魔法少女タマキキャット vs ライ雷オン
ヒーローはあきらめない。どんな時もどんな状況でも。
きっと、ヒーローは手を伸ばしてくれる。
奇跡はきっと起きる物ではなく人が起こす物なのだ。
――皆を守る。そのために、目の前の敵を止める。
恐怖も畏怖も忘れる事ができるほど梢の中でその決意が、大きく膨らんだ時、光が梢を包みこんだ。
眩い光が消えた時、梢の姿は眼鏡姿のおさげ姿の学生の姿から一転、黒を基調とした過剰なまでのフリルの付いたゴシック服に猫耳と猫の尻尾が生えた魔法少女に変わった。
その姿はカズノコシティを守るヒーロー、魔法少女タマキキャットだった。
タマキキャットは、自分の体をフリフリと動かす。
「『変身』できた!?」
当の本人すらも理由は分からない。
しかし、今、その理由は重要ではない。
皆の守る力を再び得られたのだ。
タマキキャットは杖を構えて息を吐き出した。
杖先はしっかりとライ雷オンに向けている。
「あなたを自由にはさせない!」
タマキキャットにとって嘗て怪人はこの街を脅かすちょっと悪い人という認識しかなかった。
しかし、怪人の残虐性は底知れぬ悪であることがここ数か月で嫌というほど理解した。
目の前の敵は強力な力を持つことは明らかだ。
この怪人がここにいるという事は、タマキキャットが信じるヒーローすらも敵わなかったという事。
確実に自分よりも強い。
(今、あたしがやらないといけない事は……)
この場にいる皆を守る。そのたった一つの想いで震える体と心に鞭を入れた。
「精霊の加護よ。閃光の鎖で敵を呪縛して!【セイクリッドチェーン】!!!」
タマキキャットの背後から出現した光の鎖がライ雷オンの体を拘束する。
ライ雷オンの動きを止めた後、タマキキャットは「すぅー」っと大きき息を吸い込み。
狂乱の最中にある皆に向かい叫ぶ。
「皆!! 聞いて!!」
「タマキキャット……!?」
その姿はこの街に住む住民なら誰もが知っているヒーロー。
突然現れたヒーローの言葉に、狂乱は一旦収まった。
そして、動きを止めて耳を傾ける。
「あたしがこの怪人を止めるから! 皆はゆっくりと向こうに逃げて!!!」
タマキキャットの言葉に小さく頷いた者達はゆっくりと自然に列を作り移動を始め出す。
安心できる存在がいると、先ほどまでの混乱はなくなり、体育の授業や避難訓練などで学んだ行動ができるようになる。
人の列はゆっくりとタマキキャットが指を差す方向に向かい進んでいく。
拘束されて身動きが取れなくなった状態のライ雷オンはつまらない顔をしながら、
「今更、君が出てきても戦いにすらならないと思いませんか?」
やれやれとライ雷オンはタマキキャットに話しかける。
「多分ね。あたしじゃあなたには勝てない。それはあなたの言ってる事は正しい。
それでも、あたしは皆をやらせないよ。それにきっと……きっとリボーンさんは戻ってくる。」
人がこの場を去った後、タマキキャットは杖を構えた。




