回想
「侵略者ですか? そんなものが来ていたなんて聞いたことすらありませんでしたが……」
「そう。どこから来たのか。いつの間にやら、この世界に巣くっていた悪の七人の賢者達。儂が気が付いた時には遅すぎた。奴らは、すでにこの世界の八割はその手に納めている。このままでは、数年も経たぬ内に完全に奴らの思うように変えられてしまうだろう。つまり、この世界は今、危機に瀕しておるのだ。」
「……あまりに現実の話とは思えませんね。」
「ほぅ。現代の倫理で語るならばお主の巻き込まれた強化兵士を作る試験なぞ許される筈もない。しかし――」
「実際に私は巻き込まれていた……」
「そう。否定しようにもお主には否定しきれんじゃろう。」
「ええ。自分が巻き込まれていなければ陰謀論と嘲笑していたと思います。」
「フォッフォッフォッ、そんなものよ。自分で見て聞いて経験しなければ理解しない物じゃ。儂も似たようなものじゃから気にするでない。それよりも、どうじゃ? 儂と共に戦ってくれるか?」
陰謀論と断ずるのは簡単だ。しかし、ここでいくら否定しようと、私に起きた事がなかったことになる訳ではない。愛する者を失い悲しみに暮れていた日々も、同じ境遇の者同士で凄惨な殺し合いを行った事も、ライオンの顔を持つ異形の姿になったことも――
空っぽになった私の心に、復讐の道は生きる希望でもあった。
博士の言う侵略者。七人の賢者――ブレインズ-セブン。私の人生を終らせた者達。
顔も知らぬ彼らに対する憎悪が心の中に燃えていく。
「ブレインズ-セブン……それが私の倒すべき敵なのですね……」
ぐっと握りしめた拳に力がこもる。
「そうじゃ。ブレインズ-セブンはこの世界に現れた異物。儂は、奴らを倒すための力として怪人の力を生み出したのだ。奴らを排除するために人も持つ力を超えたこの世界にいる八百万の神の力を借りる力じゃ。
まぁ、姿が人非ざる者になってしまうのは、欠点じゃが……そのうち何とかする。」
「私は既に死んでいる人間でしょうから、特に問題はないですよ。で、最初は何をするのでしょうか?」
「そうじゃな。やはり、強大な仲間、組織を作るところからじゃな。うむ。敵は強大じゃ、まず怪人の数を増やし、怪人の組織を作る。なぁに、奴らは強化兵士を作るという名の非人道的な試験をいくつも行っている。味方を増やすことも容易じゃろうて。お主のようにな。そうじゃな。怪人の集う場所じゃ、怪人協会なんて名前が良いかのぅ?」
―――
――
―
それから、ライ雷オンと名を貰った私は博士と共に戦ってきた。
戦ってきたのだ。
そう、いくつもの国を飛び回り味方を増やして怪人協会を大きくした。
そして、最後の時は訪れる……
世界の支配者をかけて怪人協会とブレインズ-セブンとの戦いが始まろうとしていた。




