受け継がれる思い
「その姿、まるで人じゃないか? ユーが消えてから一体何かがあったんだ?」
GUYコツ自身、先ほど自分に起きた魔訶不思議な現象を説明できない。
怪人になる前の姿に戻っていた夢の出来事には触れずに、
「消えていた? 俺は少し体調が悪くなったからあの隙間に隠れていただけだが?」
っと、GUYコツは自分が隠れていた場所を指で示しながら答えた。
その言葉を聞いて怪人は驚く他なかった。
GUYコツが指を差した場所は、ライ雷オンの放った雷獣が暴れた中心。
雷獣の攻撃は直接受けずとも、攻撃の余波にすら多くの怪人は耐えることができなかった。
その攻撃の中心、そこは災害の爆心地と言える場所である。
それに耐えたという情報に耳を疑うのは当然の話であった。
同時に一つの考えが脳裏をよぎる。
どれも必殺の威力を持つライ雷オンの攻撃を凌いできたのは事実なのだ。
この目の前の人がGUYコツならば、暴走したライ雷オンを止めてくれる可能性もある。
共に過ごした同僚が無残にも散っていった。
怪人協会の中に特別な仲間意識などあった訳ではない。しかし、それでも自分の持っているものが壊されたら自然と怒りが沸き上がってくるというものだ。
「ライ雷オンはミ―達の事をなんとも思っていなかった……」
―――
――
―
懐中電灯の怪人に一つの情景が思い浮かぶ。
それは雷獣が暴れ怪人達が消滅した後、荒れた大地の中に一人佇むライ雷オンの表情だった。
逆立つ体毛。体中から迸る稲妻。青白く光る体。
戦いが終わり、体内に蓄えていたエネルギーを放出するように、ライ雷オンの体が普段の状態が戻っていく。
味方の多くが犠牲になった。
当然、ライ雷オンがその事実に気がつかないはずはない。
たった一人の敵を消すために放った無用な攻撃。
その後悔があるのだと普通の感覚であればそう思うだろう。
しかし、懐中電灯の怪人が見たライ雷オンの顔には笑みが張り付いてた。
味方を消滅させた事など全く意に介している様子すらない。自身の敵が消えた事実のみに満足しているのだ。
怪人の本懐が自己中心的な考えに基づくものだとしても、あまりにも非常な
殴ってやりたい気持ちがふつふつと沸いてきたが、ライ雷オンの力をまざまざと見せつけられた後なのだ。
何も言えなかった。何もできなかった。
それどころか歯向かう想像しただけで、死すら見えてしまった。
―――
――
―
「……ユーは何故ライ雷オンに挑めるか?」
ぽつりと零れて言葉にGUYコツは不思議な顔をして答える。
「そりゃ守ってやるって約束したからな。この場所を守るために俺はライ雷オンを止めるよ。それに俺が好きなヒーローどんな敵がいようと絶対に諦めない。」
真っすぐな言葉だった。
ヒーローなんて憎い存在でしかなかったが、それでも今、この時、自分できなかった事をやろうとしている目の前の人物を見据える。
懐中電灯の怪人は息を飲み込み。吐き出すようにGUYコツに言う。
「ユーならもしかしたら…… なぁ? ミー達の想いも受け取ってくれないか?」
目の前の怪人の心境はGUYコツに知る由はない。
しかし、GUYコツにはヒビわれたライトから零れる光に強い意志を感じた。
「ライ雷オンにでっかい一発ぶちかましてくれ。」
その言葉には熱い想いが篭っているような気がした。
「あぁ。勿論だ。――だから、ライ雷オンは今どこに行ったかを教えてくれ!」




