真なる器
GUYコツは先ほどまで間違いなく死んでいた。
束の間の臨死体験。
戦う理由を再確認できた。
今はGUYコツの中にかっことした熱意と活力が漲っている。
――しかし、死を超えた先。例え、どのような覚悟があろうと復活の代償が必要である。
地面に横たわっていたGUYコツに尋常でない痛みと苦しみがGUYコツを襲ってきた。
「ぐぅ……」
叫びをこらえるために口を噛みしめる。
もしも叫べば、ライ雷オンに居場所を知らせることに等しい。
今が戦いの最中であることを忘れていない。
そのため静かに、痛みに耐える。
GUYコツは嗚咽混じり体を丸め胸を押さえた。
「ん……!? あ……!?」
自分の体に触れて時に気が付いた。
今GUYコツは怪人になり骨飲みの体になっている。
そいうなっているはずだった。しかし、今は肌が――肉が――ある。
生暖かい懐かしい人肌。仄かに体温が生を実感させてくれた。
「体が戻っている!?!?」
体中をまさぐり、間違いなく自分の体があるのだ。
突然の事態に理解ができない。頭は混乱しっぱなしだ。
人間に化ける時に使っていた人皮とも違う。今自分が触れている物は間違いなく自分の体だ。
突然の事態に驚きが勝り痛みや苦しみが引いていく。
肉体を得たことで血のめぐりが良いのか普通にしているだけでいつもよりも楽に感じた。
大きく息を吸い込み吐き出し深呼吸をする。
建物が崩れた場所の下ではあるが、幾分か空気も美味しく感じる。
感傷に浸っている暇がないのは承知の上だった。
人の体を得ることがここまで素晴らしい事だと感じることもないだろう。
しかし、同時に一抹の不安がよぎった。
それは、肉体を得ていた事で、怪人としても力を失ってしまったのではないかという事だ。
怪人としての力がない状態で戦うことができるのか。
怪人の体であれば、どれほど傷つき壊れたとしても元に戻ることができる。
このメリットは想像以上に大きい。
ダメージを覚悟で無理やり特攻することができたのだ。
「……この状況、どうなるか……」
GUYコツが呟いたと同時、隠れていた建物の陰にすら届く眩い光が天から降り注ぐ。
空を見上げてぎょっとし目を見開いた。
ライ雷オンがまるで宙に浮き、空に向かって上げた右腕の手の平の上に燃える火の玉が見えたのだ。
まるで小さな太陽だ。
灼熱に燃える火の玉の熱気がGUYコツの隠れている場所にまで届くほどだ。
今は悩んでいる暇はない。
GUYコツは皆を守る覚悟を拳を込めて握りしめ、ライ雷オンの元に向かって駆けだした。




