:只野公孝


見覚えない本には著者として自分の名前、これは一体?……


その本を拾い立ち上がると、僕は闇の中を歩き出す。一寸先すら見える闇の中をひたすら進み続ける。


***


GUIコツこと(つかさ)とキャットシーこと美衣子(みいこ)とテッペキンこと盾鉄男(たててつお)はイクラシティの街中を歩いていた。

俺たちは明日の襲撃に向けて、何処のポイントで姿を現わすかを決めるために、街の探索を行なっていたのだ。


「司! 鉄男! これ、マタタビ! 見て! 見て!!これ気持ちいいんだよー……買って! お願い!」

「駄目だ。」俺は即答する。

「けちー!!!」

「美衣子……俺たちは襲撃場所を決めるために街を回ってるんだぞ?」

「姉御、俺っちが買いまっせ!」

「やったー! 鉄男スキ! 司キライ!」


襲撃場所を決めるためのメンバー選定を間違えたかもと俺は少し後悔をしていた。

取り敢えず異形化をしていないアレグラとスルメンの二人は除いて、怪人の姿と人の姿が違うメンバーを選んだつもりだった……


美衣子はショッピングを楽しみ、盾鉄男はそれに付き添ってしまう。

この二人の不真面目さを想定していなかった過去の俺を殴りたい。


「はぁ……」


全然計画通りにいかない。ため息が溢れる。

まぁいいか……アレグラとスルメンには申し訳ないが、こういうのを楽しむのも役得だよな。


でも、なんか嫌な予感がするんだよなぁ……なんだろうか……


「鉄男! (げん)とアレグラお嬢ちゃんのお土産選ぶにゃー!」

「へっ、へい!」


「おい、お前らちょっとまって。自由行動がすぎるぞ!!」


自由行動をする二人に振り回されて、襲撃ポイントが全然選べん……

リンドウの奴は何やってんだ?

リンドウ奴来なきゃ良いのに……


そんな気持ちを抱きつつ美衣子と鉄男を追いかける。


***


むすっ……

うぅむ……


頬を膨らましてホテルの窓から外を見つめる少女、アレグラと、頭を抱えて椅子に腰掛けるガタイの良いおじさん、スルメンは特に会話をする事なく、ただただ時間が過ぎるのを待っていた。


チッチッチッチッ


こういう時の時計の音は非常に大きく感じる。GUIコツ達が出て行ってから、一言も会話をしていない。


スルメンはアレグラが……というより女が怖かった。

スルメンは過去に女性と子供のいざこざに巻き込まれ、職も家族も友人も資産も全てを失った事があった。それが怪人協会に入るきっかけであり、後悔でもあった。

女で子供であるアレグラに対してはどう接していいのか。怪人になってもそれは全く変わらない。


……うまくいかんなぁ。

怪人は自由があると言っても精神的なトラウマからは絶対に離れられないのか。そんな事を考えていると悩みの原因であるアレグラが突然話しかけてくる。


「綺麗な夕焼けね……原も見なさいな。」


不満そうに窓を見ていたアレグラはスルメンに話しかける。


辺りはすっかりと夕焼け空へと変わり綺麗な赤色とホテルの窓辺から見える海の青色の色彩のコンストラストがさらに情景を綺麗に映す。


・・・言葉が出ない。


突然話しかけられた事でスルメンは内心パニックになっていた。


「司達、遅いわね。どこで何をしてるのかしら?わたくし達もついていけばよかったわね。」


「……あぁ、そうだな。それに、俺と二人だとつまらないだろ?」


アレグラはきょとんとした顔をスルメンに見せると、「何故かしら?」と聞いてくる。


「……俺は無口だしな。」


年齢に相応しくないほど妖艶な笑顔をすると、人差し指を唇に当てると、「ふふっ、わたくしはお喋りな方より、無口で誠実な方のほうが好きですわよ。」とアレグラは言う。


その様子をみてスルメンは顔を赤くして照れるような素振りをする。


「あら、以外。ウブな反応ね。見た目に反して原は可愛いのね。」

「……からかうのはよしてくれ。」

「御免なさいね。 そうだわ!原、わたくしに付き合って外に出かけましょう! 」」

「……俺らは待機って話だが?」

「帰りの遅い司達が悪いわ。わたくしも街を見て回りたいわ!それともわたくし達を放置する無責任な司の言うことの方が大事かしら?」


「……い、いやいやいやいや。でも……」


色々考えているスルメンの眼前に顔を近づけて、潤んだ瞳を向けて「ねっ?いいでしょう?」っと伝える。


「……はぁ……負けたよ。」

確かにGUIコツ達は遅過ぎだしな。決して嬢ちゃんに絆されたわけじゃない。そんな事を思いつつ、同意する。


「そうこなくっちゃですわ!さぁ、行きますわ!夜はわたくしの時間なのだから。」


アレグラと原も夕焼けの街に行くことにした。


***


夕日で当たりが真っ赤に染まる中、バイクに乗った3人組がイクラシティに近づいていた。


(あに)ィ! イクラシティが見えてきたぜ!」

日焼けた体に赤い目を持つ少年とリンドウの乗るバイクの後ろから声をかける。

「あぁん!? やっとか……ったく、遠すぎんだろがよ。」悪態をつきながら、リンドウはバイクを停車する。

先ほど声をかけた少年と、少年と同じように日焼けし橙色の目を持つ少女がバイクから降りる。


「ここら辺でいいだろ。レット、オレンシ、ここに宿の準備をしとけよ。」

「「了解!」」


レットと呼ばれた少年は爆速怪人ザ・レットというリンドウの右腕として、第6支部の第1副長を務めるA級怪人である。

オレンシと呼ばれた少女は療治怪人ジ・オレンシというリンドウの左腕として、第6支部の第2副長を務めるA級怪人である。

レットとオレンシは兄妹であり、リンドウを非常に慕っている。


「今回、兄ィのサポートをする新人の奴はもう来てるの?」

「知らネェ。興味もネェな。」

「それは、ひでぇや。」

「その新人は頼りになるの?リン兄の邪魔しそう……大丈夫かな?」

「オレンシは心配症だなぁ。たとえ、そいつがクソ雑魚のお邪魔虫でも兄ィが失敗するわけないだろ。」

「レットは考えが甘すぎるの! いつも言ってるじゃん。もっと考えろって!」

「あん?なんだよ?ヤんのか?」

レットとオレンシはバチバチと喧嘩しそうな雰囲気で見つめあう。リンドウの笑い声がその雰囲気を壊す。


はっはっはっはっはっ


「レットの言う通りだ。オレンシもそこは安心しとけや。もしも使えネェ雑魚なら俺の手でぶちのめすだけよ。」

「リン兄がそう言うなら……でもなぁ……なんか嫌な予感が……」

オレンシの頭を撫でながら、リンドウは伝える。


「新入りが使い物にならなくても、お()ぇらのサポートは頼りにしてるからよ。」

「えへへ。」


オレンシは嬉しさと恥ずかしさを含む笑顔でリンドウを見つめ返す。


「襲撃は明日だ。気合い入れて行くぞ!」

「「おっす!!」」


***


優一たちとの特訓から戻ってきた僕らの部屋に薫と歴がフリフリひらひらの服を着て待っていた。


「勇二、陽平、さっきはいきなりビンタしてゴメンね?」

部屋に戻るなら待っていた薫が謝罪してきた。

「よく謝ったな!偉いぞ!薫。勇二、陽平、お前らも謝って喧嘩両成敗だな。」

「元を正せば、僕らが悪かったよ……急に部屋に入ったんだから……ごめんなさい。」僕も謝る。

「俺もすまんかった……」続いて陽平も謝る。


「で、着替えってそのひらひらの服を着てたのか?」

「そうです……梢さんが可愛い服を着たいって言ったので、メイドさん達が用意してくれたんです……どうですか?」

「薫も歴も、とってもお似合じゃないか!部屋を間違えたかなって思ったぞ。写真撮っておくか!」

「ちょい、優っち褒めすぎだってぇ〜」

「そ、そうですよ……恥ずかしいじゃないですか……」

そう言いつつ満更でもないのか優一と記念写真を取り始める。

本当に優一はなんというか女の子の扱いが上手いというか。でも、薫と歴に鼻の下伸ばしてたってエレナさんにチクってやる。

「イイネ!なんか成金のお嬢様って感じ!」

陽平が茶々を入れる。その時の二人の目は汚いものでも見るかの如く、表情は侮蔑の感情を含んでいた。

「えっ?俺、褒めたつもりなんだけ……ど……」

「本当に陽平はセンスが無いわね。」

「全くです……」

「陽平くん、流石にそれはないと思うよ……」

ミュエさんまで混じって陽平を責める。

「そういえば、梢は?」


後ろから気配がする。振り向くと、ドレス姿の梢が立っていた。


「見て! 見て! じゃじゃーん!お姫様の服! どうかな? あたしに似合うかな?」


か、可愛いぃ……手で口を押さえて僕はゴクリと生唾を飲む……


「か……」不意に出そうとなる感想は優一と陽平によってかき消される。「梢も似合うな!」

「えへへぇ、ありがと、ゆーいち先生。」

「なんか、玉置は妹がドレスを着たって感じだな。」

「なにそれー!よーへいは褒めるの下手!」少し頬を膨らまして、遺憾の表情をつくる。


「梢、髪下ろした方が良いんじゃないか?」

「えっ、そうかな?」


優一の言葉で二つに縛った髪を解き、若干ウェーブのかかったストレートヘアーになる。


!?!?!?


印象の変わった梢に僕の心臓が鼓動を早めている。


「おぉ、本当に印象変わるな。」

「ほんと?嬉しい!」

「こずこず、めっちゃ可愛いよ!」

「梢さん似合ってます……」

「かおるん、れきれきもありがと!そうだ!この格好で街に行こうよ!あたし、イクラシティを見てみたい!」


梢の提案に乗り、僕たちは街に出かけていた。

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