vs 百獣怪人 ライ雷オン part12
(そんな事ない!! リボーンさんがこんな所で終わる訳が無いの!!)
玉置梢は心の中でフェーンの呟きを強く否定する。
下唇を噛み締めて、戦いの行方を見守っていたのだ。
(ヒーローになれたら、今すぐにでも飛んでいって助けるのに!)
歯がゆさで身体中がむずむずとしてくる。
「奴は結構、持ち堪えますねェ。ライ雷オン殿は手加減でもしてるのかなァ?」
「手加減ねぇ……結構、離れているのに、ビリビリと感じる闘志が嘘偽りのものだったらそれは能力じゃ無いかなぁ。闘志を騙すみたいな。あり得ないよ。ライ雷オンは本気さ。
でも流石はヒーロー様だ。頑丈にできるよ。」
「ですなァ。もしかしたらヒーローの研究は根本から見直さないといけないのかも知れませんね。これはブレインズ・シックスで議決を取る必要があるかも知れません。」
「ふっ、ゼクスは真面目だなぁ。」
いやでも聞こえてくる言葉からフェーンとゼクスは何やら企んでいるようだと感じた玉置梢は頭を振るう。
(こんな人たちの事なんて今はどうでもいい。)
玉置梢の視線はリボーンとライ雷オンの戦いに注がれる。
リボーンの表情こそ変わらないものの、今の状態は苦しいのは違いない。
身動きを取らずに、身体が潰されるのを待つばかりだ。
「しかし、ゼクス、ヒーローってのはなんで強いんだい?」
「私が知ってる範囲で構わないなら。」
ゼクスはそんな前置きをして、言い始める。
「蓄えられた内部エネルギーが感情によって守る力に変わるのんだよねェ。」
「感情? 守る力?」
「そうさなァ。人の気持ちが分からないフェーン殿には理解できないかもなぁ。
まぁ、簡単に言うと誰かのために何かを助けたいって気持ちがヒーローをより強くするのさ。」
「そんなまどろっこしい事せずに好き勝手に生きれば良いのにヒーローって馬鹿だね。」
「ははっ、フェーン君ならそう言うだろうね。ただ、人のために戦うからこそヒーローは強いのかもしれないよぉ?」
嫌でも耳に入ってくるフェーンとゼクスの会話を聞いて玉置梢は、ふと思った。
人の為に戦うからヒーロー?
あたしはヒーローに憧れた。
ーーそれは、自分が傷ついても敵に怯えず向かっていく姿に。
ーーそれは、どんなに怖くても前に進む力に。
対して今の自分は……
「あたしは……」
玉置梢は居ても立ってもいられなかった。
そう思った時には玉置梢は駆け出していた。
ヒーローになれる。とかなれないじゃない。
そんな事は問題じゃない!
この場で誰よりも勇気を出す必要があるのはあたしだ!!!
ゼクスの静止を振り切り、玉置梢は大きな声を上げていた。
今まで耐えに耐えに耐えてきた分。
それらを全て乗せた叫びだ。
この場にいた皆が玉置梢に注目した。
見学をしていた怪人も。
捕まっている学生も。
助けに入ったSUMOライダーも。
リボーンを握り潰そうとしていたライ雷オンすらも。
「リボーンさああああああああん!!!!!!! 目を覚ましてえええええええええ!!!!!! この学園を守ってええええええええ!!!!!」
声は何処まで届いたのだろう。
一つ間違いないのは、今にも握りつぶされそうになっていたリボーンの瞳に一筋の力が灯った。




