vs 百獣怪人 ライ雷オン part2
俺はここで死ぬのか?
たったの一撃。
それだけで、GUYコツの目がぼやけて、ライ雷オンが複数体に分かれているように見えていた。
しかも、頭が揺れているだけじゃない。重心が捉えられずにバランスを崩してしまい、その場に倒れ込んでしまった。
まるで出来の悪いブリキのおもちゃだ。
GUYコツは頭を振り払い、気付のために思いっきり頬を叩いた。
戦いの最中なのだ。気を失わなかっただけマシだ。
そう思い、手をつきながらよろよろと立ち上がる。
「たったの一撃でダウンかよ!」
周りのヤジと嘲笑が嫌と言うほど耳に入ってくる。
しかし、GUYコツの心中では、そのようなヤジに対する怒りよりも安堵のほうが優っていた。
危なかった。もしも気絶でもしていようものなら、俺は終わっていただろう。
改めてファイティングポーズを構えライ雷オンを見据える。
身長がある相手だ。見上げる形になってしまうがGUYコツは再び闘志を燃やしていた。
そんなGUYコツを見下ろすようにライ雷オンは見据えている。
「こんなものか? 今、私はお前を三度殺すこともできた。情けない……本当に情けない……!! なぜこんな奴に何度も出し抜かれていたのだ。」
誰に向けて放っているのだろうか?
GUYコツは自分に言ってるのではなく、ライ雷オン本人に言っているように思えた。
獣の咆哮を上げた。
叫び声だけで相手を萎縮させる。百獣の王の咆哮。
裸足で逃げ出したい衝動に駆られていた。
叫びを終えたライ雷オンはゆっくりとGUYコツを見下ろす。
目と目が合った。
ライ雷オンの眼に宿るのは確固たる信念。GUYコツにただならぬ殺意を向けている。
GUYコツを逃すつもりなど毛頭ないらしい。
もしも先ほど背後を見せていたら、背中から食い殺されていただろう。
ゾクリと背筋が凍る思いだ。
GUYコツ、決してライ雷オンから視線を外さない。
よそ見をしている余裕がないのもあるが、なにより目を離してはいけないと直感があったのだ。
じっと睨み合っていた時間は数十秒だっただろう。
体感的には数時間はそうしたかもしれない。
ライ雷オンは攻めてくるわけでもなく、ふと口を開いた。
「GUYコツ、力は正義だ。そして正義は勝者に与えられるなものだ。」
急に問われた意味を直ぐに理解できなかった。
「私は目的のためなら犠牲を厭わぬ。今回の襲撃も必要な事だった。私は正義のためにやった事なのだ。若人を、若人を育む施設が消えても、それは必要な犠牲だった。」
つまり、GUYコツが負けた時に、ここを、カズノコ学園を消すという宣言にに他ならない。
「そうだな。」
GUYコツは短く答える。
勝たねばならない。
握りしめた拳に力が入る。
このくだらない惨劇を終わらせる為にも、GUYコツの瞳にもまた並々ならぬ決意が宿っていた。




