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屍怪人 GUYコツの受難  作者: 恐竜列島
集結の旅路
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ブリーフィングタイム

僕の兄、優一と質の良いスーツを身につけた、細い目に笑顔と優しく飄々とした感じのおじさんが部室に入ってきた。

優一はブリーフィングの始まりを合図する。

その優一の合図で僕たちは席に着く。


「お前ら、皆いるな?今日はイクラシティ合宿について話すぞ。っと、その前に挨拶だな。えーっと。こちらの方はゼクスさん。今日は特別にご覧下さっている。」


誰?皆、同じように感じているのだろう。視線をキョロキョロとさせている。


「ゼクスさん、お手数ですが初めにご挨拶を頂いても良いでしょうか?」


僕らだけでなく、父などの年上の人にも関係なく対等な態度をとる優一が珍しく、敬語を使い話すその人にに僕は関心が高まる。


「アクセル君、そんなかしこまらないでいいヨォ?」


大きく笑いながら、僕たちに視線を戻して、話を始める。

「やぁやぁ。ヒーローの卵の皆、初めましてかな?私はブレインズ-セブンのゼクス。うーん、我々の事をご存知の子は……」ウンウンと頷きながら、僕たち一人一人を舐め回すように見つめてから大きく頷き「ここには流石にいないよねぇ?まっ、それはいいだけどねぇ。やっぱり寂しいねぇ。」


っとそんな事を漏らしてから、「難しい事は置いておいて、私は簡単に言うと……そうだねぇ、ヒーロー全体を取り締まってる者なんだよねぇ。今回の合宿は未来のヒーローになる君達の役に立てばと思って企画したんだヨォ。目一杯楽しんできてねぇ。」


「ありがとうございます。ゼクスさん。」


優一はそう述べると、ゼクスに綺麗な45度で感謝を伝える。こちらを向き直して、僕らに厳しい言葉を投げかける。


「ゼクスさんは、楽しんでとおっしゃってくれていたが、今回は合宿で行くからな。決して遊びに行くわけじゃないからその事は忘れるなよ。」


ゴホン、優一は咳払いを入れると「ブリーフィングを始めるぞ。最初に初めの一言から……」


そう切り出した優一をゼクスが止め、「アクセル君は厳しいねぇ。初めの一言は私の方から話して良いかナァ?」


「えっ、……わかりました。お願いします。ゼクスさん。」


そういうと立ったまま、ゼクスは話を始める。

社会のこと、世の中にある脅威の事を、多くの知識を学生である僕らにもわかりやすく話してくれた。

そして、その話は僕たちへのメッセージで最後に締め括られた。


「ヒーローを志した君達に私は一杯期待しているヨォ。ヒーローは自分の勇気を力に変える事ができる人間だよねぇ。誰かを助けたい。強くなりたい。自分の勇気を振るい、その一歩を踏み出す事ができるものを我々は常に支援したい。もしもこれから、恐れに負けそうな時には今の一歩を踏み出た時の気持ちを思い出して欲しい。君たちには人に夢や希望、救いを与えて欲しい。宜しくねぇ。」


優しい顔で僕たちに語りかけるように話すゼクスを優一は苦虫を潰した顔で睨みつけるように見つめている事に僕は気づいた。


ぱちぱちぱち

小さい拍手の音が部屋の中に響きわたる。


「偶にはこういうのもいいものだねぇ。」

「ゼクスさん、ありがとう御座いました。次、勇二、陽平、梢、薫、歴。ヒーロー行動憲章の唱和をやってくれ。」


「はい!」皆で返事をすると椅子から立ち上がり、ヒーローが活動する時に掲げる3つの心構えを唱和する。


「1つ、我々は常に弱き者の味方であり、全力で脅威から守る為に力を使います!」僕が言い終わると他の4人も続けて声に出す。

「1つ、我々は常に弱き者の味方であり、全力で脅威から守る為に力を使います!」

「2つ、我々は常に勇気を忘れず、前を向き研鑽を続け人の希望になり!」

「2つ、我々は常に勇気を忘れず、前を向き研鑽を続け人の希望になります!」

「3つ、我々は決して強大な脅威に屈する事なく、仲間の絆を信じて最後まで戦います!」

「3つ、我々は決して強大な脅威に屈する事なく、仲間の絆を信じて最後まで戦います!」


一礼をして着席をする。


「ご苦労様。では、これからイクラシティで行う事のスケジュールを配るぞ。」


1週間の予定が書かれた紙が配られる。その内容は朝から夕方までかなり濃密に組まれている。

殆どが特訓や模擬演習や勉学に当てられており、僕らにの自由行動時間はない。

梢と陽平は明らかに嫌なそうに顔を歪めている。


「なにか質問や意見はあるか?」

「はいはいはい!」陽平と梢は大きく手を伸ばし何かを言おうとしてる。多分……

「陽平、なんだ?」

「観光時間がもっと欲しいぜ。」やっぱり……梢も大きく頷いている。同じ事を言おうとしていたんだろう。

「あのなぁ……遊びに……」「いいんじゃないかナァ?訓練ばっかりだと疲れちゃうもんねぇ。アクセル君、1日目と2日目は自由時間って事で街の見学を一杯楽しんで良いヨォ?」

「……しかし……」優一はゼクスの顔を見ると「わかりました……」と渋々了承をした。

「おぉ!ゼクスさん、やっさしい!」陽平はその言葉で顔を明るくする。


「話を戻すが、出発は明日の早朝だ。今日はこれで解散する、明日に備えて早めに寝るようにな。寝坊しないように気をつけてくれ。明日に備えて早めに寝るように。以上!何か他にスケジュールで質問あるか?」


「あのー……優一さん。街の巡回はどうしたら良いんですか?私が今日の当番なんですが……?」

「そうか、今日の巡回は歴の当番だったな。それは今日はやらなくて良いよ。俺の方でやっておくから。歴は明日の準備をして早く寝る事。」

「わかりました。有難う御座います!」


「他に質問は……?なさそうだな。では解さ……」

「あっ、アクセル君、ちょっと待ってくれないかナァ?ここにタマキキャット君はいるよねぇ?ちょっと話をしたいから少し残って貰いたんだけど、良いかナァ?」

「あたしですか?わかりました?」梢は疑問符を浮かべた顔で了承をした。


その言葉で優一は「では、俺も同席しますよ。」とゼクスに伝えると、「あー、折角の申し出申し訳ないけど、私はねぇ、タマキキャット君と二人で話したいんだよねぇ」


優一は訝しむような表現を浮かべつつ、「わかりました。では皆、今日は解散だ。部室を出ようか。」と告げる。


皆ら部室から出て行くなか、優一は梢の耳元で何かを囁いている。

ゼクスは梢に何の用があるのだろう?僕は悪い予感がした。


***


ゼクスさんから話があると残るように言われたあたしは部室から皆を送り出していた。

そんな中、出て行く時に優一さんはあたしの耳元に囁くように告げる。


 何かあったら大声で助けを呼べよ?


ゼクスさんは良い人だと思ったけどなぁ

優一さんは何を心配してるのだろう?あたしは疑問に思った。


皆が部屋を出て行き、あたしとゼクスさんだけが部室に残される。二人っきりになるとゼクスさんはあたしに話しかけてくる。


「ヤァ、君がタマキキャット君だねぇ。」


細い目でこちらを見ながらあたしに語りかける。


「は、はい。そうです。あのぅ……あたしと話したい事ってなんですか?」

「実はねぇ。君の報告書を見せて貰ったんだヨォ。その時の事を詳しく聞かせてもらえないかナァと思ってねぇ。」

「えっと……その……カズノコホテルの前で怪人騒動があったので、ヒーロー研究会の皆で援護に行ったんです。離れた場所で骨の怪人さんから暴行を受けた男の人に頼まれて、あたしは骨の怪人さんを追いかけて、裏路地に向かいました。そこには骨の怪人さんの他にもう一人ヒーロー狩りをやっている怪人がいて、ヒーロー狩りの攻撃で、あたしは大怪我を負ってしまったんです。そこに……」

「怪人のヒーロー……」

「えっ、はっ、はい!そうです!骨の怪人さんが変身して、あたしを助けてくれました!……あのぅ、この内容がどうしたんでしょうか?」


ゼクスさんの顔は微笑みを崩さないが細い目の奥は全く笑っていない。


「私はねぇ、君の出した報告書を2回見たんだよねぇ。でもねぇ、2回目に見た時に1回目と内容が少し変わっていたんだよねぇ。」

「えっと……あたし、報告書の内容は変えてないです……」

「質問を変えようか?君の報告書にあった『怪人のヒーロー』について知ってるのは誰かナァ?誰かに何か言われたりしたのかナァ?」

「きみちーせんせ……あたしの怪我を治してくれたお医者さんから、その内容は話さない方が良いって言われました。だから、あたし誰にも話してません。」

「ふぅ〜む。彼が……ねぇ。」

「あたしは怪人さんの中にもヒーローになれる人がいるんだって、本当の事を書こうっておもっ……むぎゅ」ゼクスさんは私の頬を片手で掴むと、その細腕であたしの体を持ち上げる。


「タマキキャット君、嘘はいけないんだヨォ?怪人はヒーローにならない、なれない。これは世界の真理なんだヨォ?知らなかったかナァ?この事は我々、ブレインズ-セブンの満場一致をよって決まった世界の法則なんだよぇ。」


あたしはじたばたと動くも、ピクリとも動かず、ゼクスさんは話を続ける。

「君の報告書を偶々見たのが私でさぁ、この内容は巫山戯ているけど、無視できない内容だと思ったんだよねぇ。だから、我々の中で情報を共有しようと思ってもう一度見てみると内容が変わってるんだもの。私も驚きだよねぇ。」

「むぅ、むぅ、むぅーーー!!!」

「マァ、嘘か誠か、事実かどうかは別にして、本当に怪人のヒーローがいたらどうするかを、我々は話し合うために緊急で集まったんだよねぇ。そして、我々で決議を取ったんだヨォ?君のいう怪人のヒーローについては世界から抹消する事が我々7人の満場一致によって決まったんだよねぇ。でも、そもそも私の見間違いか?見間違いじゃなかったとして誰がその怪人なのかわからない……これは大問題だよねぇ?」


ゼクスさんは、微笑みを絶やないが、その細目の奥の瞳は全く笑っていない。それどころか、深くて暗い恐ろしい何かが感じられる。

怪人と相対する時よりも何倍も怖く、あたしは涙が溢れて頬を濡らす。


「あぁ、怖がらせちゃったねぇ。ごめんねぇ。もう少しで終わるからねぇ。その怪人のヒーローは身を呈して君を守ったんだよねぇ。もしかしたら君の近しい人なのかナァって?少し見させて貰うねぇ。痛いかもしれないけど、我慢してねぇ。」


もう一方の手で玉置梢の頭を鷲掴みにする。ゼクスが玉置梢の頭を掴むと強制的に変身させられる。

玉置梢はヒーローの姿になるが、その直後に変身が解けて、素の姿に戻る。それを何度か繰り返す。

「ーーーん、んっ、ん、ん!!!!ーー」


変身と変身から素に戻る度に激しい激痛が玉置梢を襲う。掻き乱れた濁流のように、体の血流が激しく暴れ、それは脳の血管を駆け巡り、玉置梢に激痛と沸騰する程の熱を与える。


ゼクスは玉置梢の頭から手を話すと電話を手に取り、何処かに電話をかける様子が見えた。

朦朧とする意識の中、そのやり取りが微かに聞こえてきた。


「うん、私。……そう、彼ら……見張りを……うん、非常時は……」


あたしの意識が飛ぶ……

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